総合旅行業務取扱管理者試験は、海外旅行を含めた旅行を扱う旅行会社の営業所で、選任が必要な「旅行業務取扱管理者」になるための国家試験です。「何を勉強するのか」「何点取れば受かるのか」「どんな順番で受けるのか」が最初の疑問になると思います。この記事では、試験を実施する日本旅行業協会(JATA)の公表資料をもとに、試験の全体像を整理します。国内旅行業務取扱管理者に合格している人が何を免除されるかは、あとで簡単にふれます。
この記事は2026年10月13日時点で確認した、令和8年度の受験案内と令和7年度の公表資料にもとづいています。日程・手数料・出題形式は年度ごとに変わることがあります。受験するときは、必ず最新の受験案内をJATAの公式サイトで確認してください。
総合旅行業務取扱管理者試験とは
旅行業者は、営業所ごとに旅行業務取扱管理者を選任しなければなりません。登録の業務範囲に応じて、地域限定・国内・総合の3種類の試験があり、総合旅行業務取扱管理者は、海外旅行を含むすべての旅行を扱う営業所で選任できる資格です。試験は観光庁長官の試験事務代行機関であるJATAが年1回実施しています。
- 受験資格: 年齢や国籍に関係なく、誰でも受験できます。ただし、旅行業務取扱管理者試験の受験を停止された人や、合格を無効とされた人は、停止期間が過ぎるまで受けられません(令和8年度の受験案内)
- 試験の形式: 令和8年度の受験案内では、解答はマークシート方式で、会場に集まって受ける筆記試験です
- 出題の基準日: 出題の根拠となる法令・規則は、令和8年8月1日現在で施行・有効なものとされています
試験科目は4つ、配点は100・100・100・200
令和8年度の受験案内に書かれている試験科目は、次の4つです。
| 科目(略称) | 正式な科目名 | 範囲の目安 |
|---|---|---|
| 業法 | 旅行業法及びこれに基づく命令 | 旅行業の登録、旅行業務取扱管理者、禁止行為など |
| 約款 | 旅行業約款、運送約款及び宿泊約款 | 旅行契約のルール、運送・宿泊の約款 |
| 国内旅行実務 | 本邦内の運送機関・宿泊施設の料金など | 国内の運賃・料金、国内の旅行実務 |
| 海外旅行実務 | 本邦外の運送機関の料金など | 国際航空運賃、旅券・通関・検疫・為替の手続、出入国、主要国の観光、語学 |
「範囲の目安」の欄は、受験案内の科目名と説明から、この記事の筆者がまとめたものです。海外旅行実務の説明には、旅券の申請手続、通関手続、検疫手続、為替管理、出入国の手続、主要国の観光、旅行業務に必要な語学などが並んでいます。つまり、国際運賃の計算だけでなく、手続・観光地理・英語まで広い科目です。
配点はJATAの「令和7年度の合格基準」のページに、参考として次のように載っています。
| 科目 | 満点 | 60%の点数 |
|---|---|---|
| 旅行業法令 | 100点 | 60点 |
| 約款 | 100点 | 60点 |
| 国内旅行実務 | 100点 | 60点 |
| 海外旅行実務 | 200点 | 120点 |
海外旅行実務だけが200点満点です。全科目の満点は合計500点ですが、そのうち海外旅行実務が4割を占めます。配点は年度の公表資料で確認できる数字です。最新の年度の配点は、JATAのページで確認してください。
合格基準は「各受験科目で満点の60%以上」
合格基準について、JATAの令和7年度のページには「合格点は各受験科目で満点の60%以上です」と書かれています。ポイントは次の2つです。
- 合計点ではなく、受験する科目ごとに判定されます。4科目のうち1科目でも60%に届かなければ、全体としては不合格です
- 海外旅行実務は200点満点なので、満点の60%は120点です。他の3科目は各60点です
得意科目で苦手科目を補う、という戦い方はできません。したがって、勉強の計画は「4科目すべてで6割」を前提に立てることになります。
試験時間と受験区分
令和8年度の受験案内では、試験日は令和8年10月25日(日)で、10時30分集合(10時開場予定)と案内されています。試験は2つの時限に分かれ、全科目を受ける人(受験区分A)の時間割は次のとおりです。
| 時限 | 時間 | 科目 |
|---|---|---|
| 第1時限 | 11時00分〜12時20分(80分) | 業法、約款 |
| 第2時限 | 13時30分〜15時30分(120分) | 国内旅行実務、海外旅行実務 |
免除の有無などによって、受験区分はAからHまでの8つに分かれます。たとえば、国内旅行業務取扱管理者の有資格者(旅行業務取扱主任者などの認定を含みます)だけが免除を使う場合は受験区分Eで、約款(40分)と海外旅行実務(80分)を受けます。国内旅行業務取扱管理者の有資格者は、業法と国内旅行実務が免除になるからです。
- 第1時限を欠席すると、第2時限は受けられません
- 遅刻は各時限の開始後30分以内に限って認められます
- 解答はHBかBの黒鉛筆またはシャープペンシルで、マークシートに記入します
免除の根拠になる証書、研修、科目合格のしくみは、細かい条件があります。別の記事で詳しく整理しますので、使えるかどうかは必ずJATAの受験案内で確認してください。
科目合格は国内実務・海外実務だけ
不合格でも、「国内旅行実務」と「海外旅行実務」では、その科目の合格基準(満点の60%以上)に達すれば、翌年度の試験に限り、その科目の受験が免除されます。これを科目合格といいます。
- 業法と約款には、科目合格の制度がありません
- 国内旅行業務取扱管理者試験の科目合格は、総合の試験には使えません。総合と国内の試験の間に、相互の免除はないからです
令和7年度に科目合格となった人数は、JATAの資料によると合計449人でした(受験区分別の表の合計。国内のみ170人、海外のみ238人、両方41人)。
令和7年度の合格率はどれくらいか
JATAが公表した令和7年度(10月26日実施)の実施結果では、全体の出願者5,493人、受験者4,519人、合格者1,179人で、合格率(合格者÷受験者)は26.1%でした。受験区分別の主なものは次のとおりです。
| 受験区分 | 受験科目 | 受験者 | 合格者 | 合格率 |
|---|---|---|---|---|
| A | 業法・約款・国内・海外 | 1,948人 | 227人 | 11.7% |
| C | 業法・約款・海外 | 443人 | 26人 | 5.9% |
| D | 業法・約款 | 507人 | 294人 | 58.0% |
| E | 約款・海外 | 1,313人 | 389人 | 29.6% |
| F | 約款 | 201人 | 194人 | 96.5% |
受験区分B(業法・約款・国内)の合格率は48.5%でした。表からは、受ける科目に海外旅行実務が入っている区分は合格率が低く、海外旅行実務がない区分は高い傾向が読み取れます。ただし、受験区分ごとに受験者の背景(研修を受けた人、科目合格者など)は違うので、「どの区分が簡単か」までは言えません。数字は、海外旅行実務が合否を分けやすい科目だと読むのが自然です。
合格率は、受験区分・受験者の構成によって大きく変わります。年度ごとの数字は、JATAの「過去5年間の実施結果」で確認できます。
学習の進め方のヒント
4科目すべてで60%が必要なので、まず「どの科目に時間を割くか」を決めます。
- 全科目を受ける人: 業法・約款は条文と約款の数字(日数・割合・金額)を覚える科目です。海外旅行実務は配点が大きく、範囲も広いので、早めに手をつけます
- 国内旅行業務取扱管理者に合格している人: 約款と海外旅行実務の2科目に集中できます。合格率の表のとおり、海外旅行実務が最大の山です
- 試験は2時限制で、第2時限は国内・海外実務をまとめて120分で解きます。海外旅行実務を受けるだけなら80分です。計算問題の時間配分を練習しておきます
総合旅行業務取扱管理者講座では、業法・約款・国内旅行実務・海外旅行実務の授業と確認問題を、AI講師のトーレスに質問しながら進められます。講座の内容と料金は、講座ページで確認できます。
まとめ
総合旅行業務取扱管理者試験は、業法・約款・国内旅行実務・海外旅行実務の4科目で、各受験科目で満点の60%以上が合格基準です。配点は100点・100点・100点・200点で、海外旅行実務は120点が目安になります。令和7年度の合格率は全体で26.1%、全科目受験は11.7%でした。1科目でも届かなければ不合格になるため、とくに配点の大きい海外旅行実務を軸に学習計画を立てましょう。最新の日程と手数料は、JATAの受験案内で確認してください。

