「技術士の一次試験は、何時間勉強すれば受かるのか」「いつから始めればよいのか」は、申込み前にもっとも多い疑問です。先に答えると、公的機関が示す標準の勉強時間はありません。ネット上には「◯◯時間」という数字が並びますが、それは各社の見方で、受験者の専門分野や基礎知識の量によって大きく変わります。この記事では、試験の形と合格基準から逆算して、自分で勉強時間を見積もり、3科目に穴をつくらないスケジュールを組む考え方を整理します。
技術士一次試験の勉強時間に決まった目安はあるか
日本技術士会・文部科学省の資料には、受験に必要な学習時間の記載はありません。確かめられるのは、試験の形と合格の条件だけです。そのため、この記事では「何時間やれば合格」とは書きません。代わりに、次の3つから自分の必要時間を見積もります。
たとえば、平日に1時間、休日に3時間を確保できるなら、1週間で 1時間×5日+3時間×2日=11時間 です。これを12週間続けると132時間になります。この計算は「時間の見積もり方」の例で、その時間で合格できるという意味ではありません。
「合格者は◯◯時間」という数字は、受験者の出発点が違うため参考程度にとどめてください。大切なのは総時間より、3科目それぞれで50%を取れる状態に届くかどうかです。
勉強時間は3科目に分けて考える(合格基準から逆算)
スケジュールを組む前に、試験の形を確かめます。文部科学省の実施大綱による科目の時間と配点は次のとおりです。
令和8年度の合否決定基準は、3科目のそれぞれで50%以上の得点です。基準の詳しい数え方は技術士一次試験の合格基準にまとめています。ここで時間配分に関わるのは次の点です。
- 合計点の基準がないので、1科目でも50%に届かなければ不合格になる
- 配点は専門科目がいちばん大きいが、専門だけ高得点でも基礎や適性が足りなければ合格できない
- したがって、時間を「配点の大きさ」だけで配分すると、基礎や適性で足をすくわれる
勉強時間の配分は、配点の比ではなく「その科目で50%に届くまでに何がいるか」で考えるのが安全です。
科目ごとの時間配分の考え方
科目ごとに、時間のかけ方の特徴を整理します。
基礎科目は「5群×3問」の決まりがあるため、苦手な群も最低限は触れておく必要があります。群ごとの対策の考え方は、今後の記事で個別に取り上げていきます。専門科目は選択の余地が広い分、分野の取捨選択に時間を使いすぎないことがポイントです。
いつから始める? 試験日と申込みから逆算する
令和8年度の日本技術士会の案内で確かめた日程は次のとおりです。
申込みから試験まで約5か月あります。受験を決めてから学習を始めるのではなく、申込みの前から学習を始めるのが現実的です。日程は年度ごとに変わるので、受ける年の案内で確かめてください。申込みの流れは技術士一次試験の日程と申込みで整理しています。
開始時期の決め方は、次の手順がわかりやすいです。
- 試験日までの週数を数える
- 1週間に確保できる時間を決める
- 掛け算で総時間を出す
- 3科目に振り分け、足りなければ開始を早めるか1週間の時間を増やす
例として、試験日の24週前から始め、1週間に8時間確保するなら総時間は192時間です。ここから直前の総復習の期間を引いて、残りを3科目に配分します。
学習スケジュールの組み方(期間を3つに分ける例)
期間を、範囲をつかむ・得点力をつける・仕上げの3つに分ける組み方があります。以下は考え方の例で、期間の長さは自分の状況に合わせて調整してください。
過去問は日本技術士会のサイトで公開されています。独学での使い方は別の記事で取り上げる予定です。この記事では、時間を計って解くことで「3科目それぞれの得点率」を確かめる材料になる、という点だけ押さえてください。
科目の穴をつくらないためのチェック
計画を立てたら、次の点を定期的に点検します。
- 3科目のそれぞれに、毎週最低でも少しの時間を入れているか
- 基礎科目の5群を、1つも飛ばしていないか
- 適性科目を「範囲が狭いから後回し」にしていないか
- 専門科目の分野選びに、時間をかけすぎていないか
適性科目は範囲が絞られている分、早めに通しておくと、後半の時間を基礎や専門に回せます。
技術士第一次試験(建設部門)講座での進め方
建設部門を受ける場合は、技術士第一次試験(建設部門)講座の授業を、このスケジュールに組み込めます。講座は基礎科目・適性科目・建設部門の専門科目の授業で構成され、各科目の範囲を順に通せます。講座の専門科目は建設部門だけで、ほかの部門の専門科目には対応していません。
料金は月額 2,484円〜(年額プラン29,800円・一括払いの月あたり。月額プランは3,980円。いずれも税込)です。
よくある質問
Q. 勉強時間の目安は何時間ですか
公的な目安はありません。試験日までに確保できる総時間を、自分の出発点に合わせて見積もり、3科目それぞれで50%を取れる状態を目標にしてください。
Q. 試験の何か月前から始めればよいですか
決まった答えはありません。令和8年度は申込みが6月、試験が11月22日です。申込みの時期より前から始めておくと、範囲を一通り通す時間をとりやすくなります。
Q. 得意な科目に時間を集中させてもよいですか
合格基準は3科目それぞれ50%以上で、合計点の基準がありません。得意科目を伸ばすより、苦手科目を50%に届かせる方が合格には近道になりやすいです。
Q. 仕事をしながらでも間に合いますか
1週間に確保できる時間を数えて、試験日までの総時間を計算してみてください。足りない場合は開始を早めるか、1週間の時間を増やす調整になります。
まとめ
- 公的な標準の勉強時間はない。試験日から逆算して自分で見積もる
- 合格基準は3科目それぞれ50%以上。配点の大きさだけで時間を配分しない
- 令和8年度は申込みが6月、試験が11月22日。申込みの前から学習を始める
- 基礎科目は5群を飛ばさず、適性科目は早めに一度通し、後半は過去問で3科目の得点率を確かめる
自分の使える時間を数えるところから始めてください。計画の土台ができたら、あとは毎週のペースを守ることが大切です。