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論点解説

点呼の基本を整理|業務前・業務後・中間点呼で確かめること(運行管理者・貨物)

運行管理者試験(貨物)で頻出の点呼を、輸送安全規則7条の条文と国土交通省の解釈通達で整理。業務前・業務後・中間点呼の違い、方法、記録1年、補助者の3分の1まで表でまとめます。

トーレス先生
トーレス

運行管理者試験(貨物)で頻出の点呼を、輸送安全規則7条の条文と国土交通省の解釈通達で整理。業務前・業務後・中間点呼の違い、方法、記録1年、補助者の3分の1まで表でまとめます。

この記事の要点

  • 業務前点呼は「これから安全に走れるか」、業務後点呼は「どう走ってきたか」を確かめます。日常点検の確認は業務前だけです。
  • 中間点呼が必要なのは、業務前と業務後の点呼がどちらも対面等でできない業務だけです。
  • 酒気帯びの確認は、アルコール検知器を使っても、運転者の状態の目視等による確認を省けません。
  • 記録の保存は1年間。補助者を選任しても、運行管理者が行う点呼は総回数の3分の1以上が必要です。
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運行管理者試験(貨物)では、点呼のルールがくり返し問われます。「業務前と業務後で確認する内容はどう違う?」「中間点呼はいつ必要?」「アルコール検知器を使えば目視はいらない?」といった取り違えが、得点を落とす典型です。この記事では、貨物自動車運送事業輸送安全規則7条の条文と、国土交通省の解釈通達をもとに、点呼の基本を表で整理します。試験全体の形式は運行管理者(貨物)試験とは、受験資格は受験資格の記事で確認できます。

結論:点呼は「いつ・何を・どの方法で・誰が」の4点で押さえる

点呼は、事業者(運送会社)が運転者に対して、運転の前後に報告を求め、確認し、必要な指示を与える仕組みです。条文は貨物自動車運送事業輸送安全規則7条にあり、1項が業務前、2項が業務後、3項が中間、4項がアルコール検知器、5項が記録を定めています。まず全体像を一覧にします(2026年10月16日時点のe-Govの条文にもとづきます)。

種類 条文 主な確認・報告事項
業務前点呼 7条1項 酒気帯びの有無/疾病・疲労・睡眠不足などで安全に運転できないおそれの有無/日常点検の実施またはその確認/運行の安全のための指示
業務後点呼 7条2項 事業用自動車・道路・運行の状況の報告/酒気帯びの有無/運転者交替があったときは、交替相手への通告の報告
中間点呼 7条3項 酒気帯びの有無/疾病・疲労・睡眠不足などのおそれの有無/運行の安全のための指示

業務前は「これから走れるか」の確認、業務後は「どう走ってきたか」の報告です。方向が逆だと覚えると、確認事項を混ぜにくくなります。

業務前点呼と業務後点呼で、確かめることの違い

業務前点呼では、条文上、次の3つについて報告を求め、確認します。

  • 運転者の酒気帯びの有無
  • 疾病、疲労、睡眠不足その他の理由で安全に運転できないおそれがないか
  • 道路運送車両法47条の2に定める日常点検(運行前の点検)の実施、またはその確認

そのうえで、運行の安全を確保するために必要な指示を与えます。

業務後点呼は性格が違います。運転を終えた運転者から、その業務で使った事業用自動車、通った道路、運行の状況について報告を求めます。確認する事項としては、酒気帯びの有無が条文に挙がっています。さらに、途中で別の運転者と交替していた場合は、交替した相手に伝えた内容(通告)についても報告を求めます。

ここが試験での引っかけどころです。

確認事項 業務前 業務後 中間
酒気帯びの有無 ○ ○ ○
疾病・疲労・睡眠不足などのおそれ ○ 条文に規定なし ○
日常点検の実施・確認 ○ 条文に規定なし 条文に規定なし
車・道路・運行状況の報告 条文に規定なし ○ 条文に規定なし
交替時の通告の報告 条文に規定なし ○(交替があった場合) 条文に規定なし

「業務後点呼でも日常点検の実施を確認する」のような文は、条文の内容からずれています。日常点検は、運行の前に行う点検だからです。

中間点呼が必要になるのはどんなとき

中間点呼は、7条3項が定めます。必要になるのは、業務前点呼と業務後点呼の「いずれも」、対面か、対面と同等の効果があるとして国土交通大臣が定める方法で行えない業務です。その場合、業務の途中で少なくとも1回、点呼を行います。

例を3日間の泊まりがけの運行で考えます。

日 業務前点呼 業務後点呼 中間点呼
1日目 営業所で対面 遠隔地の宿泊先から電話 不要(業務前が対面でできている)
2日目 宿泊先から電話 宿泊先から電話 必要(前後とも対面等でできない)
3日目 宿泊先から電話 営業所で対面 不要(業務後が対面でできている)

つまり、泊まりの運行なら毎日必要、という話ではありません。前と後のどちらか一方でも対面等でできていれば、その日の中間点呼は要りません。

中間点呼で確認するのは、酒気帯びの有無と、疾病・疲労・睡眠不足などのおそれの有無です。そのうえで、必要な指示を与えます。実施の方法は、国土交通大臣が定める方法を原則とし、それが難しい場合は電話その他の方法でよい、という書き方になっています。

点呼の方法:対面、大臣が定める方法、電話その他の方法

7条1項・2項は、点呼の方法を次のように書いています。

方法 内容
対面 運行管理者等が運転者と向き合って行う。原則の方法
国土交通大臣が定める方法 対面による点呼と同等の効果があるものとして、大臣が定める方法
電話その他の方法 運行上やむを得ない場合に限る(業務前・業務後の点呼)

「大臣が定める方法」には、遠隔点呼、自動点呼、IT点呼などがあります。国土交通省は、遠隔点呼を、機器やシステム、実施する施設、運用上の遵守事項の要件を満たせば行えるものとして、2022年4月1日から始めました。対象となる拠点間は、営業所と車庫の間、同一事業者内の営業所間、グループ企業の営業所間と案内されています。細かな機器の要件は告示や認定要領で定められ、改正も続いています。試験対策としては、対面と同等の効果があるものとして大臣が定める方法がある、という位置づけをおさえれば足ります。

「運行上やむを得ない場合」の範囲

電話その他の方法が使える「運行上やむを得ない場合」について、国土交通省の解釈通達は次のように説明しています。

  • 当たる例:遠隔地で業務を開始または終了するために、運転者が所属する営業所で、業務前点呼または業務後点呼を対面で実施できない場合
  • 当たらない例:車庫と営業所が離れている場合、早朝や深夜で点呼を行う人が営業所に出勤していない場合

当たらない場合は、運行管理者または補助者を車庫へ行かせるなどして、対面の点呼を確実に行うよう求められています。また「その他の方法」は、携帯電話や業務無線のように運転者と直接話せるものを指し、電子メールやFAXのような一方的な連絡は含まれません。電話その他の方法による点呼を、運行中に行ってはならないことも通達に書かれています。

アルコール検知器:備える義務と、目視等との併用

7条4項は、アルコール検知器について2つのことを定めています。

  1. 営業所ごとにアルコール検知器を備え、常時有効に保持すること
  2. 酒気帯びの有無を確認するときは、運転者の状態を目視等で確認するほか、運転者の属する営業所に備えたアルコール検知器を用いること

2つめは「ほか」とあるとおり、両方が必要です。検知器の数値が出ていても、顔色や声の調子など、目視等での確認は省けません。「検知器が反応しなければ、目視による確認は不要」という文は誤りです。

なお、酒気帯びとは、道路交通法施行令44条の3が定める程度(血液1mlあたり0.3mg、または呼気1リットルあたり0.15mg以上)に達しているかどうかを問わないとされています。少量でも酒気を帯びていれば、確認の対象になるということです。

2026年6月26日の通達改正で、遠隔点呼を行う場合に、点呼を行う運行管理者等の営業所に備えた遠隔点呼機器と連動するアルコール検知器を使うときは、「運転者の属する営業所に備えられたアルコール検知器」を用いたものとみなす旨が追加されました。例外の扱いですので、本則の「運転者の属する営業所のアルコール検知器」を先に覚えます。

記録は1年間保存する

7条5項は、点呼を行って報告を求め、確認し、指示をしたときの記録を定めています。運転者等ごとに、次の事項を記録し、1年間保存します。

  • 点呼を行った旨と、報告・確認・指示の内容
  • 点呼を行った者と、受けた運転者等の氏名
  • 事業用自動車の自動車登録番号または車両番号など、その自動車を識別できる表示
  • 点呼の日時
  • 点呼の方法
  • その他必要な事項

保存期間は他の記録と混ざりやすいので、点呼の記録は1年と、数字で覚えておきます。

補助者に任せられる範囲:運行管理者の点呼は3分の1以上

運行管理者の業務を補助する「補助者」は、輸送安全規則18条3項で選任できます。運行管理者資格者証を持つ人か、国土交通大臣が認定した講習を修了した人から選びます。

補助者は運行管理者の代理ではありませんが、点呼に関する業務については、その一部を行えます。ただし、解釈通達は、補助者に点呼の一部を行わせる場合でも、その営業所の運行管理者が行う点呼は、点呼を行うべき総回数の少なくとも3分の1以上でなければならないとしています。

論点 内容
補助者が行えるか 点呼の一部は行える(代理業務一般は行えない)
運行管理者の割合 総回数の3分の1以上
異常を見つけたら 酒気帯びや、疾病・疲労などで安全に運転できないおそれを確認したときは、直ちに運行管理者に報告し、運行の可否の指示を仰ぐ

たとえば、ある営業所で1か月に点呼が90回あるなら、運行管理者本人が行う点呼は30回以上です。残りを補助者が担うことはできますが、すべてを補助者に任せることはできません。

試験での問われ方と、誤りの見つけ方

点呼の問題は、正しい文を少しずつずらして誤りに仕立てることが多い分野です。次の観点で、1文ずつ確かめます。

確かめる観点 正しい扱い 誤りになりやすい形
日常点検の確認 業務前点呼で確認 業務後点呼でも確認する、と書く
中間点呼 前後とも対面等でできないとき、途中で少なくとも1回 泊まりなら毎日必要、と書く
酒気帯びの確認 目視等+検知器の両方 検知器だけでよい、と書く
電話での点呼 運行上やむを得ない場合のみ 車庫が遠い、早朝・深夜だから、と書く
記録の保存 1年間 別の期間を入れる
補助者 一部のみ。運行管理者が3分の1以上 補助者だけですべて行う、と書く

あわせて、点呼は事業者の義務ですが、運行管理者の業務を定めた20条でも、7条の点呼を行い、記録し、保存することと、運転者に使用させるアルコール検知器を常時有効に保持することが挙げられています。事業者の義務と運行管理者の業務の切り分けは、別の記事で整理します。

授業で復習するなら

点呼は、条文の数字と、事業者・運行管理者・補助者の役割が混ざりやすい論点です。運行管理者(貨物)講座では、点呼の法令の定めを1本の授業にまとめています。AI講師のトーレスに「この文のどこがずれているか」を質問しながら、条文の言い回しに慣れていく使い方もできます。

まとめ

  • 業務前=酒気帯び・健康状態・日常点検、業務後=車と道路と運行の報告・酒気帯び。
  • 中間点呼は、業務前も業務後も対面等でできない業務に、途中で少なくとも1回。
  • アルコール検知器は、備えるだけでなく、目視等と併用する。検知器だけでは足りない。
  • 電話その他の方法は、運行上やむを得ない場合だけ。車庫が遠い、早朝・深夜は当たらない。
  • 記録は1年間保存。補助者が行っても、運行管理者の点呼は総回数の3分の1以上。

点呼は、4つの観点(いつ・何を・どの方法で・誰が)に分けて見直すと、誤りを見つけやすくなります。法令や通達は改正されることがあるため、受験する年度の最新の内容は、試験センターと国土交通省の公式情報でご確認ください。

参考にした情報

記事の内容は、記載の日付時点で確認した情報にもとづいています。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。内容に誤りを見つけた場合は、お問い合わせからお知らせください。確認のうえ修正します。

2026年10月16日約11分で読めます
運行管理者試験貨物点呼中間点呼アルコール検知器
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