ヨーロッパ周遊の旅程を組むとき、「この国の間は入国審査があるのか」「現地ではどの通貨を使うのか」は必ず確認する点です。総合旅行業務取扱管理者の海外旅行実務でも、国の名前に「シェンゲン協定に加盟か」「通貨は何か」を組み合わせて問う形が出ます。この記事では、EU(欧州連合)とECB(欧州中央銀行)が公表している情報をもとに、シェンゲンとユーロを別々に判定する方法を整理します。
この記事は、2026年11月2日時点で確認した公式ページにもとづいています。加盟国は今後変わることがあります。実際の旅行のご案内や受験の前には、各公式サイトで最新の内容を確認してください。
シェンゲン協定とは? 国境の審査をなくす取り決め
シェンゲン協定は、加盟国どうしの国境で行う審査をなくす取り決めです。欧州委員会のページでも、加盟国の間の国境では審査が行われないこと、審査は域外との境(外部国境)で行うことが示されています。
つまり、日本から入ってきた旅行者は、最初に入る加盟国で入国の審査を受け、その後は加盟国の間を審査なしで移動できます。短期滞在には期間の上限(90日/180日のルール)がありますが、数え方や必要な書類は公式ページで確かめてください。
覚える点は「審査の仕組み」だということです。お金の話ではありません。
シェンゲン圏は29か国:内訳は25+4
欧州委員会のページによると、シェンゲン圏は29か国で、EUの国が25か国、EUに入っていない国が4か国です。
直近の加盟は、ブルガリアとルーマニアで、2025年1月1日です。
「EUに入っている=シェンゲンに入っている」ではありません。アイスランド、ノルウェー、スイス、リヒテンシュタインはEUの外の加盟国で、アイルランドとキプロスはEUの国なのにシェンゲン圏ではありません。
EUの国なのにシェンゲンでない2か国
欧州委員会のページは、この2か国を次のように説明しています。
どちらもユーロを使う国です。そのため、「ユーロの国だからシェンゲンに加盟」という推測は誤りになります。
ユーロを使うEUの国は21か国
次に通貨です。EUのページによると、ユーロを使うEUの国は27か国のうち21か国です。
ブルガリアが21か国目です。ECBとEUのページの一覧に載っています。以前の「20か国」という覚え方は古くなっています。
また、EUの外でも、アンドラ、モナコ、サンマリノ、バチカンはEUとの取り決めにもとづいて、モンテネグロとコソボは取り決めなしでユーロを使っている、とECBのページにあります。
ユーロを使わないEUの6か国と通貨
EUの国でも、ユーロを使わない国が6か国あります。ECBのページにある通貨は次のとおりです。
6か国とも、前に見た25か国のEUの加盟国に入っています。ユーロを使わなくても、シェンゲンには入っているという組合せです。デンマークには、ユーロを導入しない権利(オプトアウト)があります。
2つの問いに分けて組合せを判定する
組合せの問題は、国ごとに2つの問いに分けて判定すると間違えにくくなります。
- シェンゲン圏か(29か国に入るか)
- 通貨はユーロか(21か国に入るか)
この2つの組合せで、国は次のように分かれます。
スイスなどEUの外の4か国は、この記事の出典でユーロを使う国に挙がっていないので、ユーロではありません。通貨名は、旅行先ごとに公式ページで確かめてください。
学習のコツ:覚えるのは例外の国だけ
29か国の名前をそのまま暗記する必要はありません。覚えるのは例外です。
- EUの国でシェンゲンでない:アイルランド、キプロス
- EUの外でシェンゲンに入る:アイスランド、ノルウェー、スイス、リヒテンシュタイン
- EUの国でユーロを使わない:チェコ、デンマーク、ハンガリー、ポーランド、ルーマニア、スウェーデン
この3つの表を頭に置き、設問の国がそのどれにあたるかを見れば、残りは「ふつうの国」と判定できます。直近の変化(2025年1月のブルガリアとルーマニアのシェンゲン完全加盟、2026年のブルガリアのユーロ導入)は、旅行先の情報として問われる可能性があるため、日付と合わせて確かめておきましょう。
総合旅行業務取扱管理者講座では、海外旅行実務のこの分野を、国の組合せを判定する手順で学べます。国内旅行業務取扱管理者の合格者が、約款と海外旅行実務の2科目だけを受ける流れはこちらの記事で整理しています。
まとめ
- シェンゲンは国境の審査の仕組み、ユーロはお金の仕組み。別々に判定する
- シェンゲン圏は29か国(EU 25か国+EU外4か国)。アイルランドとキプロスはEUの国でも圏外
- ユーロを使うEUの国は21か国。ブルガリアが加わった。チェコ・デンマーク・ハンガリー・ポーランド・ルーマニア・スウェーデンは独自の通貨
- 覚えるのは例外の国。最新の状況は公式ページで確かめる
よくある質問
Q. ユーロを使う国は、すべてシェンゲン圏ですか?
いいえ。アイルランドとキプロスはユーロを使いますが、シェンゲン圏には入っていません。
Q. スイスはEUの国ですか? 通貨はユーロですか?
スイスはEUに入っていませんが、シェンゲン圏には加盟しています。EUとECBの一覧にユーロを使う国として載っていないため、通貨はユーロではありません。
Q. ルーマニアはシェンゲン圏ですか?
はい。ブルガリアとともに2025年1月1日に加盟しました。通貨はユーロではなく、レウです。