技術士第一次試験は、基礎科目・適性科目・専門科目の3科目を、すべて択一式で受ける試験です。合格の条件は、3科目それぞれで50%以上の得点を取ること。年齢・学歴・業務経験による受験資格の制限はありません。ここでは、これから受ける人が最初に知っておきたい試験の形を、建設部門を例に整理します。
技術士第一次試験とは? 何を確かめる試験か
技術士第一次試験は、技術士になるための最初の関門にあたる試験です。文部科学省の実施大綱では、次の3つを備えているかを判定する試験と位置づけられています。
- 技術士になるのに必要な、科学技術全般にわたる基礎的な学識
- 技術士法第4章(技術士等の義務)の規定を守るための適性
- 技術士補になるのに必要な、技術部門についての専門的な学識
第一次試験は、機械部門から原子力・放射線部門まで20の技術部門ごとに実施されます。受験者は申込みのときに部門を1つ選びます。この記事では、土木系の人が多く受ける建設部門(日本技術士会の部門番号は09)を取り上げます。
3科目の時間・配点・問題数
3科目の形は次のとおりです。時間と配点は実施大綱、問題数と選択数は日本技術士会が公開している令和7年度の過去問題の表紙で確認しました。
| 科目 | 何を問うか | 解答時間 | 配点 | 問題数(令和7年度) |
|---|---|---|---|---|
| 基礎科目 | 科学技術全般の基礎知識 | 1時間 | 15点満点 | 5つの群から各6問ずつ出題され、各群3問を選んで計15問に解答 |
| 適性科目 | 技術士法第4章の規定を守る適性 | 1時間 | 15点満点 | 15問すべてに解答 |
| 専門科目(建設部門) | 技術部門の基礎知識・専門知識 | 2時間 | 50点満点 | 35問から25問を選んで解答 |
全科目が択一式で、基礎科目と専門科目の程度は「4年制大学の自然科学系学部の専門教育課程修了程度」とされています。基礎科目の5つの群は、設計・計画、情報・論理、解析、材料・化学・バイオ、環境・エネルギー・技術です。
基礎科目と専門科目は「選んで解答する」形式です。得意な分野で点を取り、苦手な分野を避ける作戦が立てられます。ただし基礎科目は、5群のそれぞれから3問ずつ選ぶ決まりです。群を丸ごと捨てることはできません。
合格基準は「3科目それぞれ50%以上」
合格基準は、文部科学省がその年度の「技術士試験合否決定基準」で定めます。令和8年度の第一次試験は、基礎科目・適性科目・専門科目の各科目で50%以上の得点です。
ここで大切なのは、合計点の基準がないことです。基礎と適性で満点近くを取っても、専門が50%に届かなければ不合格になります。
| 科目 | 満点 | 50%の点 | 合格に必要な得点 |
|---|---|---|---|
| 基礎科目 | 15点 | 7.5点 | 8点以上(8問以上の正解) |
| 適性科目 | 15点 | 7.5点 | 8点以上(8問以上の正解) |
| 専門科目 | 50点 | 25点 | 1問2点のため26点以上(13問以上の正解) |
基礎・適性は1問1点なので、7.5点を超える8点が必要です。専門は1問2点なので、25点はつくれず、26点以上が実質の必要得点になります。
合格基準は年度ごとに文部科学省が決めます。必ず受験する年度の合否決定基準を確かめてください。この記事の数字は令和8年度の基準にもとづいています。
令和8年度の試験日・申込み・手数料
日本技術士会の案内(令和8年度)では、次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験日 | 2026年11月22日(日) |
| 受験資格 | 年齢、学歴、業務経験等による制限はない |
| 受験手数料 | 13,000円 |
| 申込み | 受付期間は6月10日〜6月24日(WEB受付は6月23日17時まで)。令和8年度の申込みはすでに終了 |
| 合格証 | 令和9年2月に送付 |
試験の日程や手数料は年度ごとに変わります。次の年度に受けるときは、日本技術士会のサイトで最新の案内を確認してください。令和8年度の試験の詳細な時刻は、受験者に別途通知されます。
合格率はどれくらい? 令和7年度の統計
日本技術士会が公表している令和7年度の統計は次のとおりです。合格率は「受験者に対する合格者の割合」です。
| 区分 | 受験申込者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|---|
| 全部門の計 | 22,756人 | 17,013人 | 5,754人 | 33.8% |
| 建設部門 | 11,966人 | 8,905人 | 2,950人 | 33.1% |
建設部門は受験者がもっとも多い部門で、全体の受験者の半分を超えます。合格率は部門ごとに差があるため、他の部門の数字をそのまま建設部門に当てはめないようにします。
過去問題は日本技術士会のサイトで公開されている
過去の問題は、日本技術士会のサイトでPDFとして公開されています。令和7年度から平成23年度までの15年度分が、基礎科目・適性科目・専門科目(20部門)の区分で掲載されています。著作権の関係で、一部を省略または改変した問題があると注記されています。学習のはじめに、実際の問題の形(問題文の長さ、選択肢の作り、図表の出し方)を一度見ておくと、3科目の勉強の見通しが立ちます。
建設部門の受験者はどう進めるか
3科目をバランスよく仕上げることが、この試験の基本です。進め方のイメージは次のとおりです。
- まず試験の形をつかむ。 3科目の問題数・配点・合格ラインを頭に入れる(この記事の表)
- 適性科目は技術士法第4章から。 15問すべてに解答するので、条文の理解がそのまま得点になる
- 基礎科目は5群すべてに触れる。 各群3問ずつ選ぶため、どの群にも取れる論点をつくる
- 専門科目は得意分野を中心に。 35問から25問を選べるので、自分に合う分野を決めて固める
技術士第一次試験(建設部門)講座では、基礎科目・適性科目と、建設部門の専門科目(土質及び基礎、構造力学、コンクリート、水理学、都市計画、施工計画など)を授業で学べます。基礎科目と適性科目は全部門共通ですが、専門科目の授業は建設部門だけが対象です。ほかの部門の専門科目には対応していません。
よくある質問
Q. 技術士第一次試験に受験資格はありますか。
年齢、学歴、業務経験等による制限はありません(日本技術士会の令和8年度の案内)。学生でも社会人でも受験できます。
Q. 合計点が高ければ合格できますか。
できません。基礎・適性・専門の各科目で50%以上が必要で、合計点の基準はありません。
Q. 試験は年に何回ありますか。
令和8年度は11月22日(日)の実施です。日程は年度ごとに公表されるので、最新の案内で確認してください。
Q. 過去問題はどこで見られますか。
日本技術士会のサイトで、平成23年度から令和7年度までの問題が公開されています。
まとめ
- 技術士第一次試験は、基礎・適性・専門の3科目を択一式で受ける試験
- 配点は基礎15点・適性15点・専門50点。建設部門の専門は35問から25問を選ぶ
- 合格基準は各科目50%以上。1科目でも届かなければ不合格
- 令和7年度の建設部門の合格率は33.1%(受験者に対する割合)
- 試験日や手数料は年度ごとに変わる。受験する年度の公式案内で確かめる
3科目に穴をつくらないことが、合格への近道です。まずは科目ごとの合格ラインを確認し、足りない科目から手を付けましょう。

