「技術士の一次試験は独学でも受かるのか」「過去問はどこで手に入り、どう使えばよいのか」。申込み前に多い疑問です。先に答えると、一次試験は受験資格の制限がなく、過去問も正答も無料で公開されているため、独学で挑戦できる試験の形をしています。ただし、独学で受かるかどうかは、これまでに学んだ分野と、試験日までに確保できる時間で変わります。この記事では、公開されている過去問の入手先と使い方を中心に、独学の進め方と、つまずきやすい点を整理します。
技術士一次試験は独学で合格できるのか
公的機関が「独学で合格できる/できない」を示した資料はなく、独学での合格率の統計もありません。確かめられる事実は次のとおりです。
「独学で合格できます」とも「難しいです」とも、この記事は言い切りません。代わりに、独学が向くかを自分で判断できるよう、次の見分け方を示します。
- 向きやすい人: 大学や実務で試験範囲の一部を学んでいて、残りを自分で補える人。解説を読んで自力で理解できる人
- 工夫が要る人: 範囲の大半が初めての分野で、疑問が出たときに聞ける相手がいない人
受験者の出発点によって必要な学習量は大きく違います。「独学で◯か月」といった数字を鵜呑みにせず、後述の方法で自分の得点率を測りながら進めてください。
過去問はどこで手に入る? 公開の範囲
日本技術士会の「過去問題(第一次試験)」のページで、過去問が公開されています。確認できた範囲は次のとおりです(2026年11月4日確認)。
専門科目は技術部門ごとに分かれているので、自分が受ける部門のPDFを選びます。建設部門を受ける場合は、建設部門のファイルです。なお、省略・改変のある問題は、年度によって問題数が通常と違うことがあります。解く前に注意書きを読んでください。
また、公開されているのは問題と正答です。解説は公開されていないため、間違えた問題の理由は、教材や参考書、講座などで自分で補う必要があります。
独学で過去問を使う手順
過去問は「解けるか」より、「3科目それぞれの得点率を測る」ために使うと、勉強が進めやすくなります。
- 直近の年度を1回、時間を計って解く。基礎1時間、適性1時間、専門2時間の本番と同じ時間で解き、現在地を知る
- 科目ごとの得点率を出す。基礎は15問中8問以上、適性は15問中8問以上、専門は25問中13問以上が50%超えの目安(科目ごとの数え方は技術士一次試験の合格基準で整理しています)
- 間違いと迷った問題を分類する。「知らなかった」「理解が曖昧」「計算ミス」「読み違い」に分けておくと、次にやることが決まる
- 分野別に学び直す。基礎科目は5群のどこで落としたか、専門科目は分野ごとの偏りがあるかを見る
- 年度をさかのぼって繰り返す。同じ論点が形を変えて出てくるので、2周目以降は「解説を見ずに理由を説明できるか」を基準にする
過去問を解く目的は、その問題を覚えることではなく、問われる論点と問い方に慣れることです。同じ問題がそのまま出るとは限りません。
年度の選び方
制度や法令、統計の数字が変わる論点は、古い年度の問題では正答が今と違うことがあります。たとえば法令に関する問題は、改正前の内容に基づく問題かもしれません。公開されている正答は、その年度の時点のものです。古い年度の問題を使うときは、条文や数字が現在も同じかを最新の資料で確かめてください。
科目別の進め方(独学の場合)
基礎科目と適性科目は、全部門の受験者に共通の科目です。専門科目だけが部門で変わります。時間の配分は勉強時間とスケジュールの記事で考え方を整理しています。
独学で詰まりやすい3点と補い方
独学では、次の3点で時間を失いやすくなります。
教材を選ぶときは、対象の部門と、試験の年度に対応しているかを確かめてください。参考書は改訂のタイミングがあり、最新の試験制度や法令に対応していないことがあります。
技術士第一次試験(建設部門)講座を使う場合
独学の「解説がない」「質問する相手がいない」という点を補う手段として、技術士第一次試験(建設部門)講座があります。基礎科目・適性科目・建設部門の専門科目の授業を、動画で順に学べます。AI講師トーレスに質問できるので、過去問で出会った疑問をその場で確かめられます。講座の専門科目は建設部門だけで、ほかの部門の専門科目には対応していません。
料金は月額 2,484円〜(年額プラン29,800円・一括払いの月あたり。月額プランは3,980円。いずれも税込)です。公開されている過去問と組み合わせて、授業で理解した論点を過去問で確かめる、という使い方ができます。
よくある質問
Q. 技術士一次試験は独学でも合格できますか
独学の合格率の統計はありません。受験資格の制限がなく、過去問と正答も公開されているので、独学で挑戦できる試験です。合格できるかは、出発点と使える時間で変わります。
Q. 過去問の解説は公開されていますか
日本技術士会が公開しているのは問題と正答です。解説は公開されていないので、教材や講座などで補う必要があります。
Q. 過去問は何年分解けばよいですか
決まった年数はありません。直近の年度から時間を計って解き、得点率が50%を超えているかを確かめながら、さかのぼってください。法令や数字は古い年度では変わっていることがあります。
Q. 専門科目の過去問は部門ごとに違いますか
違います。専門科目は20の技術部門ごとに公開されています。受ける部門のファイルを使ってください。
まとめ
- 一次試験は受験資格の制限がなく、過去問と正答が無料で公開されている。独学に挑戦できる形の試験
- 過去問は、3科目それぞれの得点率を測る物差しとして、時間を計って使う
- 公開されているのは問題と正答だけ。解説と、古い年度の法令・数字の確認は自分で補う
- 解説・苦手分野の把握・理解の確認の3点を補う手段を、勉強を始める前に決めておく
まずは直近の年度を1回、本番と同じ時間で解いて、現在地を確かめてください。