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区分所有法の建替え決議の手続|招集2か月前・説明会・催告・売渡請求の流れ

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マンションの建替え決議の手続を時系列で整理。招集通知は2か月前、説明会は1か月前、決議後の催告・2か月の回答期間・売渡請求・買戻しまでを、令和7年改正後の区分所有法の条文で確かめました。

トーレス先生
トーレス

マンションの建替え決議の手続を時系列で整理。招集通知は2か月前、説明会は1か月前、決議後の催告・2か月の回答期間・売渡請求・買戻しまでを、令和7年改正後の区分所有法の条文で確かめました。

この記事の要点

  • 建替え決議は、区分所有者数と議決権の各5分の4以上(客観的事由があれば各4分の3以上)。出席者ではなく全体で数える(62条1項・2項)
  • 招集通知は会日の2か月前まで、説明会は会日の1か月前までに開く。規約で伸ばせるのは通知の期間(62条6項・8項)
  • 決議後は、賛成しなかった人へ書面で催告する。回答は受けた日から2か月以内で、無回答は「参加しない」とみなされる(63条)
  • 売渡請求は回答期間の満了日から2か月以内。決議から2年以内に取壊しの工事に着手しないと買戻しの請求ができる(63条5項・7項)
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建替え決議は、集会で賛成を集めれば終わり、という手続ではありません。集会の2か月前の通知、1か月前の説明会、決議後の催告、2か月の回答期間、売渡請求、そして買戻しまで、期間が何本も連続して出てきます。マンション管理士試験では、この「どの期間が何か月か」を取り違えやすいところです。この記事では、建替え決議の手続を時間の順に並べて整理します。区分所有法の条文は、e-Gov法令検索で確認した改正後(2026年4月1日施行)の規定です(2026年11月1日時点)。

結論:建替え決議の手続は「決議の前」と「決議の後」に分けて覚える

建替え決議の手続は、決議の前に3つ、決議の後に5つの山があります。

時期 手続 期間 条文
決議の前 招集通知を発する 会日より少なくとも2か月前 62条6項
決議の前 説明会を開く 会日より少なくとも1か月前まで 62条8項
決議の日 建替え決議(賛成の数え方は全体で5分の4など) — 62条1項・2項
決議の後 賛成しなかった人へ書面で催告 遅滞なく 63条1項
決議の後 催告を受けた人が回答 催告を受けた日から2か月以内 63条3項
決議の後 売渡請求 回答期間の満了日から2か月以内 63条5項
決議の後 取壊しの工事に着手 決議の日から2年以内 63条7項
決議の後 買戻しの請求 2年の満了日から6か月以内 63条7項

この表の数字を、時間の順にたどれるようにするのが、この記事のゴールです。

「2か月」が3回出てきます。招集通知は「会日の前」、回答は「催告を受けた日から」、売渡請求は「回答期間の満了日から」。起点がそれぞれ違う、と整理すると混ざりません。

建替え決議の要件:出席者ではなく「全体」で数える

まず、決議そのものの数え方を確認します。建替え決議は、区分所有者(議決権を有しない人を除く)の数と議決権の、それぞれ5分の4以上の多数で行います(区分所有法62条1項)。

ここで大事なのは、母数が出席者ではなく全体であることです。集会に出席した人の5分の4ではありません。欠席した人は、結果として賛成していない側に数えられます。

建物が次のいずれかに当てはまるときは、5分の4が4分の3に下がります(62条2項)。

  1. 地震に対する安全性について、法務大臣が定める基準に適合していない
  2. 火災に対する安全性について、法務大臣が定める基準に適合していない
  3. 外壁や外装材が剝離・落下して、周辺に危害を生ずるおそれがある
  4. 給水・排水などの配管設備の劣化で、著しく衛生上有害となるおそれがある
  5. 高齢者・障害者等の移動等の円滑化の基準に適合していない

数字で確かめます。区分所有者が50人、議決権が合計60個のマンションを考えます(この数字は説明用に作った例です)。

建物の状態 必要な区分所有者数 必要な議決権
客観的事由がない(5分の4) 40人以上 48個以上
客観的事由がある(4分の3) 38人以上(37.5人を切り上げ) 45個以上

人数と議決権は、どちらか一方ではなく両方の要件を満たす必要があります。

令和7年改正で、建物の更新や取壊しなど、建替え以外の決議も加わりました。その全体像は、令和7年の区分所有法改正の記事で整理しています。決議要件の一覧は区分所有法の決議要件の記事も使えます。

決議で定める4つの事項

建替え決議では、次の4つを定めなければなりません(62条4項)。

事項 内容
① 設計の概要 新しく建てる建物(再建建物)の設計の概要
② 費用の概算額 建物の取壊しと再建建物の建築にかかる費用
③ 費用の分担 ②を誰がどう負担するか
④ 区分所有権の帰属 再建建物の区分所有権を誰が取得するか

このうち③と④は、各区分所有者の衡平を害しないように定める必要があります(62条5項)。「衡平」というキーワードは、③と④にだけ付いていると覚えておくと、①②との区別がつきます。

決議の前の手続:招集は2か月前、説明会は1か月前

通常の集会の招集通知は、会日より少なくとも1週間前に発します(35条1項)。ところが、建替え決議を会議の目的とする集会は、通知を会日より少なくとも2か月前に発しなければなりません(62条6項)。この期間は、規約で伸ばすことができます(短くはできません)。

通知には、会議の目的たる事項と議案の要領のほか、次の4つも書きます(62条7項)。

通知する事項 内容
理由 建物の建替えを必要とする理由
費用 建替えをしない場合に、建物の効用を維持・回復するのに要する費用の額とその内訳
修繕計画 建物の修繕に関する計画が定められているときは、その内容
修繕積立金 修繕積立金として積み立てられている金額

「建替えをしない場合の費用」を示すのは、建替えと修繕を比べて判断してもらうためです。

さらに、集会を招集した者は、会日より少なくとも1か月前までに、通知すべき事項について説明する説明会を開催しなければなりません(62条8項)。説明会の開催には、招集通知の規定(35条)と、招集手続の規定(36条)が準用されます(62条9項)。区分所有者から求められた場合だけ開く、というものではありません。

「規約で伸ばせる」のは招集通知の2か月の期間です(62条6項ただし書)。説明会の1か月は条文に伸縮の規定がなく、また2か月と1か月を取り違える誤りが出やすい点です。通知は2か月、説明会は1か月、と対にして覚えます。

決議をしたときは、議事録に各区分所有者の賛否も記載または記録します(62条10項は、61条6項を準用しています)。

決議の後の手続①:催告と2か月の回答期間

決議が可決されたら、集会を招集した者は遅滞なく、決議に賛成しなかった区分所有者(その承継人を含む)に対し、建替えに参加するかどうかを回答するよう、書面で催告しなければなりません(63条1項)。相手の承諾を得れば、書面に代えて電磁的方法で催告することもできます(63条2項)。

催告を受けた区分所有者は、催告を受けた日から2か月以内に回答します(63条3項)。回答しなかった人は、参加しない旨を回答したものとみなされます(63条4項)。「無回答は参加とみなす」ではない点が、試験で狙われます。

回答の結果、建替えに「参加する側」と「参加しない側」が決まります。

立場 該当する人
参加する側 決議に賛成した人/催告に「参加する」と回答した人/買受指定者
参加しない側 「参加しない」と回答した人/無回答の人(みなし)

決議に賛成した人、参加すると回答した人、買受指定者は、建替え決議の内容により建替えを行う旨の合意をしたものとみなされます(64条)。

決議の後の手続②:売渡請求は回答期間の満了日から2か月以内

回答期間(2か月)が過ぎたら、参加する側は、参加しない側に対して、区分所有権と敷地利用権を時価で売り渡すよう請求できます。これが売渡請求です(63条5項)。

項目 内容
請求できる人 決議に賛成した人/参加すると回答した人/全員の合意で指定された買受指定者(承継人を含む)
請求される人 参加しない旨を回答した人(無回答でみなされた人を含む)。決議後にその人から敷地利用権のみを取得した人にも請求できる
請求の内容 区分所有権と敷地利用権を時価で売り渡すこと
請求の期限 回答期間の満了の日から2か月以内

請求を受けた人が、建物を明け渡すと生活上著しい困難を生ずるおそれがあり、かつ建替え決議の遂行に甚だしい影響を及ぼさないと認められる顕著な事由があるときは、裁判所が、その人の請求により、代金の支払または提供の日から1年を超えない範囲で、明渡しに相当の期限を許与することができます(63条6項)。許与されるのは「建物の明渡し」の期限です。

決議の後の手続③:2年以内に着手しないと買戻し

売渡請求で区分所有権や敷地利用権を手放した人は、建替えが実際に進むことを前提に売っています。そこで、決議の日から2年以内に建物の取壊しの工事に着手しない場合には、売り渡した人は、2年の期間の満了の日から6か月以内に、買主が支払った代金に相当する金銭を、現在その権利を持つ人に提供して、売り渡すよう請求できます(63条7項本文)。

ただし、着手しなかったことに正当な理由があるときは、この請求はできません(63条7項ただし書)。その理由がなくなった日から6か月以内にも着手しないときは、買戻しを請求できます。その場合の請求の期限は、理由がなくなったことを知った日から6か月、またはその理由がなくなった日から2年の、いずれか早い時期までです(63条8項)。

ここまでを、時間の順に並べ直します。

順 できごと 時間の目安
① 招集通知を発する 会日の2か月前まで
② 説明会を開く 会日の1か月前まで
③ 建替え決議(全体の5分の4など) 会日
④ 賛成しなかった人へ書面で催告 遅滞なく
⑤ 催告を受けた人が回答する 受けた日から2か月以内
⑥ 参加する側が売渡請求 ⑤の満了日から2か月以内
⑦ 取壊しの工事に着手 決議の日から2年以内
⑧ 着手しなければ買戻しの請求 ⑦の満了日から6か月以内

試験で取り違えやすいポイント

正しい理解 よくある誤り
建替え決議は、出席者ではなく全体で数える 出席した人の5分の4でよい
招集通知は2か月前、説明会は1か月前まで 招集通知は1週間前でよい
説明会は、求めがなくても開く 説明会は、求められたら開けばよい
無回答の人は、参加しないとみなされる 無回答の人は、参加するとみなされる
売渡請求は、回答期間の満了日から2か月以内 売渡請求は、決議の日から2か月以内
裁判所が期限を許与できるのは、建物の明渡し 登記や代金の支払の期限も許与される
買戻しの請求は、2年の満了日から6か月以内 買戻しの請求は、決議の日から6か月以内

令和7年の改正で、建替え決議の規定のほか、区分所有者の所在が分からない場合の取扱い(38条の2)なども整備されました。裁判所の裁判で「所在等不明区分所有者」とされた人は、集会の議決権を有しません。古い教材の数字を覚えているときは、必ず改正後の条文で確かめ直してください。

学習の進め方:期間は「起点」とセットで覚える

建替え決議の手続は、数字を単独で覚えるより、「起点」とセットで覚えるほうが定着します。

  1. まず、決議の要件(全体の5分の4、客観的事由があれば4分の3)を覚える
  2. 次に、決議の前の期間(通知は2か月前、説明会は1か月前)を覚える
  3. 最後に、決議の後の期間を、①催告→②回答2か月→③売渡請求2か月→④2年→⑤6か月の順に並べる

マンション管理士講座では、区分所有法の決議の分野を、条文の順ではなく論点ごとに整理した授業で扱っています。表や数字の暗記だけでなく、事例で数えて確かめる練習をすると、本試験での取り違えが減ります。

よくある質問

Q. 建替え決議は、出席者の5分の4で成立しますか。

いいえ。建替え決議は、区分所有者の数と議決権のそれぞれについて、全体の5分の4以上(客観的事由があれば4分の3以上)が必要です(62条1項・2項)。出席者を母数にするのは、集会の普通決議などの場合です。

Q. 説明会は、区分所有者から求められたときだけ開けばよいですか。

いいえ。集会を招集した者は、会日より少なくとも1か月前までに説明会を開催しなければなりません(62条8項)。求めの有無は条文の要件になっていません。

Q. 催告に回答しなかった人は、建替えに参加したことになりますか。

いいえ。回答期間内に回答しなかった人は、参加しない旨を回答したものとみなされます(63条4項)。そのため、売渡請求の相手になります。

Q. 建替え決議の後、取壊しの工事が始まらないとどうなりますか。

決議の日から2年以内に着手しない場合、売渡請求で権利を手放した人は、2年の満了日から6か月以内に買戻しを請求できます。ただし、着手しなかったことに正当な理由があるときは請求できません(63条7項・8項)。

まとめ

  • 建替え決議は、区分所有者数と議決権の各5分の4以上(客観的事由があれば各4分の3以上)。全体で数える
  • 決議の前は、通知が会日の2か月前、説明会が1か月前まで。決議で定める4事項のうち、費用の分担と区分所有権の帰属は衡平を害しないように定める
  • 決議の後は、書面の催告→受けた日から2か月で回答→満了日から2か月で売渡請求。無回答は「参加しない」とみなされる
  • 決議から2年以内に取壊しの工事に着手しないと、買戻しを請求できる(満了日から6か月以内)

条文の番号や期間は、改正で変わることがあります。受験する年度の4月1日現在で施行されている法令が基準になりますので、最新の条文はe-Gov法令検索で確かめてください。

参考にした情報

記事の内容は、記載の日付時点で確認した情報にもとづいています。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。内容に誤りを見つけた場合は、お問い合わせからお知らせください。確認のうえ修正します。

2026年11月1日約13分で読めます
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