運行管理者試験(貨物)では、「営業所のトラックが◯両のとき、運行管理者は最低何人必要か」を計算させる問題が定番です。式そのものは単純ですが、被けん引自動車を数えるかどうか、端数をどう処理するかで取り違えやすい論点です。この記事では、貨物自動車運送事業輸送安全規則18条にそって、選任数の計算手順と統括運行管理者が要る場合を整理します。
結論:事業用自動車の数を30で割り、切り捨てて1を足す
運行管理者の最低人数は、営業所ごとに次の手順で求めます(輸送安全規則18条1項)。
- 営業所が運行を管理する事業用自動車の数を数える(被けん引自動車を除く)
- その数を30で割る
- 1未満の端数は切り捨てる
- 1を加える
この結果の数「以上」の運行管理者を選任します。「以上」なので、これより多く選ぶのは自由です。
「30で割って、端数切り捨て、1を足す」の3拍子で覚えます。切り捨てるので、29両でも1人、30両になると2人です。四捨五入や切り上げではありません。
計算の例:65両なら3人
営業所が運行を管理するトラックが65両、そのほかに被けん引自動車(トレーラーの引かれる側の車)が4両ある場合で考えます。
答えは「3人以上」です。被けん引自動車の4両を足して69両と数えても、30で割って切り捨てると2なので同じ3人になりますが、試験では「数えない」のが正しい扱いです。境目の近くでは結果が変わります。たとえばトラックが58両で被けん引自動車が3両なら、数えるのは58両なので2人です。61両と数えてしまうと3人になり、答えがずれます。
車両数と選任数の早見表
境目は30の倍数です。
30両ちょうど、60両ちょうどのように、境目の数で人数が増える点に注意します。「30両を超えたら」ではなく「30両に達したら」です。
「営業所ごと」に数える
条文は「事業用自動車の運行を管理する営業所ごとに、当該営業所が運行を管理する事業用自動車の数」で計算すると定めています。会社全体の車両数を合計して30で割るのではありません。
会社全体で同じ50両でも、営業所が分かれていれば、営業所ごとに1人以上が必要になります。また運行管理者は営業所ごとに選任するものなので、他の営業所の運行管理者を兼ねることはできません。
「会社全体の車両数で計算する」「営業所の合計で割る」という選択肢は誤りです。必ず営業所単位で数えます。
5両未満の営業所の例外
条文には、ただし書きがあります。5両未満の事業用自動車の運行を管理する営業所で、地方運輸局長が、車両の種別や地理的条件などを考えて、運行の安全の確保に支障が出るおそれがないと認めた営業所は、この選任数の規定の対象外です。
押さえる点は次の2つです。
- 対象は5両「未満」(4両まで)。5両ちょうどは含まれません
- 5両未満なら自動的に不要になるのではなく、地方運輸局長が認めた営業所だけが例外です
「5両未満の営業所は、運行管理者を選任しなくてよい」と言い切る選択肢は、認定の条件が抜けているため誤りです。
複数選任なら統括運行管理者を選ぶ
同じ営業所で運行管理者を複数選任する事業者は、それらの業務を統括する運行管理者、つまり統括運行管理者も選任しなければなりません(輸送安全規則18条2項)。
先ほどの65両の例では3人以上を選ぶので、そのうちの1人を統括運行管理者にします。統括運行管理者が置かれる営業所では、運行管理規程に、統括運行管理者の職務と権限も定めます(輸送安全規則21条1項)。
「最低人数が2人だから統括が要る」ではなく、「実際に複数人を選任したから統括が要る」と読むと、取り違えません。たとえば35両の営業所で最低人数は2人ですが、事業者が3人選べば統括は必要で、2人でも同じく必要です。
選任から届出まで:言葉の整理
選任数と一緒に問われやすい手続も、あわせて整理します。
選任数を満たしていても、資格者証を持たない人を運行管理者に選ぶことはできません。資格者証のない人は、運行管理者ではなく、基礎講習を修了した「補助者」として運行管理者の業務を補助する立場になります(輸送安全規則18条3項)。補助者の役割や、運行管理者と事業者・従業員の義務の違いは、運行管理者の業務と事業者の義務の違いを整理した記事で扱っています。
試験での問われ方
選任数に関する出題は、次の誤りパターンでひっかけてくることが多い分野です。判断のものさしを3つ持っておくと整理できます。
計算問題は、次の順で解くと迷いません。
- 問題文の車両数から、被けん引自動車を引く
- 営業所ごとに30で割り、整数部分だけ取る
- 1を足す
- 選ぶ人数が2人以上なら、統括運行管理者の有無を確かめる
選択肢に「何人以上」とあるときは、これが最低人数です。条文は最低人数を定めるもので、上限を決めているわけではありません。
学習のコツ:授業で表を手で再現する
選任数は、境目の数字(30・60・90)と手順を覚えれば、確実に取れる得点源です。手で「29両・30両・59両・60両」と書いて人数を出す練習を数回やっておくと、本番で式がすぐ浮かびます。
運行管理者(貨物)講座では、選任・資格者証・補助者を1つの授業にまとめ、選任数の計算を例題で確認できます。分からない点はAI講師のトーレスに質問できます。
まとめ
- 選任数は営業所ごとに「事業用自動車の数÷30、端数切り捨て、+1」以上(被けん引自動車は数えない)
- 境目は30両・60両・90両。1〜29両は1人、30〜59両は2人、60〜89両は3人
- 5両未満の営業所の例外は、地方運輸局長が認めた場合だけ
- 同じ営業所で複数の運行管理者を選任するなら、統括運行管理者も選任する
よくある質問
Q. 29両の営業所には何人の運行管理者が必要ですか?
1人です。29÷30は1未満で、端数を切り捨てると0になり、1を加えて1人になります。30両に達すると2人になります。
Q. トレーラーのけん引される側も車両数に入れますか?
入れません。条文は「被けん引自動車を除く」と定めているので、けん引する車(トラクタ)だけを数えます。
Q. 運行管理者が2人のとき、統括運行管理者は必要ですか?
必要です。同じ営業所で複数の運行管理者を選ぶなら、車両数に関係なく統括運行管理者を選任します。1人だけなら不要です。
本記事の条文は、2026年11月1日時点でe-Govに掲載されている現行の内容で確認しています。制度は改正されることがあるため、受験する年度の最新の内容は運行管理者試験センターの案内などで確かめてください。