国内旅行業務取扱管理者に合格したあと、総合旅行業務取扱管理者に進もうとする人は多いと思います。そのとき気になるのが「どの科目が免除になるのか」「免除を使うには何が必要か」「不合格でも一部の科目だけ持ち越せるのか」という点です。この記事では、日本旅行業協会(JATA)の令和8年度の受験案内にもとづいて、科目免除と科目合格のしくみを整理します。
この記事は2026年10月14日時点で確認した、令和8年度の受験案内(令和8年10月25日実施分)と令和7年度の公表資料にもとづいています。免除の条件や対象となる証書は年度ごとに変わることがあります。受験するときは、必ず最新の受験案内をJATAの公式サイトで確認してください。
結論:国内の有資格者は「約款」と「海外旅行実務」の2科目
総合旅行業務取扱管理者試験の科目は、業法・約款・国内旅行実務・海外旅行実務の4つです。令和8年度の受験案内では、国内旅行業務取扱管理者の有資格者が証書を提出すると、次の扱いになります。
- 免除になる科目:業法(旅行業法及びこれに基づく命令)と国内旅行実務
- 受ける科目:約款と海外旅行実務
- 受験区分:E
- 試験時間:約款は第1時限の11時00分〜11時40分(40分)、海外旅行実務は第2時限の13時30分〜14時50分(80分)
全科目を受ける場合(受験区分A)は、第1時限が80分、第2時限が120分です。免除を使うと、拘束される時間が大きく短くなります。ただし、免除されるのは「受験」だけで、残った2科目の合格基準は同じです。各受験科目で満点の60%以上が必要で、海外旅行実務は200点満点なので120点が目安になります。
免除で減るのは科目数です。合格のハードルそのものが下がるわけではありません。受ける科目が約款と海外旅行実務に絞られるぶん、とくに配点の大きい海外旅行実務に勉強時間を回せる、と考えるのがよいでしょう。
免除の根拠になる資格・研修・合格
令和8年度の受験案内には、科目免除の対象となる人が6つ挙げられています。
| 番号 | 該当する人 | 免除される科目 |
|---|---|---|
| ① | 国内旅行業務取扱管理者の有資格者 | 業法・国内旅行実務 |
| ② | 令和7・8年度の総合旅行業務取扱管理者研修「海外旅行実務」の修了者 | 海外旅行実務 |
| ③ | 令和7・8年度の総合旅行業務取扱管理者研修「国内旅行実務」の修了者 | 国内旅行実務 |
| ④ | 令和7年度の総合試験で「海外旅行実務」に科目合格した人 | 海外旅行実務 |
| ⑤ | 令和7年度の総合試験で「国内旅行実務」に科目合格した人 | 国内旅行実務 |
| ⑥ | 地域限定旅行業務取扱管理者の有資格者 | 業法 |
「免除される科目」の欄は、受験案内の受験区分の表(どの組合せがどの科目を受けるか)から、この記事の筆者がまとめたものです。たとえば、①だけに該当する人は受験区分Eで、約款と海外旅行実務を受けます。⑥だけに該当する人は受験区分Gで、約款・国内旅行実務・海外旅行実務を受けます。
①の「国内旅行業務取扱管理者の有資格者」を示す証書は、国内旅行業務取扱主任者認定証、国内旅行業務取扱主任者試験合格証、または国内旅行業務取扱管理者試験合格証です。合格通知書は証書として認められません。
組み合わせると受験区分はどう変わるか
免除は重ねて使えます。令和8年度の受験案内にある組合せのうち、国内の有資格者(①)に関係する例を挙げます。
| 該当する免除 | 受験区分 | 受ける科目 |
|---|---|---|
| ①のみ | E | 約款・海外旅行実務 |
| ①と②(研修で海外旅行実務も免除) | F | 約款のみ |
| ①と④(海外旅行実務に科目合格) | F | 約款のみ |
このように、国内の有資格者がさらに海外旅行実務の免除(研修修了、または前年度の科目合格)を得ると、約款1科目だけ、40分の受験になります。
科目合格のしくみ:対象は2科目、翌年度の1回だけ
不合格になった人でも、次の条件を満たすと、翌年度の試験で科目の受験が免除されます。これが科目合格です。
- 対象の科目:国内旅行実務、海外旅行実務のいずれか、または両方
- 条件:その科目で合格基準点(満点の60%以上)に達していること
- 有効な期間:翌年度の試験に限る(さらに翌々年度には持ち越せません)
- 業法と約款:科目合格の制度はありません
約款や業法が60%に届かなかった場合は、他の科目が合格基準に達していても、翌年は約款や業法をもう一度受けることになります。持ち越せるのは国内旅行実務と海外旅行実務の科目合格だけです。
科目合格をした人には、試験結果通知書に「科目免除通知番号」が記載されます。翌年度の申請では、この番号が記載された面が免除の根拠になる証書(令和8年度の受験案内でいう(ハ))です。
令和7年度の科目合格者数は、JATAの公表資料によると、不合格者3,120人のうち合計449人でした(国内のみ170人、海外のみ238人、両方41人)。不合格になった人の一部が、このしくみで翌年の負担を減らしていることが分かります。
科目合格の判定は、受験した科目ごとに行われます。免除によってその科目を受けていない場合は、科目合格の対象になりません。たとえば国内の有資格者(受験区分E)は国内旅行実務を受けないので、海外旅行実務だけが科目合格の対象になります。
国内旅行業務取扱管理者試験との間に相互免除はない
ここは間違えやすい点なので、受験案内の記述をそのまま整理します。
- 国内旅行業務取扱管理者として有資格であること(上の①)は、総合試験で業法と国内旅行実務の免除になります
- 一方、「総合旅行業務取扱管理者試験」と「国内旅行業務取扱管理者試験」の間には、相互免除はありません
- そのため、国内旅行業務取扱管理者試験で「国内旅行実務」の科目合格をしても、翌年度の総合試験で国内旅行実務の受験は免除されません
「有資格者になる」ことと「国内試験の科目合格にとどまる」ことは別物です。国内試験に合格して証書(合格証)を持つ人は免除を使えますが、国内試験で一部の科目だけ合格した段階では、総合試験の免除にはなりません。
免除を使うための申請
受験案内によると、受験申請はインターネット申請のみで、令和8年度の申請期間は7月16日(木)から8月7日(金)でした。免除を希望する場合の流れは次のとおりです。
- 免除の根拠になる証書の番号を入力する
- 証書を取り込んだ画像をアップロードする(JPEGのみ。PDFとPNGは不可)
- 結婚などで氏名が変わり、証書の氏名と違う場合は、変更を証明できる個人事項証明書(戸籍抄本)の画像もアップロードする
証書の番号の入力や画像のアップロードをしなかった場合は、免除を使えず、全科目受験として受け付けられます。免除の資格があるのに全科目受験になってしまわないよう、申請前に証書を手元に用意しておきましょう。
免除を使う人の勉強の進め方
令和7年度の受験区分別の実施結果を見ると、受験区分E(約款・海外旅行実務)の受験者は1,313人、合格者は389人で、合格率は29.6%でした。約款だけの受験区分Fは、受験者201人、合格者194人で96.5%です。免除を使っても、海外旅行実務を受ける区分の合格率は、約款だけの区分より低いことが数字から読み取れます。受験区分によって受験者の背景が違うので、単純な比較はできませんが、勉強の重心は海外旅行実務に置くのが自然です。
- 約款:国内旅行業務取扱管理者で学んだ募集型企画旅行契約の約款は土台になります。総合の試験科目は「旅行業約款、運送約款及び宿泊約款」で、海外旅行にかかわる規定も学ぶ必要があります
- 海外旅行実務:国際航空運賃、旅券、出入国の手続、観光地理、英語などの広い範囲を、早めに手をつけて繰り返します
総合旅行業務取扱管理者講座には、約款と海外旅行実務の授業と確認問題があります。免除の対象になる科目は受けなくてよいので、必要な科目から学習を始められます。内容と料金は、講座ページで確認できます。
関連して、試験全体の配点と合格基準は総合旅行業務取扱管理者試験とはにまとめています。
まとめ
国内旅行業務取扱管理者の有資格者は、総合旅行業務取扱管理者試験で業法と国内旅行実務が免除になり、約款(40分)と海外旅行実務(80分)の2科目(受験区分E)で受けられます。免除は証書番号の入力と証書画像(JPEG)のアップロードで申請し、しなければ全科目受験になります。科目合格は国内旅行実務と海外旅行実務だけが対象で、有効なのは翌年度の試験のみ。国内試験との相互免除はありません。最新の条件は、毎年のJATAの受験案内で確認してください。

