介護福祉士国家試験の受験資格は、大きく4つのルートに分かれています。「介護の仕事を3年していれば受けられる」と思われがちですが、実務経験のルートでは実務者研修の修了も必要で、働いた日数にも条件があります。この記事では、試験を実施している社会福祉振興・試験センターの案内(2026年11月2日に確認)にそって、自分がどのルートに当てはまるかを整理します。
介護福祉士の受験資格は、どんなルートがある?
試験センターの「受験資格(資格取得ルート図)」では、受験資格のあるルートを次の4つに分けて案内しています。
試験センターは、第39回試験の案内で受験資格を(1)〜(8)の8つの区分に分けて書いています。上の4つのルートを、入学年度や課程の違いで細かく分けたものと考えると整理しやすくなります。
受験資格には、国籍・性別・年齢・学歴の制約はありません(実務経験ルートの案内より)。受けられるかどうかは、「どのルートの条件を満たしたか」だけで決まります。
試験の全体像は、介護福祉士国家試験とはの記事で整理しています。
実務経験3年+実務者研修のルートは、何を満たせばいい?
働きながら受験する人の多くが使うのが、このルートです。試験センターの案内では、次の2つを両方満たす必要があります。
- 介護等の業務に3年以上従事していること
- 実務者研修を修了していること
実務経験の「3年以上」は、次の2つの数字で決まります。
試験センターの案内では、従業期間・従事日数の両方を満たす必要があるとされています。たとえば、在職期間が3年を超えていても、週の勤務日数が少なくて従事日数が540日に届かなければ、実務経験は足りません。1日の勤務時間は問われません。
「実務経験3年以上」だけでは受験できません(試験センターの注意書き)。平成28年度(第29回)試験から、実務経験に加えて実務者研修の修了が必要になりました。
実務経験の数え方で迷いやすい点
- 通算できる:従業期間・従事日数は、試験実施年度の3月31日まで通算できます。
- 複数の事業所:同じ期間に複数の事業所に所属する人が、同じ日に複数の事業所で働いた場合、その日は1日として数えます。複数の事業所に所属する人は、それぞれの事業所の「従事日数内訳証明書」(指定様式)が必要です。
- 従業期間の計算:試験センターのサイトに、従業期間だけを計算できる「従業期間計算表」があります。ただし従事日数は計算できず、実務経験証明書の代わりにもなりません。
具体的な数え方の細かい点(実務経験証明書の書き方など)は、別の記事で取り上げる予定です。
どんな仕事が「介護等の業務」になる?
試験センターは「介護等の業務」を、障害などで日常生活に支障がある人に、心身の状況に応じた介護(喀痰吸引等を含む)を行い、その人と介護者に介護に関する指導を行うことと説明しています。範囲は厚生労働省が定めていて、施設・事業の種類と職種の組み合わせで決まります。
- 対象になる例:特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの介護職員、訪問介護員(ホームヘルパー)、障害者支援施設の介護職員、病院・診療所の介護職員や看護補助者など。「主たる業務が介護等の業務である人」が対象です。
- 対象にならない職種の例:生活相談員・支援相談員などの相談援助業務、医師・看護師・准看護師、機能訓練担当職員、事務員、介護支援専門員、調理員、栄養士など。
- 兼務の場合:介護等の業務とほかの業務を兼ねている場合は、主たる業務が介護等の業務であることが辞令などで明確なときに限り対象です。
訪問介護のサービス提供責任者としての業務は、実務経験の対象になりません。施設の種類や職種の細かい扱いは、毎年の「実務経験の範囲」のページで確認してください。
「見込み」でも申し込める? 実務者研修の修了はいつまで?
試験センターの案内では、申込み時点で条件を満たしていなくても、試験実施年度の3月31日までに満たす見込みなら受験できます。
見込みで申し込んだ人は、必要書類を期限までに出す必要があります。第39回の案内では、**令和9年4月9日(金)**が提出期限です。
受験票の受験資格欄に「見込」と書かれた人が、期限までに必要書類(実務者研修修了証明書など)を出さないと、試験は無効になり、結果通知も発送されません。実務者研修を修了しなかった、または受講しなかった場合も同じです。
実務者研修の開催期間や費用は、研修を実施している各事業者に直接問い合わせる形になっています。**実務者研修を修了しただけでは、介護福祉士の受験も登録もできません。**実務経験の条件も満たしてはじめて受験資格になります。
養成施設・福祉系高校・EPAの人は?
養成施設を卒業した人
文部科学大臣・厚生労働大臣が指定した学校、または都道府県知事が指定した養成施設を卒業(修了)した人です。第39回の案内では、2年以上の課程と1年以上の課程のどちらも、平成29年4月以降の卒業(修了)者が対象で、令和9年3月31日までの卒業見込みの人も含みます。
試験センターによると、養成施設を令和8年度末までに卒業する人は、卒業後5年の間は試験に合格しなくても介護福祉士になれます。令和9年度以降の卒業者からは、国家試験に合格しなければ介護福祉士になれません。この経過措置は、別の記事で詳しく取り上げる予定です。
福祉系高校を卒業した人
入学した年度で扱いが分かれます。
EPA介護福祉士候補者
EPA(経済連携協定)に基づき、インドネシア・フィリピン・ベトナムから来日し、受入施設で研修を受けながら働く人です。受験資格は3年以上(従業期間1,095日以上・従事日数540日以上)の介護等の業務です。試験センターは、EPAルートで受験できるのは「EPA介護福祉士候補者として受験資格を取得した人に限る」としています。
在留資格「特定技能1号」「技能実習」で働いている外国籍の人は、EPAルートではなく実務経験ルートで受験します。
試験の形式は? 実技試験は?
筆記試験のみの試験です。試験センターの案内では、第37回(令和6年度)試験から実技試験が廃止されています。第39回は令和9年1月31日(日)に実施され、出題は125問、五肢択一を基本とする多肢選択形式です(日程の詳細は試験日程の記事にまとめています)。
なお、受験資格を満たしても、合格後の登録に追加の書類が必要な人がいます。たとえば平成20年度以前に福祉系高校を卒業した人や、令和6年5月以前に入国したEPA候補者などは、登録申請までに「介護過程Ⅲ」の受講などが求められる場合があります。実務者研修を修了している人は、その修了証明書の提出で足ります。
また、一部のパートだけを受けられる「パート合格」の仕組みは受験資格とは別の話です。気になる人はパート合格の記事を読んでください。
受験資格を確認した後は、何から始める?
自分のルートが分かったら、次の順番で動くと迷いません。
- 自分が当てはまるルートと、足りない条件(日数・研修)を確認する
- 実務経験ルートの人は、実務者研修の修了時期と、実務経験の証明を職場に依頼する時期を決める
- 試験日(第39回は令和9年1月31日)から逆算して、学習計画を立てる
介護福祉士講座は、筆記試験の対策講座です(76本の授業)。実技試験・介護技術講習・実務者研修は講座では扱っていません。実務者研修は、別途、研修の実施者で受講してください。
介護福祉士の受験資格は、養成施設・実務経験+実務者研修・福祉系高校・EPAの4つのルート。実務経験ルートは「従業期間1,095日以上かつ従事日数540日以上」と「実務者研修の修了」の両方が必要で、見込みでも申し込めます(期限は試験実施年度の3月31日)。申込み期間・提出書類は年度ごとに変わるので、最新は試験センターの公式サイトで確認してください。
よくある質問
Q. 実務経験が3年に届いていなくても申し込める?
試験実施年度の3月31日までに従業期間1,095日以上・従事日数540日以上を満たす見込みなら、「実務経験見込み」として申し込めます(試験センターの案内)。見込みで申し込んだ人は、期限までに証明書類を出す必要があります。
Q. パートタイムで働いていると、実務経験に数えられない?
従事日数は、1日の勤務時間を問わずに数えます。ただし従業期間1,095日以上と従事日数540日以上の両方が必要なので、勤務日数が少ないと従事日数が足りなくなることがあります。
Q. 実務者研修は、試験に申し込む前に修了しておく必要がある?
必ずしも修了済みでなくても、修了する見込みで申し込めます。第39回は令和9年3月31日までに修了する予定の人が対象で、修了証明書は令和9年4月9日までの提出が必要です。
Q. 第40回以降の申込み期間は?
2026年11月2日時点で、第39回の受付期間(令和8年7月22日〜9月2日)は終了しています。次回以降の期間や手数料は、試験センターの公式サイトで最新の案内を確認してください。