水質関係第4種(水質4種)は、公害防止管理者の水質関係の区分のなかで、受ける科目がいちばん少ない入口の区分です。「3科目なら短期間で取れるのでは」と考えて調べる人が多い一方で、科目ごとに問題の性格がかなり違います。この記事では、産業環境管理協会(公害防止管理者試験センター)の2026(令和8)年度受験案内をもとに、3科目の問題数と試験時間を確かめたうえで、学習の順番と時間の配分を整理します。試験全体は公害防止管理者試験とは?、区分の違いは大気・水質1種〜4種の違いの記事をあわせて読んでください。
水質4種で受ける科目は3つ・合計50問
受験案内の試験科目の表によると、水質関係第4種の試験科目は次の3つです。
| 科目 | 問題数 | 2026年度の試験時間 | 1問あたりの目安 |
|---|---|---|---|
| 公害総論 | 15問 | 9:35〜10:25(50分) | 約3分20秒 |
| 水質概論 | 10問 | 11:00〜11:35(35分) | 約3分30秒 |
| 汚水処理特論 | 25問 | 12:45〜14:00(75分) | 3分 |
| 合計 | 50問 | ― | ― |
「1問あたりの目安」は、試験時間を問題数で割っただけの計算です。どの科目も1問に3分前後は使えます。つまり、時間が足りなくなる試験というより、1問ずつの正確さが問われる試験です。
試験は五肢択一のマークシートです。2026年度は10月4日(日)に実施され、受験案内には、すべての試験科目で試験時間中の途中退出はできないと書かれています。科目の間に休憩の時間が入るので、一日で3科目を受ける体力も計画に入れておきましょう。
時間割や日程は年度ごとに変わる可能性があります。この記事の時間は2026年度のものです。次の試験の日程・申込期間・手数料は、必ず協会の最新の受験案内で確認してください。
水質4種は、ほかの水質区分の「土台」
水質2種・3種・1種は、水質4種の3科目に特論を足した構成です(2種は水質有害物質特論、3種は大規模水質特論、1種は両方)。つまり、水質4種の3科目を学ぶことは、上の種へ進む準備にもなります。公害総論は、大気や騒音・振動など全13区分に共通の科目なので、ほかの区分を受けるときにも使えます。
3科目の性格の違い
科目名だけでは分かりにくいので、受験案内に書かれた出題範囲から、性格をまとめます。
| 科目 | 協会が示す出題範囲の例 | 学習の性格 |
|---|---|---|
| 公害総論 | 環境基本法、公害防止組織法を含む環境関連の法体系、環境問題全般 | 法律の目的・定義と、制度の名前を整理する暗記が中心 |
| 水質概論 | 水質汚濁防止対策のための法規制、水質汚濁の現状・発生源・機構・影響、国や地方公共団体の対策 | 水質汚濁防止法を軸にした法令と、統計・用語の理解 |
| 汚水処理特論 | 汚水等処理計画、物理・化学的処理法、生物的処理法、処理装置の維持管理、測定 | 処理の原理の理解と計算が必要。問題数が最も多い |
汚水処理特論だけは、25問で全体の半分を占めます。ここでの出来が、区分合格のしやすさを大きく左右します。ただし、科目ごとに合格基準を満たす必要があり、合格基準は試験の後で委員会が決めます。2026年度の受験案内にも「各科目の合格基準は試験終了後に決定する」と書かれているので、「何割取れば合格」と決めつけて、特定の科目を捨てる計画は立てないほうが安全です。
学習の順番:汚水処理特論から始める考え方
ここからは公式情報ではなく、学習の進め方についての一つの考え方です。
- 汚水処理特論:最も問題数が多く、計算も出るので、最初に長めの時間を取る
- 水質概論:水質汚濁防止法を軸に、条文の構成と数値の結びつきを覚える
- 公害総論:環境基本法や公害防止組織法など、制度の名前と目的を整理する。範囲は広いが、問題は15問
汚水処理特論を先にする理由は、理解の積み上げが必要な科目だからです。処理の原理は「何を取り除くために、どんな処理を使うか」という順につながっているので、時間をかけて理解すると後の復習が速くなります。反対に、水質概論と公害総論は、暗記が中心です。試験日が近づくほど効果が出る性質なので、後半に回しやすい科目です。
汚水処理特論の進め方
講座では、汚水処理特論を27本の授業に分けています。目安として、次の流れで進めます。
| 段階 | 内容 | 狙い |
|---|---|---|
| ① 全体像 | 排水処理の流れ(水の道と汚泥の道) | 各処理がどこにあるかを先に知る |
| ② 物理化学処理 | 沈降・浮上・凝集・ろ過・吸着・イオン交換・膜分離 | 何を分ける処理かを言えるようにする |
| ③ 生物処理 | 活性汚泥法の計算、窒素・りんの除去 | 計算の型を覚えて繰り返す |
| ④ 測定 | BOD・COD・窒素・りんなどの測定、計測器 | 言葉の入れ替えに注意して覚える |
活性汚泥法の計算は、式そのものは短いのに、単位の取り違えで間違えやすい分野です。具体的な解き方は活性汚泥法の計算の記事で、例題つきで解説しています。
計算の練習は、関数電卓を使わずにできる手順で行います。協会の受験案内では、関数電卓・通信機能付き電卓・数式を記憶できるメモリ機能付き電卓は使用禁止で、使える電卓は四則演算や開平計算などの機能に限られます。普段の練習から、試験で持ち込めない電卓には頼らないようにしましょう。
水質概論の進め方
水質概論は、水質汚濁防止法の全体像を先に作ります。特定施設、排水基準、届出と命令といった規制の流れを、条文の並びで追うと整理しやすくなります。そのうえで、水質の環境基準、公害防止組織法(水質関係)、水質汚濁の現状(統計)、発生源、有害物質の影響の順に進めます。
数字を覚える科目でもあるので、環境基準や排水基準の数値は「いつ時点の基準か」を意識して確認します。法令は受験年度の4月1日現在の施行のものが基準になる点にも注意してください。
公害総論の進め方
公害総論は、全区分に共通の科目で、範囲が広い科目です。環境基本法、環境基準の枠組み、公害防止組織法、環境影響評価法、典型7公害、地球温暖化、廃棄物と循環型社会、化学物質対策、環境管理手法などが含まれます。
広く浅く覚える科目なので、1つのテーマに時間をかけすぎず、全体を一周してから2周目で細部を埋めるやり方が合います。公害防止組織法は、水質概論でも出てくるテーマなので、2つの科目の学習をつなげられます。
学習期間の組み方の例
水質4種の3科目を、授業の本数で見ると次のとおりです(資格のエアポートの講座の本数)。
| 科目 | 授業の本数 |
|---|---|
| 公害総論 | 15本 |
| 水質概論 | 12本 |
| 汚水処理特論 | 27本 |
| 合計 | 54本 |
試験日から逆算するときは、「インプット(授業で理解する)」「アウトプット(問題を解く)」「総復習」の3段階に分けます。たとえば、試験の3か月前から始める場合を考えると、次のような配分になります(あくまで一例です)。
| 期間 | やること |
|---|---|
| 1〜2か月目 | 汚水処理特論を一周し、計算を解く。並行して水質概論に入る |
| 3か月目の前半 | 水質概論・公害総論を一周する |
| 3か月目の後半 | 3科目の問題演習と、間違えた論点の復習 |
忙しい人は、1日30分でも毎日続けるほうが、週末にまとめて長時間やるより定着しやすくなります。
一度で受けきれないときの考え方:科目合格を使う
協会の「資格取得の方法」のページによると、一部の科目だけに合格した場合、同じ試験区分を受験するときに限り、最初に合格した年を含めて3年間は、申請により合格した科目の受験を免除できます。したがって、「汚水処理特論に集中して先に合格し、翌年に公害総論と水質概論を受ける」という分け方もできます。
ただし、次の点に注意してください。
- 免除は自動ではなく、受験申込みのときに本人が申請します
- 科目合格の免除は、同じ試験区分でしか使えません
- 合格した年を含めて3年を過ぎると、その科目は受け直しです
3年の数え方や、区分合格による免除は、科目合格と免除のしくみの記事で例つきで説明しています。
講座での学び方
公害防止管理者講座は、公害総論と水質関係4科目(水質概論・汚水処理特論・水質有害物質特論・大規模水質特論)などを扱っています。水質4種に必要な3科目は、公害総論・水質概論・汚水処理特論です。騒音・振動関係とダイオキシン類関係の科目は講座では扱っていません。
授業の内容や本数は、講座ページで確認できます。
よくある質問
Q. 水質4種は何問中、何問正解すれば合格ですか。
各科目の合格基準は、試験の後に委員会で決まるため、事前には公表されません。協会の2026年度の受験案内にも、試験終了後に決定すると書かれています。「科目ごとに合格基準を満たす」ことが必要で、3科目すべてに合格すると区分合格になります。
Q. 水質4種に合格すると、水質2種を受けるときに何が免除されますか。
区分合格に基づく免除で、水質4種に含まれる公害総論・水質概論・汚水処理特論を、別の区分を受けるときに申請して免除できます。この免除に年限はありません。
Q. 関数電卓は使えますか。
使えません。受験案内では、関数電卓・通信機能付き電卓・メモリ機能付き電卓は使用禁止機器です。四則演算や開平計算などだけの機能を持つ電卓は使用できます。
まとめ
- 水質4種は公害総論15問・水質概論10問・汚水処理特論25問の3科目、合計50問
- 汚水処理特論が最も問題数が多く、計算もあるので、先に時間を取る進め方が考えられる
- 水質概論と公害総論は暗記中心で、後半に追い込みやすい
- 一度で受けきれなくても、科目合格は3年間有効。ただし同じ区分でしか使えず、申請が必要
3科目に分けて、「理解が必要な科目を先に、暗記が中心の科目を後に」進めるのが基本です。日程・手数料・合格基準は年度ごとに確認しましょう。

