公害防止管理者試験は、科目ごとに合否が決まる試験です。そのため「落とした科目だけ受け直せば済むのか」「合格した科目はいつまで有効なのか」が、多くの受験者の疑問になります。この記事では、産業環境管理協会(公害防止管理者試験センター)が公表している受験案内などをもとに、免除のしくみを年ごとの例と申請の手順で整理します。試験全体の説明は公害防止管理者試験とは?の記事を、区分の違いは大気と水質、1種〜4種の違いの記事を参照してください。
先に結論:免除は2種類で、どちらも「申請が必要」
協会の「資格取得の方法」ページと2026(令和8)年度の受験案内によると、科目別合格制度は平成18年度の試験から始まっています。この制度による免除は、次の2種類です。
| 科目合格に基づく免除 | 区分合格に基づく免除 | |
|---|---|---|
| 対象になる人 | 一部の科目だけ合格し、区分合格していない人 | ある区分に区分合格(資格取得)した人 |
| 使える場面 | 同じ試験区分を受験するとき | 別の試験区分を受験するとき |
| 免除される科目 | 合格済みの科目 | 合格した区分に含まれる、同じ科目 |
| 期限 | 合格した年を含めて3年以内 | 年限なし |
| 申請に使う番号 | 管理番号(10桁) | 合格証書番号(8桁) |
どちらの免除も、受験申込みのときに本人が申請して初めて有効になります。受験案内には、科目免除は法令により「受験者本人の申請により免除する」と書かれています。対象でも申請しなければ免除されません。
科目合格に基づく免除:同じ区分で、3年以内
「3年」の数え方
科目合格の免除は、合格した年を1年目として数えます。受験案内の表現では、「合格した年の初めから3年以内」「合格した年を含めて3年間」です。
たとえば水質4種(公害総論・水質概論・汚水処理特論の3科目)で、次のように受験したとします。年の数え方を示すための例で、実在の受験者の記録ではありません。
| 年 | その年の結果 | 次の年に使える免除 |
|---|---|---|
| 1年目 | 公害総論に合格。水質概論と汚水処理特論は不合格 | 公害総論(3年目まで) |
| 2年目 | 公害総論を免除。汚水処理特論に合格、水質概論は不合格 | 公害総論(3年目まで)、汚水処理特論(4年目まで) |
| 3年目 | 公害総論と汚水処理特論を免除。水質概論に合格 | ― |
この例では、3年目で3科目がそろうので、水質4種の区分合格(資格取得)になります。
もし3年目も水質概論に合格できなかった場合は、4年目に困ったことが起こります。公害総論は1年目に合格した科目なので、3年の期限が切れて受け直しです。汚水処理特論はまだ有効(2年目から数えて4年目まで)です。つまり科目ごとに、それぞれ別々の期限が進んでいます。
期限の延長はない
受験案内には、科目合格の有効期限は法令で定められた期限で、延長はないと書かれています。天災などで試験が延期になった場合の扱いも案内されていて、延期後の日程で「受験しない」を選んだ人は、免除期限を次年度に繰り越すことができません。
申請の手順と番号
同じ区分で免除を受けるときの手順は、受験案内によると次のとおりです。
- 科目合格をした人に通知される管理番号(10桁)を確認する(分からないときは協会に問い合わせる)
- 次の受験申込み(インターネット)の免除申請欄に、管理番号を入力する
- 申込みの最後の画面に出る免除科目の一覧を確認する
管理番号は試験区分ごとに別の番号で、最初の2桁が試験区分(01〜13)を表します。受験する区分と管理番号の頭2桁が一致していれば、その区分の免除を申請できます。番号が分からないときは、本人確認のうえで協会に問い合わせます。
区分合格に基づく免除:別の区分で、年限なし
ある区分に区分合格(資格取得)した人は、次年度以降に別の区分を受けるとき、すでに合格した区分に含まれる科目を免除できます。3年の期限はありません。
たとえば、水質4種に区分合格した人が、のちに水質1種を受けるとします。水質1種の科目は、公害総論・水質概論・汚水処理特論・水質有害物質特論・大規模水質特論の5科目です。水質4種の3科目は同じ科目なので免除でき、残る2科目(水質有害物質特論・大規模水質特論)だけを受ければ水質1種の区分合格になります。
大気4種を受けるときも同じです。公害総論は全13区分に共通の科目なので免除できます。大気概論・大気特論・ばいじん・粉じん特論は、水質4種の合格では免除できないので、受験が必要です。
| 申請に使うもの | 内容 |
|---|---|
| 合格証書番号(8桁) | 合格証書に漢数字で書かれた番号を、アラビア数字に直して入力する |
| 合格証書番号が分からないとき | 合格時の氏名・住所・受験区分・受験地を用意して、協会に問い合わせる |
注意点が2つあります。まず、平成17年度以前に取得した資格や、資格認定講習で得た資格では、この免除は申請できません。次に、合格証書の氏名と今の氏名が違うときは、変更届が必要です。
2つの免除を組み合わせる
2つの免除は、一回の申込みの中で組み合わせられます。
受験案内には、水質4種に区分合格した人が、のちに大気4種を受ける例が載っています。この例では、公害総論を区分合格の免除(年限なし)で免除し、大気4種で合格した大気概論などは科目合格となります。この科目合格は、大気4種を受けるときにだけ免除に使えます。
科目合格は「その区分」の中でしか使えません。大気4種で合格した大気概論の科目合格を、水質の区分を受けるときの免除には使えません。区分を変えて受ける場合は、科目合格の免除が使えなくなることを前提に計画を立てます。
よくあるつまずきと対処
受験案内とよくある質問のページに、次のような注意が載っています。
| 状況 | 協会の案内 |
|---|---|
| 免除の申請を忘れて、その科目を受験しなかった | 欠席として扱われる。ほかの受験した科目は採点される |
| 申込受付期間を過ぎてから免除を追加したい | 理由を問わず追加できない。期間内なら再ログインして追加・変更できる |
| 免除できる科目を、あえて再度受けたい | 免除申請画面のチェックを外すと受験できる |
| 免除を申請せずに科目を受験して合格した | 新たな科目合格として扱われ、その年から3年間、免除を申請できる |
| 区分合格したあとの管理番号 | 区分合格すると失効する。以後は合格証書番号で免除を申請する |
| 免除のお知らせ | 例年6月ごろに圧着はがきで届く。6月末までに届かなければ再発行を依頼する |
「免除の申請を忘れた」場合の影響が大きいことが分かります。申込みの期間は例年7月の1か月間で、2026年度は7月1日から7月31日までの受付でした。次回以降の日程は、年度の受験案内で確認してください。
全科目免除になるとき
免除を使った結果、すべての科目が免除になる人は、受験手数料の納付が不要です。ただし、インターネットの申込画面からは申請できず、全科目免除受験願書で申し込みます。指定の期日までに、メールまたは郵送で、全科目免除の対象であることを試験センターに連絡します。すでに持っている資格で選任できる区分を受験する場合は、全科目免除の対象になりません。
免除を前提にした学習計画の立て方
免除のルールから、学習計画で意識しておきたい点を3つにまとめます。
- 科目ごとに期限が走る:合格した科目の期限は、合格した年から数えます。苦手な科目を後回しにすると、先に合格した科目の期限が先に切れるおそれがあります。1年目に受ける科目、2年目に受ける科目を決めるときは、3年目までにすべてそろうかを確認します
- 汚水処理特論や大気特論のように問題数の多い科目を、早めに合格する:水質4種の汚水処理特論は25問、水質全体の中心になる科目です。1回で落ち着いて合格できる科目から取るか、重い科目から取るかは、自分の得意不得意で決めます
- 合格基準は事前に分からない:科目の合格基準は、試験終了後の試験員委員会で決まります。6割取れば合格と決めつけず、受ける科目はどれも落とさない準備を目標にします
講座で学習する場合は、公害防止管理者講座で、公害総論と大気関係・水質関係の科目を授業単位で進められます。「今年は公害総論と水質概論に絞る」といった科目単位の計画も立てやすい構成です。なお、講座では騒音・振動、ダイオキシン類の科目は扱っていません。
まとめ
- 免除は、同じ区分で使う「科目合格の免除(合格した年を含めて3年)」と、別の区分で使う「区分合格の免除(年限なし)」の2種類です
- どちらも受験申込みのときの申請が必要で、期間を過ぎると追加できません。科目合格は管理番号(10桁)、区分合格は合格証書番号(8桁)を使います
- 期限の切れた科目は受け直しです。期限は科目ごとに進むので、計画は科目単位で立てます
- 日程や手数料は年度ごとに変わります。最新の情報は、協会の公式サイトと受験案内で確認してください
最初に「受ける区分」を決め、その区分の科目を何年でそろえるかを書き出します。そのうえで、科目ごとの期限を手帳などに控え、毎年の申込期間に免除の申請を忘れないようにします。

