運行管理者試験(貨物)では、「この記録は何年間保存するか」が選択肢の一部としてよく出ます。保存期間は1年と3年の2種類しかありませんが、どの記録がどちらかを取り違えると失点につながります。この記事では、貨物自動車運送事業輸送安全規則(以下「輸送安全規則」)の条文をもとに、記録ごとの保存期間と数え始めの日を表で整理します。試験全体の形式は運行管理者(貨物)試験とはで確認できます。
結論:1年が4つ、3年が3つ
輸送安全規則に保存期間が書かれている主な記録は、次のとおりです(2026年11月3日時点のe-Govの条文にもとづきます)。
日々の運行にともなってできる記録(点呼・業務・運行記録計・運行指示書)は1年、事故・指導監督・退職後の台帳は3年、と分けて覚えると整理しやすくなります。この分け方は覚えるための目安で、条文の見出しではありません。
1年間保存する記録
点呼の記録(7条5項)
業務前・業務後・中間の点呼をしたときは、運転者等ごとに、点呼を行った旨と、報告・確認・指示の内容、点呼を行った人と受けた人の氏名などを記録し、1年間保存します。点呼の種類ごとの確認事項は点呼の基本を整理した記事にまとめています。
業務の記録(8条1項)
運転者等が従事した業務について、運転者等ごとに、氏名、車を見分ける表示、業務の開始・終了の地点と日時、主な経過地点と距離などを記録させ、1年間保存します。事業者が書くのではなく、運転者等に「記録させる」と条文に書かれている点も押さえておきます。
運行記録計の記録(9条1項)
運行記録計とは、車の瞬間速度、運行距離、運行時間を記録する機器です。記録が必要なのは次の車で、記録は1年間保存します。
- 車両総重量が7トン以上、または最大積載量が4トン以上の普通自動車
- 上の条件に当たる被けん引自動車をけん引する、けん引自動車
- 特別積合せ貨物運送の運行系統に配置する車
運行指示書とその写し(9条の3第4項)
運行指示書は、業務前の点呼も業務後の点呼も対面等でできない業務を含む運行について作るものです。運行指示書とその写しは、運行の終了の日から1年間保存します。数え始めの日が条文で決まっているのは、この記録です。運行を計画した日や出発した日からではない点が引っかけになります。
3年間保存する記録
事故の記録(9条の2)
事業用自動車に係る事故が発生したときは、乗務員等の氏名、車を見分ける表示、事故の発生日時・場所、事故の当事者の氏名、事故の概要(損害の程度を含む)、原因、再発防止対策を記録します。保存は3年間で、その事業用自動車の運行を管理する営業所で行います。
事故の「記録」(輸送安全規則9条の2・保存3年)と、国土交通大臣への「報告」は別の制度です。報告の判定は事故の報告と速報の記事で整理しています。
運転者への指導・監督の記録(10条1項)
事業者は、運転者に対して、主な道路の状況や運転の技術、守るべき法令について指導・監督を行います。そのときは、日時、場所、内容、指導・監督を行った人と受けた人を記録し、営業所で3年間保存します。
運転者等台帳(9条の5第2項)
運転者等台帳は、運転者等ごとに作り、その人が属する営業所に備えて置くものです。運転者が転任・退職などで運転者でなくなったときは、直ちに、その年月日と理由を台帳に書き、その台帳を3年間保存します。つまり、3年を数え始めるのは「運転者でなくなったとき」です。
取り違えやすいポイント
1年は「点呼・業務・運行記録計・運行指示書」、3年は「事故・指導監督・退職後の台帳」。運行指示書だけは数え始め(運行の終了の日)が条文にあります。
選択肢を読むときの手順
保存期間の問題は、次の順で考えると迷いにくくなります。
- 何の記録かを特定する(点呼・業務・運行記録計・運行指示書・事故・指導監督・台帳)
- 1年のグループか、3年のグループかを決める
- 数え始めの日や保存場所が書かれていたら、上の表と見比べる
たとえば「事故の記録を、運行を管理する営業所で3年間保存した」は条文どおりで正しい内容です。「運行記録計の記録を3年間保存した」は、1年のところを3年に入れ替えた誤りの形です。このように、数字だけを入れ替えた選択肢が典型です。
運転者と事業者の役割の整理に
記録を作る・保存するのは、運行管理者を含む事業者側の義務です。事業者の義務と運行管理者の業務の違いは運行管理者の業務と事業者の義務の違いで整理しています。記録の条文を確認しながら学びたい方は、運行管理者(貨物)講座で、輸送安全規則の各条を授業と確認問題で学べます。月額 1,234円〜(年額プラン14,800円・一括払いの月あたり)です。
よくある質問
Q. 保存期間は1年と3年だけですか。
A. 輸送安全規則のこの範囲では1年と3年です。点検整備記録簿など、ほかの法令で別に定められている記録もあるため、条文ごとに確認してください。
Q. 電子データで保存してもよいですか。
A. 条文は保存期間を定めており、保存の方法の細かい扱いは国土交通省の解釈通達で定められています。実務で迷うときは通達を確認してください。
Q. 保存期間の数字は変わることがありますか。
A. 法令は改正されます。試験で問われるのは施行済みの規定ですので、最新の条文はe-Gov法令検索で確認してください。
まとめ
- 点呼の記録・業務の記録・運行記録計の記録・運行指示書は1年間
- 事故の記録・指導監督の記録・運転者でなくなったあとの台帳は3年間
- 運行指示書は運行の終了の日から、台帳は運転者でなくなったときから数える
保存期間は丸暗記になりがちですが、「日々の記録は1年、事故・指導・台帳は3年」とグループで覚えると、選択肢の正誤を判断しやすくなります。