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論点解説

区分所有法の決議要件を1枚の表で整理|普通決議・4分の3・3分の2・5分の4の違い

区分所有法の集会の決議を、普通決議・4分の3・3分の2・5分の4に分けて比較表で整理します。出席者で数えるか全体で数えるか、規約で変えられる範囲まで、令和7年改正後の条文で確かめました。

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区分所有法の集会の決議を、普通決議・4分の3・3分の2・5分の4に分けて比較表で整理します。出席者で数えるか全体で数えるか、規約で変えられる範囲まで、令和7年改正後の条文で確かめました。

この記事の要点

  • 普通決議は出席者の区分所有者数と議決権の各過半数で、4分の3・3分の2の決議には出席の最低ラインがある
  • 建替え決議などの5分の4は、出席者ではなく全体の区分所有者数と議決権で数える。客観的事由があると4分の3に下がる
  • 割合を規約で下げられるのは共用部分の変更の4分の3だけで、2分の1を超える範囲までと条文にある
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区分所有法の勉強で最初につまずきやすいのが、集会の決議要件です。「過半数」「4分の3」「3分の2」「5分の4」が並び、しかも「出席者の何分の何か」「全体の何分の何か」で数え方が変わります。この記事では、区分所有法の条文を確かめながら、決議要件を1つの表にまとめます。条文は、令和7年法律第47号による改正後で、2026年4月1日に施行された規定です(2026年10月13日時点にe-Govで確認した内容です)。改正前の割合や条番号は書いていません。

結論:決議は「数え方」と「割合」の2段階で整理する

決議の要件は、次の2つを分けて考えると整理しやすくなります。

  1. 何を母数にするか:集会に出席した人を母数にするのか、建物全体の区分所有者と議決権を母数にするのか
  2. どの割合か:過半数、4分の3、3分の2、5分の4のどれか

区分所有法の決議では、区分所有者の数(頭数)と議決権の数を別々に数え、その両方が要件を満たして初めて可決になります。議決権は、規約に別段の定めがなければ共用部分の持分の割合(専有部分の床面積の割合)です(38条、14条)。議決権を有しない人(所在等不明区分所有者として裁判を受けた人など)は、母数から外れます(38条の2)。

決議要件の全体表

主な決議を、数え方ごとに並べます。

決議の種類 数え方 割合 主な条文
普通決議 出席者 区分所有者数と議決権の各過半数 39条1項
4分の3の決議 出席者(出席の最低ラインあり) 出席した区分所有者と議決権の各4分の3以上 17条1項、31条1項、47条1項、55条2項、58条2項
3分の2の決議 出席者(出席の最低ラインあり) 出席した区分所有者と議決権の各3分の2以上 17条5項、61条5項
5分の4の決議 全体 区分所有者数と議決権の各5分の4以上 62条1項、64条の5第1項、64条の8第1項
5分の4の決議(売却系) 全体 区分所有者数・議決権・敷地利用権の持分の価格の各5分の4以上 64条の6第1項、64条の7第1項

「出席者」で数える決議は、集会に出た人だけで可否が決まります。一方、5分の4の決議は、欠席した人も母数に入れたまま数えます。欠席や無関心は、実質的に反対と同じ扱いになります。

普通決議:出席者の過半数で決まる

条文に特別の定めがない事項は、普通決議で決めます。39条1項は、集会の議事を「出席した区分所有者(議決権を有しないものを除く。)及びその議決権の各過半数で決する」と定めています。

普通決議には、出席の最低ラインがありません。出席が少なくても、出席者の過半数が賛成すれば可決できます。ただし、条文は「この法律又は規約に別段の定めがない限り」としているので、規約で別の定めを置くこともできます。

普通決議で決める代表例は、次のとおりです。

  • 共用部分の管理に関する事項(18条1項。17条の共用部分の変更にあたるものを除く)
  • 管理者の選任と解任(25条1項。規約に別段の定めがない場合)
  • 共同の利益に反する行為の停止等を求める訴えの提起(57条2項)

18条の管理は、17条の「変更」と区別します。形状や効用の著しい変更を伴わない変更は、17条1項のかっこ書きで4分の3の対象から外れ、管理として普通決議で決められます。

4分の3の決議:出席の最低ラインと特別の影響

4分の3の決議では、決議の前に「出席の最低ライン」が必要です。条文は、区分所有者の過半数であって議決権の過半数を有する人が出席し、そのうえで出席した区分所有者と議決権の各4分の3以上が賛成することを求めています。つまり、次の2段階です。

  1. 区分所有者の過半数かつ議決権の過半数が出席している(出席の最低ライン)
  2. 出席した区分所有者と議決権の、それぞれ4分の3以上が賛成する

4分の3の決議にあたる代表例は、次のとおりです。

事項 条文
共用部分の変更(形状・効用の著しい変更を伴わないものを除く) 17条1項
規約の設定・変更・廃止 31条1項
管理組合法人の成立 47条1項
管理組合法人の解散 55条2項
使用禁止の請求の決議 58条2項
区分所有権の競売の請求の決議 59条2項(58条2項を準用)
占有者に対する引渡し請求の決議 60条2項(58条2項を準用)

規約の変更や共用部分の変更が一部の人に不利益になる場合は、割合を満たしても、その人の承諾が必要です。規約の変更が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすときは、その人の承諾を得なければなりません(31条1項後段)。共用部分の変更が専有部分の使用に特別の影響を及ぼすときも、その専有部分の所有者の承諾が必要です(17条2項)。

3分の2の決議:4分の3が3分の2に下がる場面

17条5項は、共用部分の変更のうち次の2つについて、4分の3を3分の2に読み替えると定めています。

  • 共用部分の設置・保存の瑕疵(かし)によって他人の権利や利益が侵害される(おそれがある)場合に、その瑕疵を除くために必要な変更
  • 高齢者や障害者などの移動や施設の利用の負担を軽くし、利便性と安全性を高めるために必要な変更

もう1つの3分の2の例は、建物の一部が滅失した場合の復旧です。建物の価格の2分の1以下の滅失なら、復旧は各区分所有者が単独でもでき、集会の決議でもできます(61条1項・3項)。2分の1を超える滅失の復旧決議が、出席の最低ラインを満たした集会での各3分の2以上の決議です(61条5項)。この決議があった場合、賛成しなかった区分所有者は、建物と敷地の権利を時価で買い取るよう請求できる場合があります(61条7項)。

5分の4の決議:全体で数え、客観的事由で4分の3に下がる

建替え決議は、区分所有者(議決権を有しない人を除く)と議決権の各5分の4以上の多数で行います(62条1項)。ここで数えるのは、集会に出席した人ではなく、全体の区分所有者と議決権です。出席者が30人でも、母数が46人なら、賛成が全体の5分の4に届かなければ可決しません。

建物が次のいずれかに当たる場合は、5分の4が4分の3に下がります(62条2項)。

  • 地震に対する安全性が、法務大臣の定める基準に適合していない
  • 火災に対する安全性が、同様に適合していない
  • 外壁や外装材が剝離(はくり)・落下して周辺に危害を生ずるおそれがある
  • 給排水などの配管設備が劣化して著しく衛生上有害となるおそれがある(改修が著しく困難なものに限る)
  • バリアフリーに関する建築物移動等円滑化基準に準ずる基準に適合していない

令和7年改正後は、建替え決議のほかにも5分の4で行える決議があります。建物の更新(64条の5)と、建物の取壊し(64条の8)は、区分所有者と議決権の各5分の4以上です。建物敷地売却決議(64条の6)と建物取壊し敷地売却決議(64条の7)は、これに敷地利用権の持分の価格を加えた3つの各5分の4以上が必要です。

建替え決議の手続には、割合のほかに期間の定めもあります。建替え決議を目的とする集会の招集通知は、会日の少なくとも2か月前に発します(62条6項)。説明会は会日の少なくとも1か月前までに開きます(62条8項)。通常の招集通知が1週間前でよいこと(35条1項)と比べると、慎重な手続になっています。

規約で割合を変えられる範囲

条文を読むと、規約で変えられる範囲は決議ごとに違います。ここが試験でよく問われる部分です。

決議 規約で変えられるか(条文の書き方)
共用部分の変更の4分の3 2分の1を超える範囲で下げられる(17条1項かっこ書き)
規約の変更の4分の3 下げる定めは条文にない(31条1項)
出席の最低ライン(過半数の出席) 上回る割合を規約で定めることができる(17条1項、31条1項など)
普通決議 この法律又は規約に別段の定めがあればそれによる(39条1項)
建替え決議の5分の4 規約で変える旨の定めは条文にない(62条1項)

覚え方として、下げられるのは共用部分の変更だけ、出席の最低ラインは引き上げられる、と押さえると整理しやすくなります。規約で割合を下げるのは、「共用部分の変更」の4分の3に限られます。この区別は、「規約で定めれば何でも変えられる」という誤りを見抜くときに役立ちます。

計算の例:数え方で結論が変わる

数字を使って確かめます。次は、この記事のために作った例です。

40戸のマンションで、区分所有者が40人、議決権が40個(1戸につき1個)とします。集会に25人(議決権25個)が、会場・書面・代理人のいずれかの方法で出席しました。書面や代理人による議決権の行使は、出席した区分所有者の数に算入されます(39条2項)。

決議 母数 必要な賛成(人・個とも)
出席の最低ライン 全体40人 21人以上が出席(過半数)
普通決議 出席25人 13人以上
3分の2の決議 出席25人 17人以上
4分の3の決議 出席25人 19人以上
建替え決議(5分の4) 全体40人 32人以上
客観的事由がある建替え決議(4分の3) 全体40人 30人以上

出席は25人で、最低ラインの21人を超えています。この集会で規約を変更するなら、19人以上の賛成が必要です。割り切れない場合は切り上げて数えます(25人の4分の3は18.75人なので19人)。一方、同じ出席25人でも、建替え決議には32人以上の賛成が必要で、出席者の数は関係しません。人数と議決権の両方で数える点も、忘れないようにしましょう。住戸を複数持つ人がいると、人数と議決権の数がずれるためです。

試験での問われ方と注意点

試験では、次のような視点で選択肢が作られます。

  • 「出席者で数える決議」か「全体で数える決議」かの取り違え
  • 区分所有者数だけ、あるいは議決権だけで判断してしまう誤り
  • 規約で変えられる範囲(下げられる決議・引き上げられる要件)の取り違え
  • 議決権を有しない人や、書面・代理人・電磁的方法で行使した人の扱い

電磁的方法で議決権を行使することも、規約または集会の決議があれば認められ、書面による行使とみなされます(39条3項)。

また、出題の法令は、試験年度の4月1日現在で施行されているものが基準です(試験の形式や日程はマンション管理士試験とは? 50問・120分の形式、出題の並び、一部免除をまとめて解説でまとめています)。区分所有法の令和7年改正は2026年4月1日に施行されたので、令和8年度の試験は改正後の規定で学ぶことになります。参考書や古い問題集の割合や条番号は、改正後の条文と照らして確認してください。

講座で学ぶには

決議要件は、表を眺めるだけでは定着しにくい分野です。具体的な人数で計算を繰り返すと、「出席者で数える」「全体で数える」の違いが身につきます。マンション管理士講座では、区分所有法の授業で決議要件を整理し、確認問題で数え方を練習できます。授業の内容と進め方は、講座ページで確認できます。

まとめ

  • 普通決議は出席者の区分所有者数と議決権の各過半数で、出席の最低ラインはない
  • 4分の3と3分の2の決議は、区分所有者の過半数かつ議決権の過半数の出席が前提で、その出席者の中で割合を数える
  • 建替え・更新・取壊しなどの5分の4は全体で数え、客観的事由があると建替え決議は4分の3に下がる
  • 規約で割合を下げられるのは共用部分の変更の4分の3だけで、出席の最低ラインは引き上げられる

法令は改正されます。この記事の内容は2026年10月13日時点の確認で、令和7年改正後の規定です。試験の受験前には、e-Gov法令検索と、マンション管理センターの最新の案内で確認してください。

参考にした情報

記事の内容は、記載の日付時点で確認した情報にもとづいています。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。内容に誤りを見つけた場合は、お問い合わせからお知らせください。確認のうえ修正します。

2026年10月13日約11分で読めます
マンション管理士試験区分所有法決議要件集会令和7年改正
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