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論点解説

活性汚泥法の計算|BOD容積負荷・BOD-SS負荷・滞留時間を例題で解く(公害防止管理者・汚水処理特論)

公害防止管理者の水質関係で出る活性汚泥法の計算を、BOD容積負荷・BOD-SS負荷・水理学的滞留時間の3式に整理。単位換算、最初沈殿池がある場合、MLSSの逆算まで3つの例題で解説します。

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トーレス

公害防止管理者の水質関係で出る活性汚泥法の計算を、BOD容積負荷・BOD-SS負荷・水理学的滞留時間の3式に整理。単位換算、最初沈殿池がある場合、MLSSの逆算まで3つの例題で解説します。

この記事の要点

  • 計算の材料は流入水量Q・流入BOD・反応槽の容積V・MLSSの4つ。3つの式はこの4つの組み合わせだけです。
  • 容積負荷はBOD量÷V、BOD-SS負荷はBOD量÷(V×MLSS)、滞留時間はV÷Q。後者は前者をMLSSで割った値です。
  • mg/Lとm³を掛けるとグラムになるので、1000で割ってkgにします。MLSSをmg/Lのまま掛けると答えが1000倍ずれます。
  • 汚水処理特論は水質関係の1種〜4種すべてで受ける25問の科目で、電卓は四則・開平などの機能のものだけが使えます。
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活性汚泥法の計算は、公害防止管理者の水質関係で「式は短いのに間違えやすい」代表格です。原因のほとんどは、式を忘れることではなく、単位の取り違えと分母の取り違えです。この記事では、BOD容積負荷・BOD-SS負荷・水理学的滞留時間の3つの式を、自分で作った例題で順に解きます。試験全体のしくみは公害防止管理者試験とは?、区分ごとの違いは大気・水質1種〜4種の違いにまとめています。

活性汚泥法の計算は、どの科目で受けるのか

産業環境管理協会(公害防止管理者試験センター)の「2026(令和8)年度 受験案内」によると、汚水処理特論の試験科目の範囲は次の5項目です。

  1. 汚水等処理計画に関すること
  2. 物理・化学的処理法に関すること
  3. 生物的処理法に関すること
  4. 汚水等処理装置の維持・管理に関すること
  5. 測定に関すること

活性汚泥法は、このうち「生物的処理法」にあたります。同じ受験案内の表では、汚水処理特論は25問です。水質関係の第1種から第4種のすべてで受ける科目なので、水質を受けるなら避けて通れません。

公害防止管理者等国家試験では、関数電卓は使用禁止です。使えるのは、四則演算・開平計算・百分率計算などの機能だけの電卓に限られます(受験案内「電卓の取扱」)。この記事の計算は、四則だけで解けます。最新の規定は毎年の受験案内で確認してください。

計算に使う4つの量

活性汚泥法では、反応槽(ばっ気槽)に空気を送り、微生物の集まりである活性汚泥で有機物を分解します。次の最終沈殿池で汚泥を沈め、上澄みが処理水です。計算に使う量は4つだけです。

量 記号の例 単位 意味
流入水量 Q m³/日 1日に反応槽へ入る水の量
流入BOD BOD mg/L 流入水の有機物の濃度(生物化学的酸素要求量)
反応槽の容積 V m³ 反応槽の大きさ
MLSS MLSS mg/L 反応槽の中の活性汚泥の濃度

3つの式と答えの単位

  • BOD容積負荷:流入BOD量(kg/日)を反応槽の容積V(m³)で割る。答えは kg/(m³·日)。槽の大きさあたりの負荷
  • BOD-SS負荷:流入BOD量(kg/日)を、Vに MLSS(kg/m³)を掛けた汚泥量(kg)で割る。答えは kg/(kg·日)。汚泥の量あたりの負荷
  • 水理学的滞留時間:Vを流入水量Qで割る。答えは日で、24を掛けると時間になる

流入BOD量は Q × BOD ÷ 1000 で求めます(次の節で説明します)。

BOD-SS負荷は、BOD汚泥負荷とも呼ばれます。式を見比べると、BOD-SS負荷は「BOD容積負荷をMLSSで割ったもの」です。容積負荷が槽の大きさに対する負荷、汚泥負荷が汚泥の量に対する負荷という違いです。

まず単位をそろえる

BODの濃度は mg/L で与えられます。1m³は1000Lで、1000mgは1gです。つまり 1mg/L は 1g/m³ と同じで、濃度に1日の水量(m³/日)を掛けると、1日に流れ込むグラム数になります。キログラムにするには1000で割ります。

流入BOD量(kg/日)= Q(m³/日)× BOD(mg/L)÷ 1000

MLSSも同じで、mg/L を1000で割ると kg/m³ になります。たとえば 2,000mg/L は 2.0kg/m³ です。

式を書いたら、単位だけを抜き出して約分してみます。BOD-SS負荷なら「kg/日」を「m³ × kg/m³」で割るので、m³ が消えて kg/(kg·日) が残ります。答えの単位になっていれば、式は合っています。

例題1:3つの値をそのまま出す

流入水量1,000m³/日、流入BOD 200mg/L、反応槽の容積500m³、MLSS 2,000mg/L の施設です。

  1. 流入BOD量 = 1,000 × 200 ÷ 1000 = 200kg/日
  2. BOD容積負荷 = 200 ÷ 500 = 0.40kg/(m³·日)
  3. 槽内の汚泥量 = 2.0(kg/m³)× 500 = 1,000kg
  4. BOD-SS負荷 = 200 ÷ 1,000 = 0.20kg/(kg·日)
  5. 滞留時間 = 500 ÷ 1,000 = 0.5日 = 12時間

検算として、容積負荷0.40をMLSS 2.0で割ると0.20になり、手順4の結果と一致します。

例題2:最初沈殿池があるとき

流入水量800m³/日、流入BOD 250mg/L の排水が、最初沈殿池でBODの30%を除かれてから反応槽に入ります。反応槽の容積は400m³、MLSSは2,500mg/L です。

  1. 沈殿池の前のBOD量 = 800 × 250 ÷ 1000 = 200kg/日
  2. 沈殿池で残るのは70%なので、200 × 0.7 = 140kg/日
  3. BOD容積負荷 = 140 ÷ 400 = 0.35kg/(m³·日)
  4. BOD-SS負荷 = 0.35 ÷ 2.5 = 0.14kg/(kg·日)
  5. 滞留時間 = 400 ÷ 800 = 0.5日 = 12時間

ここでの注意点は2つです。除かれるのは「BODの量」で、水量は変わらないので、滞留時間の計算には元の800m³/日を使います。また、30%除去と書いてあれば掛けるのは0.7で、0.3を掛けると取り違えです。

例題3:MLSSを逆算する

流入水量600m³/日、流入BOD 300mg/L、反応槽の容積400m³の施設で、BOD-SS負荷を0.30にして運転したいとき、MLSSをいくつにすればよいでしょうか。

  1. 流入BOD量 = 600 × 300 ÷ 1000 = 180kg/日
  2. 必要な汚泥量 = 180 ÷ 0.30 = 600kg
  3. MLSS = 600 ÷ 400 = 1.5kg/m³ = 1,500mg/L
  4. 参考に、容積負荷 = 180 ÷ 400 = 0.45kg/(m³·日)、滞留時間 = 400 ÷ 600 = 2/3日 = 16時間

逆算でも式は同じです。BOD-SS負荷の式を「汚泥量 = BOD量 ÷ 汚泥負荷」と並べ替えて、最後に容積で割り、mg/L に戻します。最後の「×1000」を忘れると、答えが1,000分の1になります。

条件を変えると負荷はどう動くか

他の条件を同じにして、1つだけ変えたときの動きです。式の分子と分母のどちらが動くかで決まります。

  • 流入BODの濃度が上がると、BOD量が増えるので、容積負荷もBOD-SS負荷も上がります。滞留時間は水量と容積だけで決まるので動きません
  • 流入水量が増えると、BOD量が増えて両方の負荷が上がり、さらに滞留時間は短くなります
  • MLSSを上げると、動くのは汚泥量(BOD-SS負荷の分母)だけです。BOD-SS負荷だけが下がり、容積負荷と滞留時間は変わりません
  • 反応槽を大きくすると、Vが増えて両方の負荷が下がり、滞留時間は長くなります

MLSSを上げたときにBOD-SS負荷だけが下がる点が頻出です。容積負荷の式にはMLSSが入っていないことを覚えておくと迷いません。

よくあるつまずき

つまずき 起こること 防ぎ方
MLSSをmg/Lのまま掛ける 答えが1000倍ずれる kg/m³ に直してから使う
滞留時間をQ÷Vにする 逆数になる 「容積÷水量」と覚える
日のまま答える 24倍ずれる 選択肢の単位が「時間」なら24を掛ける
除去率をそのまま掛ける 残る量でなく除いた量になる 「残る割合」にしてから掛ける

授業・講座への導線

公害防止管理者講座では、水質の科目として公害総論・水質概論・汚水処理特論などを扱っています。大気関係の計算は燃焼計算の基本で書いています。科目ごとの免除については科目合格と免除のしくみをご覧ください。なお、騒音・振動、ダイオキシン類の科目は講座では扱っていません。

まとめ

  • 材料はQ・BOD・V・MLSSの4つ。mg/L × m³ ÷ 1000 でkgにする
  • BOD容積負荷は槽の容積で割り、BOD-SS負荷は容積とMLSS(kg/m³)の積で割る
  • 滞留時間は V÷Q の日数で、時間にするなら24を掛ける
  • 検算は「容積負荷÷MLSS=汚泥負荷」と、単位の約分
  • 試験の範囲・問題数は毎年の受験案内で確認する

よくある質問

BOD-SS負荷とBOD汚泥負荷は別のものですか? 同じ意味で使われます。汚泥1kgが1日に受け持つBODの量です。

関数電卓なしでも計算できますか? この記事の例題は四則演算だけで解けます。試験では関数電卓が禁止のため、数字を整えて手計算する練習が必要です。

参考にした情報

記事の内容は、記載の日付時点で確認した情報にもとづいています。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。内容に誤りを見つけた場合は、お問い合わせからお知らせください。確認のうえ修正します。

2026年10月18日約9分で読めます
公害防止管理者試験汚水処理特論活性汚泥法BOD-SS負荷BOD容積負荷
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