ケアマネ試験(介護支援専門員実務研修受講試験)は、誰でも受けられる試験ではありません。対象の国家資格に基づく業務、または施設などでの相談援助業務に、通算5年以上かつ900日以上従事した人が受験できます。介護の現場で働いていても、仕事の内容によっては数えられないことがあります。この記事では、受験資格の中身を法令と厚生労働省の通知で確認し、自分が対象になるかを判断するための見方を整理します。
ケアマネ試験の受験資格は? 一言でいうと
受験資格は、次の2つの仕事を合わせて、通算5年以上かつ900日以上になることです。
「5年以上」は法令で決まっています。介護保険法施行規則第113条の2は、実務の経験を「第一号及び第二号の期間が通算して五年以上」と定めています。第一号が法定資格に基づく業務、第二号が相談援助業務です。「かつ900日以上」は、厚生労働省が都道府県に出した実施の通知(平成27年2月12日 老発0212第2号)に書かれている条件です。
5年は「年数」、900日は「実際に働いた日数」の条件で、両方を満たす必要があります。週に数日しか働かない場合は、5年たっていても900日に届かないことがあります。
試験そのものの形は、ケアマネ試験とは?にまとめています。
対象になる国家資格は? 22種類
施行規則第113条の2第1号に挙げられている資格は、次の22種類です。
ここで大事なのは、資格を持っているだけでは足りないことです。その資格に基づいて、その資格に係る業務に従事した期間だけが数えられます。大阪府の案内でも、国家資格に基づく業務の場合は、資格の登録日以降の実務経験だけが対象とされています。
また、2015年の厚生労働省の通知では、対象になる業務について次の考え方が示されています。
- 支援が必要な人への直接の援助が、業務の中心であること
- 資格は持っていても、直接の援助をしない研究職などの期間は数えない
介護職員初任者研修や実務者研修などは、上の表にありません。これらの研修を修了しただけでは、法定資格に基づく業務としては数えられません。介護福祉士の資格を取ってから5年かどうか、という考え方になります。
資格がなくても受けられる? 相談援助業務の場合
法定資格を持っていなくても、施設などで相談援助の仕事をしていれば、第2号の期間として数えられます。施行規則では、次のどちらかに当たる人が、日常生活の自立に関する相談に応じ、助言や指導などの援助を行う業務に従事した期間とされています。
- 老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院などの従業者(これらに準ずる者を含む)
- 特定施設入居者生活介護、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護、障害者総合支援法の計画相談支援、児童福祉法の障害児相談支援、生活困窮者自立相談支援事業などの従事者
2015年の通知の別表では、具体的な職種として、特別養護老人ホームなどの生活相談員、介護老人保健施設の支援相談員、障害福祉の相談支援専門員などが例に挙げられています。
「介護の仕事を長くしている」だけでは受験資格にならない場合があります。介護職員として直接介護をする仕事だけでは、相談援助業務として数えられないことがあります。自分の職名ではなく、仕事の内容と配置の根拠(施設の基準で必ず置く職種かどうか)が基準になります。
最終的な判断は、勤務先が作る実務経験証明書と、都道府県の確認で行われます。ここで線引きに迷う場合は、受験の手引の別表を見るか、受験する都道府県の窓口(多くは県の社会福祉協議会など)に相談してください。
900日はどう数える?
900日の数え方の細かいところは、受験の手引で確かめる必要があります。2015年の通知で確認できた考え方は次のとおりです。
たとえば、週5日勤務なら1年で約240日前後になるので、5年でおよそ1,200日になり、900日は超えます。一方、週2日のパートで働いている場合は、1年で約100日が目安です。5年たっても500日前後にしかならず、900日に届かない人が出てきます。この計算は目安です。実際に数える日は、勤務先の出勤簿で確認される日数です。
通知は平成27年のもので、その後に改正されています(和歌山県の案内では、平成30年5月28日付の通知〔老発0528第2号〕も根拠として示されています)。最新の数え方は、受験の手引で確認してください。
どの都道府県で受験できる? 手数料は?
試験は都道府県ごとに実施され、問題は全国で共通です。受験できる都道府県には条件があります。兵庫県の第29回の案内では、次のどちらかに当たる人が対象です。
- 兵庫県内を勤務地として、受験資格の業務に現在従事している人
- 受験資格の業務に現在従事していないが、兵庫県に現住所がある人
ほかの都道府県の条件は、その都道府県の手引で確認してください。条件は、全国で同じとは限りません。
受験手数料も都道府県によって違います。第29回(令和8年度)の案内では、大阪府が13,400円(試験事務手数料12,000円と試験問題作成事務手数料1,400円。コンビニ払込手数料は別)、和歌山県が8,400円でした。申込期間も、兵庫県は令和8年5月25日〜6月26日、大阪府は5月25日〜6月22日、和歌山県は5月29日〜6月19日と、県ごとに違います。日程はケアマネ試験の日程と申込みで整理しています。
手数料と申込期間は都道府県ごとに異なります。特定の県の金額を、全国共通の金額と思わないでください。受験する都道府県の「受験の手引」で確認します。
受験資格の見直しはある? 2026年10月31日時点
受験資格は、これまでにも見直されてきました。和歌山県の案内によると、第21回の試験から、保健・医療・福祉に係る法定資格を持つ人に限定することを基本に、受験の要件が見直されています。
では、現在また見直しの動きがあるのでしょうか。2026年10月31日時点で、私たちが確認できた範囲は次のとおりです。
- 2026年10月26日の社会保障審議会介護保険部会(第137回)では、「介護支援専門員法定研修の見直しの検討状況」が報告されている。議題名は研修の見直しで、受験資格の見直しではない
- 受験資格の要件(法定資格・相談援助業務、5年以上、900日以上)を改める省令や通知の公布は、確認できなかった
つまり、いま受験を考えている人は、現行の要件で自分が対象になるかを確かめるのが正しい進め方です。「そのうち緩和されるはず」と見込んで待つのはおすすめできません。今後、制度が変わった場合は、国の公表や都道府県の案内で確かめてください。
受験資格を確かめたら、勉強を始めよう
受験資格が足りるかどうかは、5年と900日の見込みを数えて、勤務先に実務経験証明書を依頼できるかで判断します。受験までに時間がある人は、資格の確認と並行して、少しずつ勉強を始めておくと余裕ができます。
ケアマネジャー講座では、介護支援分野・保健医療サービス分野・福祉サービス分野の全体を、授業動画(76本)で学べます。料金は月額プランと年額プランがあり、講座ページで確認できます。受験の準備期間に合わせて、使う月だけ利用する選び方もできます。
よくある質問
Q. ケアマネ試験の受験資格を一言で言うと?
対象の国家資格に基づく業務、または施設などでの相談援助業務に、通算5年以上かつ900日以上従事していることです。
Q. 介護職員初任者研修や実務者研修だけで受験できますか?
できません。これらの研修は、施行規則に挙げられた国家資格ではありません。介護福祉士などの資格に基づく業務の期間、または相談援助業務の期間で数えます。
Q. パートで働いていると900日に届きませんか?
週の勤務日数によります。1日の勤務時間が短くても、通知では1日として数えられます。ただし、実際に数える日数は勤務先の出勤簿で確認されるため、受験の手引で確かめてください。
Q. 受験する都道府県はどう決めますか?
都道府県ごとに条件があります。兵庫県では、受験資格の業務に従事している勤務地、または現住所が県内であることが条件でした。ほかの都道府県は、その手引で確認してください。
まとめ
- 受験資格は、法定資格に基づく業務と相談援助業務を合わせて、通算5年以上かつ900日以上。5年は介護保険法施行規則第113条の2、900日は厚生労働省の通知で定められている
- 対象の国家資格は22種類。資格を持っているだけでなく、その資格に基づく業務に従事した期間が数えられる
- 資格がない人は、施設の生活相談員などの相談援助業務の経験で数える。直接介護だけの仕事は、相談援助業務として数えられないことがある
- 受験できる都道府県、手数料、申込期間は都道府県ごとに違う。受験の手引で確認する
- 2026年10月31日時点で、受験資格の要件を変える省令や通知の公布は確認できていない
この記事の情報は2026年10月31日に確認したものです。受験資格の最新の扱いは、受験する都道府県の「受験の手引」でご確認ください。