公害防止管理者の大気関係と水質関係には、それぞれ1種から4種までの区分があります。「何が違うのか」「上の種を取ると何が得なのか」が分かりにくい、という声はよく聞きます。この記事では、産業環境管理協会(公害防止管理者試験センター)の資料と、公害防止組織法の施行令の別表をもとに、4つの種の決まり方、選任できる工場、受ける科目を順に整理します。試験全体のしくみは公害防止管理者試験とは?にまとめています。
結論:種を決めるのは「有害物質」と「規模」の2つ
大気関係も水質関係も、1種〜4種を分ける物差しは同じ2つです。
- 有害物質を出す施設があるか:大気ではカドミウム・塩素や塩化水素・ふっ素やふっ化水素・鉛などを発生する施設(大気関係有害物質発生施設)、水質では水質関係有害物質排出施設
- 工場の規模:大気は排出ガス量が1時間あたり4万立方メートル以上かどうか、水質は排出水量が1日あたり1万立方メートル以上かどうか
この2つを組み合わせると、次の表のようになります。
| 大規模(大気4万m³N/時以上・水質1万m³/日以上) | それより小さい | |
|---|---|---|
| 有害物質の施設あり | 1種 | 2種 |
| 有害物質の施設以外 | 3種 | 4種 |
大気の排出ガス量は、0度・1気圧に直した体積で数えます(単位は m³N、ノルマル立方メートル)。ガスは「1時間あたり」、水は「1日あたり」と、時間の単位が違う点も押さえておきましょう。
「1種=有害物質あり+大規模」「2種=有害物質あり+小規模」「3種=有害物質なし+大規模」「4種=有害物質なし+小規模」と、表の位置で覚えます。
大気関係:選任できる資格者の表
施行令の別表第二と協会の資料にもとづくと、大気関係の工場で選任できる資格者は次のとおりです。
| 施設の区分 | 選任できる資格者 |
|---|---|
| 有害物質の施設があり、排出ガス量が4万m³N/時以上 | 大気1種 |
| 有害物質の施設があり、排出ガス量が4万m³N/時未満 | 大気1種・大気2種 |
| 有害物質の施設以外で、排出ガス量が4万m³N/時以上 | 大気1種・大気3種 |
| 有害物質の施設以外で、排出ガス量が1万m³N/時以上4万m³N/時未満 | 大気1種・2種・3種・4種 |
協会の資料の表には、4種の工場の区分が「1万立方メートル以上4万立方メートル未満」と書かれています。施行令の第2条では、有害物質の施設を持たない工場は、排出ガス量が1万立方メートル以上で特定工場になります。つまり、有害物質の施設がなく排出ガス量が1万m³N/時に満たない工場は、この法律の公害防止管理者の選任の対象外です。
表を見ると、次の規則に気づきます。
- 1種は、どの区分の工場にも選任できる(全部を兼ねる)
- 2種は、有害物質の施設がある小規模の工場と、4種の工場に選任できる
- 3種は、有害物質の施設がない大規模の工場と、4種の工場に選任できる
- 2種と3種は互いに兼ねられない(2種の資格で3種の工場には選任できず、その逆もできない)
- 4種の資格では、4種の工場にしか選任できない
水質関係:同じ形で、境目の数字が違う
水質関係も同じ構造です。別表第二と協会の資料にもとづく表を示します。
| 施設の区分 | 選任できる資格者 |
|---|---|
| 有害物質を排出する施設があり、排出水量が1万m³/日以上 | 水質1種 |
| 有害物質を排出する施設があり、排出水量が1万m³/日未満(または特定地下浸透水を浸透させている工場) | 水質1種・水質2種 |
| 有害物質の施設以外の汚水等排出施設で、排出水量が1万m³/日以上 | 水質1種・水質3種 |
| 有害物質の施設以外の汚水等排出施設で、排出水量が1千m³/日以上1万m³/日未満 | 水質1種・2種・3種・4種 |
水質では、有害物質を排出する施設がない工場の場合、排出水量が1日あたり1千立方メートル以上で特定工場になります(施行令第3条)。この下限が、大気(1万m³N/時)と違うので注意してください。
大気と同じく、「1種は全部を兼ねる」「2種と3種は互いに兼ねない」「4種の工場は1〜4種のどれでもよい」という規則がそのまま成り立ちます。
「ここでいう『大規模』は、大気では排出ガス量、水質では排出水量で判断する」という点を取り違えないようにしましょう。工場の大きさ(従業員数や敷地)ではありません。
選任の向きを図なしで覚える:上の種は下の種を兼ねる
資格者の「兼ねられる向き」を言葉で整理すると、次のようになります。
| 取った資格 | 選任できる工場の種 |
|---|---|
| 1種 | 1種・2種・3種・4種の工場すべて |
| 2種 | 2種・4種の工場 |
| 3種 | 3種・4種の工場 |
| 4種 | 4種の工場のみ |
試験の問題では、「〜の工場に選任できる資格者の組合せはどれか」という形で、この関係が問われることがあります。表を見ながら、「1種は全部」「2種と3種は互いに不可」「4種の工場は誰でも可」と声に出して確認すると、定着します。
受験する科目の違い
次に、試験の科目を見ましょう。2026年度の受験案内では、区分ごとの科目と問題数は次のとおりです。
大気関係
| 区分 | 受ける科目 | 問題数 |
|---|---|---|
| 大気4種 | 公害総論・大気概論・大気特論・ばいじん・粉じん特論 | 55問 |
| 大気2種 | 4種の科目+大気有害物質特論 | 65問 |
| 大気3種 | 4種の科目+大規模大気特論 | 65問 |
| 大気1種 | 4種の科目+大気有害物質特論+大規模大気特論 | 75問 |
水質関係
| 区分 | 受ける科目 | 問題数 |
|---|---|---|
| 水質4種 | 公害総論・水質概論・汚水処理特論 | 50問 |
| 水質2種 | 4種の科目+水質有害物質特論 | 65問 |
| 水質3種 | 4種の科目+大規模水質特論 | 60問 |
| 水質1種 | 4種の科目+水質有害物質特論+大規模水質特論 | 75問 |
科目の名前を見ると、法律の物差しとそのまま対応しています。有害物質特論を受ける区分が1種と2種、大規模特論を受ける区分が1種と3種です。物差しから、受ける科目を導けます。
なお、各科目の問題は区分を問わず共通で、科目ごとに合否が決まります。合格基準は試験の後に決まるため、事前には公表されません。
特定粉じん関係の資格者も、大気の資格者で選任できる
大気関係の資格者は、粉じんの施設にも関わります。別表第二では、特定粉じん(石綿)発生施設に選任できるのは、大気関係の1種〜4種の資格者と特定粉じん関係の資格者です。一般粉じん発生施設には、これらに加えて一般粉じん関係の資格者も選任できます。大気の資格を持っていると、粉じんの施設の分野にも活用できます。
公害防止主任管理者との関係
「種」の話とは別に、排出ガス量が1時間あたり4万立方メートル以上のばい煙発生施設と、排出水量が1日あたり1万立方メートル以上の汚水等排出施設の両方がある大規模な工場では、公害防止主任管理者を選任します(施行令第9条。主務省令で定める要件に当たる場合を除く)。協会の資料によると、主任管理者には、主任管理者の資格者のほか、大気関係の第1種または第3種の資格者であって、かつ水質関係の第1種または第3種の資格者である人も就けます。
どの種から受けるか:考え方の目安
受験する区分は、勤務先(または志望先)の工場にある施設で決まります。次の順番で確認すると迷いません。
- 工場の施設は、大気(ばい煙)か水質(汚水等排出)か、その両方か
- 有害物質を出す施設はあるか
- 排出ガス量・排出水量は、4万m³N/時・1万m³/日を超えるか
ただし、実際の選任は工場ごとの届出と法令にもとづくため、最終的な判断は勤務先の公害防止担当者や、協会の資料で確かめてください。資格の取得だけが目的なら、4種から受けて科目合格を積み上げ、足りない科目を足して上の種に進む方法もあります。区分合格による免除は、別の区分を受けるときに共通科目に使えます。
公害防止管理者講座は、公害総論と大気関係5科目・水質関係4科目を扱います。大気1〜4種と水質1〜4種、特定粉じんに対応しますが、騒音・振動関係とダイオキシン類関係の科目は扱っていません。内容は講座ページで確認できます。
まとめ
- 1種〜4種は、有害物質の施設があるかと、工場の規模(大気は4万m³N/時、水質は1万m³/日)で決まる
- 1種は全部の種の工場に選任でき、2種と3種は互いに兼ねられず、4種の工場は1〜4種のどれでもよい
- 受験科目は、4種の科目が土台で、2種は有害物質特論、3種は大規模特論、1種は両方が加わる
- 大気の4種は排出ガス量1万m³N/時以上、水質の4種は排出水量1千m³/日以上の工場が対象
「有害物質」と「大規模」の2つの物差しで、種と科目の両方が決まります。物差しを先に覚えれば、表を丸暗記しなくても組合せを導けます。

