海外でお土産を買って帰国するとき、どこまでが免税で、超えたらいくら税金がかかるのか。旅行会社で働く人にとっては、お客様からよく聞かれる質問です。総合旅行業務取扱管理者の海外旅行実務でも、通関手続の分野として扱われます。この記事では、税関が公表している免税範囲と税額の計算方法を整理し、新しく作った例題で計算の手順を確かめます。
この記事は、2026年10月24日時点で確認した税関のページにもとづいています。免税範囲や税率は改正されることがあります。実際の旅行のご案内や受験の前には、税関の公式サイトで最新の内容を確認してください。
帰国時の免税範囲は品目ごとに決まっている
税関のページによると、免税になるのは、携帯品や別送品(帰国後6か月以内に輸入するものに限ります)のうち、個人的に使うと認められるものです。入国者一人あたりの枠は次のとおりです。携帯品と別送品の両方がある場合は、合算して数えます。
| 品名 | 免税の範囲 | 備考 |
|---|---|---|
| 酒類 | 3本 | 1本760mlのもので数える |
| たばこ(紙巻たばこのみ) | 200本 | |
| たばこ(加熱式たばこのみ) | 個装等10個 | 1箱は紙巻たばこ20本に相当する量 |
| たばこ(葉巻たばこのみ) | 50本 | |
| たばこ(その他) | 250g | |
| 香水 | 2オンス | 1オンスは約28ml。オーデコロン・オードトワレは含まれない |
| その他の品物 | 海外市価の合計20万円 | 「海外市価」は外国での通常の小売購入価格 |
2018年10月1日から、たばこの免税範囲は、居住者と非居住者・日本製と外国製の区別がなくなりました。加熱式たばこは製品によって数え方の例が違います(税関のページでは、アイコスとグローは200本、ウィズは50個と例示されています)。
年齢による制限もあります。20歳未満の人は、酒類とたばこが免税になりません。6歳未満の子どもは、おもちゃなど明らかに本人が使うと認められるもの以外は免税になりません。
「その他の品物」20万円の数え方は3つのルール
試験でも実務でも、計算が必要になるのは「その他の品物」の20万円です。税関のページに書かれたルールは次の3つです。
- 1品目ごとの海外市価の合計額が1万円以下のものは、原則として免税になる(税関の例では、1個1,000円のチョコレート9個や、1本5,000円のネクタイ2本)
- 合計額が20万円を超えるときは、20万円以内におさまる品物が免税になり、残りの品物に課税される。免税にする品目は、税関が旅行者に有利になるように選ぶ
- 1個で20万円を超える品物は、その全額が課税される(税関の例では、25万円のバッグは25万円の全額について課税)
ここで間違えやすいのは、3番目です。「20万円を超えた分だけ」ではなく、その品物の全額が課税の対象になります。また、1番目の「1万円以下」は、1個の値段ではなく、同じ品目の合計で判断します。
税額は「海外市価×0.6」に税率を掛けて出す
免税範囲を超えた品物には、税金がかかります。税関のページでは、税額の出し方を次のように説明しています。
- 課税価格: お土産などの携帯品・別送品では、海外での小売価格(購入価格)に0.6を掛けた価格を課税価格とする
- 税額: 課税価格に税率を掛けて決める
税率は、品物によって大きく3つに分かれます。いちばん多く使うのは、関税や消費税などをまとめた「簡易税率」です。
| 品名 | 簡易税率 |
|---|---|
| ウイスキー・ブランデー | 800円/リットル |
| ラム・ジン・ウォッカ | 500円/リットル |
| リキュール | 400円/リットル |
| 焼酎 | 300円/リットル |
| その他の酒(ワイン・ビールなど) | 200円/リットル |
| 紙巻たばこ | 15円/本 |
| 加熱式たばこ(葉たばこスティック) | 15円/本 |
| 葉たばこカプセルなどを小売用に包装したもの(ウィズなど) | 50円/個 |
| その他の品物(関税が無税のものを除く) | 15% |
酒は金額ではなく、量(リットル)に応じて税額が決まります。「その他の品物」は、課税価格の15%です。
簡易税率が適用されないものがある
簡易税率を適用できない関税有税品は、関税や消費税などを別々に計算します。税関のページが挙げる例は次のとおりです。
| 場合 | 税の扱い |
|---|---|
| 1個(1組)の課税価格が10万円を超えるもの | 一般の関税率で計算する |
| 紙巻たばこ・上記の加熱式たばこ以外のたばこ、米、食用のり、猟銃など | 一般の関税率で計算する |
| 旅行者が簡易税率を使わないと申し出たとき | 持ち込む品物の全部が一般の税率になる |
| 腕時計・ゴルフクラブ・パソコンなど関税が無税のもの | 消費税・地方消費税のみ(合計10%、軽減税率の品物は8%) |
課税価格は海外市価の0.6倍です。したがって「課税価格が10万円を超える」のは、海外市価でおよそ16万6,700円を超えるときです(10万円÷0.6)。
例題で確かめる(この記事のための新作です)
実際の計算は、次の順番で進めます。
- 1品目ごとの合計が1万円以下のものを外す
- 残りの海外市価を合計し、20万円を超えるか確かめる
- 超えるなら、20万円以内で免税にする組合せのうち、課税される税額がいちばん小さくなるものを選ぶ
- 課税する品物は、海外市価×0.6×税率(15%)で税額を出す
例題1:その他の品物が27万円を超えた
次の品物を買って帰国しました。どれも自分用で、20歳以上です。
| 品物 | 海外市価 |
|---|---|
| ジャケット(1着) | 11万円 |
| ハンドバッグ(1個) | 9万円 |
| スカーフ(1枚) | 7万円 |
| 個包装のお菓子(600円×10個) | 合計6,000円 |
お菓子は品目の合計が1万円以下なので、免税で、20万円の計算に入れません。残りの合計は27万円で、20万円を超えます。
20万円以内におさまる組合せごとに、課税される品物の税額を比べます。
| 課税する品物 | 課税価格 | 税額(15%) |
|---|---|---|
| スカーフ(7万円) | 4万2,000円 | 6,300円 |
| ハンドバッグ(9万円) | 5万4,000円 | 8,100円 |
| ジャケット(11万円) | 6万6,000円 | 9,900円 |
ジャケット+バッグ=ちょうど20万円は免税の枠におさまります。課税されるのは、税額が最も小さいスカーフで、6,300円です。どの品物も課税価格が10万円以下なので、簡易税率の15%を使えます。
例題2:お酒が4本ある
ウイスキー1本、ラム1本、ワイン2本(すべて760ml)を持ち帰りました。酒類の免税は3本までなので、1本が課税されます。税関は旅行者に有利になるように選ぶので、税額が最も小さいワインが課税される形になります。
- ワイン1本に課税: 0.76リットル×200円=152円(計算上の額)
- ウイスキー1本に課税: 0.76リットル×800円=608円(計算上の額)
「安いお酒」ではなく、「税額が小さいお酒」が課税される点がポイントです。なお、税関のページでは、税額の合計の100円未満は切り捨てると説明されています。
例題3:1個25万円のハンドバッグ
海外市価25万円のバッグを1個買いました。1個で20万円を超えているので、25万円の全額が課税の対象です。免税の枠20万円が使えるわけではありません。さらに、課税価格は25万円×0.6=15万円で、10万円を超えます。簡易税率は適用できず、一般の関税率で計算する品物になります。
試験での覚え方と注意点
- 数字は「3本・200本・2オンス・20万円・1万円・0.6・15%・10万円」の8つを軸に覚える
- 計算問題は、まず「数えない物(1万円以下)」「1個で20万円を超える物」を先に外す
- 免税を選ぶのは旅行者に有利になる方向、つまり課税される税額が最小になる組合せ
- 酒は、本数で免税を判断し、課税する本は「税額の小さい酒」から選ぶ
- 20歳未満は、酒類とたばこは免税にならない(その他の品物の20万円は別)
JATAの令和8年度の受験案内では、海外旅行実務の出題範囲に「旅券の申請手続、通関手続、検疫手続、為替管理」などが挙げられています。出題の根拠となる法令・規則は、令和8年8月1日現在で施行・有効なものです。試験全体の配点や合格基準は、総合旅行業務取扱管理者試験の記事で整理しています。
総合旅行業務取扱管理者講座では、海外旅行実務の通関・関税の授業と確認問題を、AI講師のトーレスに質問しながら進められます。講座の内容と料金は、講座ページで確認できます。
よくある質問
Q. 免税範囲の20万円は、お土産を何人分まとめて使えますか?
免税の範囲は「入国者一人あたり」です。家族分のお土産を1人の枠にまとめることはできません。それぞれが自分の分の枠を使います。
Q. 帰国後に別送した荷物も、20万円に入りますか?
入ります。免税になるのは帰国後6か月以内に輸入するもので、携帯品と別送品の両方がある場合は合算して数えます。
Q. 簡易税率の15%は、どんな品物でも使えますか?
適用されません。1個(1組)の課税価格が10万円を超えるもの、関税の無税品(時計やパソコンなど)、紙巻・加熱式以外のたばこなどは、別の税率で計算します。
まとめ
帰国時の免税は、酒類3本・紙巻たばこ200本・香水2オンス・その他の品物は海外市価の合計20万円が基本です。その他の品物は、1品目の合計が1万円以下なら数えず、20万円を超えたら税額が最小になるように免税の品物を選びます。1個で20万円を超えるものは全額課税です。税額は海外市価の0.6倍を課税価格とし、簡易税率(その他の品物は15%)を掛けて出します。最新の範囲と税率は、税関の公式サイトで確認してください。

