司法書士試験は、法務大臣が毎年行う国家試験です。筆記試験(択一式と記述式)に合格した人だけが、口述試験を受けられます。この記事では、科目・問題数・配点・試験時間・基準点・日程を、法務省などの公表資料にそって整理します。「司法書士試験とは何を、どれだけ解く試験なのか」を、最初に一枚の地図として持ちたい方向けです。
司法書士試験とは? 筆記と口述の2段階
試験の方法と内容は、司法書士法第6条に書かれています。要点は次のとおりです。
- 試験は筆記と口述の方法で行う(口述は筆記に合格した人だけ)
- 問われる分野は、憲法・民法・商法・刑法に関する知識、登記・供託・訴訟に関する知識、そして司法書士の業務(登記・供託の代理や書類作成など)を行うのに必要な知識と能力
- 筆記試験に合格した人には、申請により次回の筆記試験が免除される
- 受験する人は受験手数料を納める
条文には、試験を受けるための学歴や年齢の条件は書かれていません。なお、司法書士法第5条の欠格事由(未成年者など)は「司法書士となる資格」に関する定めで、試験を受ける条件とは別の話です。申込みの細かい条件は、毎年の受験案内書で確認してください。
司法書士試験は「筆記(択一+記述)→口述」の順に進みます。多くの受験生にとっての最大の関門は筆記試験です。
筆記試験の構成と配点
筆記試験は、午前の部と午後の部の2回に分かれます。
合計は350点満点です(105点+105点+140点)。令和8年度の合格点が「満点350点中258.0点以上」と法務省から発表されているので、この満点で数えます。
択一式は1問3点です(35問で105点)。記述式は、法務省が令和5年12月に発表したとおり、令和6年度の試験から2問で70点満点が140点満点に変わりました。試験時間の3時間は変わっていません。つまり記述式だけで、350点のうち4割を占めます。
記述式が70点だった頃の古い解説記事では、満点が「280点」などと書かれていることがあります。現在は350点満点です。
午前と午後で、出る分野が違う
近年の出題では、午前の部は憲法・民法・刑法・会社法(商法)が中心です。午後の部は、民事訴訟法・民事保全法・民事執行法・供託法・司法書士法に、不動産登記法と商業登記法が加わります。午後は択一35問に記述式2問が加わるので、時間の使い方が合否を左右します。科目ごとの問題数は年度で変わることがあるため、法務省が公表する各年度の問題で確認してください。
3つの基準点(足切り)と合格点
筆記試験の合否は、次の2段階で決まります。
- 午前の択一・午後の択一・記述式のそれぞれが基準点に達していること(1つでも届かないと、それだけで不合格)
- 3つとも基準点に達したうえで、合計点が合格点以上であること
法務省が公表した直近2年度の数字は次のとおりです。
基準点も合格点も、毎年、試験のあとに決まって発表されます。事前に「何点取れば受かる」とは決まっていないため、「だいたい7割」のような目安は、あくまで過去の結果から見た参考です。「択一で基準点を超えたうえで、記述式でも基準点を取る」という、3つを同時にクリアする設計になっています。
基準点の仕組みを詳しく知りたい方は、今後の記事で取り上げます。
口述試験とは
筆記試験の合格者が受けるのが口述試験です。令和8年度は10月13日(火)に行われ、時間と場所は筆記試験の合格者に別途通知されました。令和7年度は10月14日でした。
筆記試験で合否の大部分が決まるため、勉強時間の多くは筆記対策に使われます。口述試験については、受験案内書に書かれた内容と、その年の法務省の案内で確認してください。
日程・手数料・合格までの流れ(令和8年度の例)
千葉地方法務局が案内している令和8年度の日程は次のとおりです。
試験は年1回です。指定の時刻(午前9時15分、午後12時45分)までに試験室に入らないと、その部の試験を受けられません(司法書士法施行規則第6条)。試験時間が終わる前に答案を出して退室することも認められません。日程や金額は年度で変わることがあるので、受験する年度の受験案内書を必ず確認してください。
試験の規模:令和7年度の結果
法務省が令和7年11月4日に公表した最終結果によると、令和7年度の受験者数は14,418人(午前・午後の両方を受けた人の数)、最終合格者数は751人でした。受験者数に対する合格者数の割合は、計算すると約5.2%です。合格者の平均年齢は42.05歳で、最年少は17歳、最年長は74歳と公表されています。社会人から挑戦して合格する人も多い試験です。
合格率や受験者数の推移は、別の記事で年度ごとに見ていきます。
勉強の全体像:何から手をつけるか
試験の形から逆算すると、勉強の骨格は次の3つです。
- 択一式の基礎となる法律知識:憲法・民法・刑法・会社法・民事訴訟法など。午前と午後の択一70問を支える
- 不動産登記法・商業登記法:択一でも出るうえ、記述式の2問の土台になる
- 記述式の答案練習:140点という大きな配点を取るため、欄ごとに何を書くかを知り、書く練習をする
まずは民法で基礎の考え方をつくり、そこから登記法へつなげるのが一般的な進め方です。
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よくある質問
Q. 司法書士試験に受験資格はありますか?
司法書士法第6条には、試験を受けるための学歴や年齢の条件は書かれていません。ただし、申込みの方法や必要書類は毎年の受験案内書で決まるため、受験する年度のものを確認してください。
Q. 筆記試験の満点は何点ですか?
350点です。午前の択一105点、午後の択一105点、記述式140点(令和6年度から)の合計です。
Q. 基準点に1つでも届かないとどうなりますか?
午前の択一、午後の択一、記述式のどれか1つでも基準点に届かないと、合計点が高くても、それだけで不合格になります。
Q. 試験は年に何回ありますか?
筆記試験は年1回、7月に行われています(令和8年度は7月5日)。口述試験は10月に行われました。
まとめ
- 司法書士試験は、筆記(択一+記述)に合格した人が口述に進む2段階
- 筆記は350点満点:午前の択一105点、午後の択一105点、記述式140点
- 午前の択一・午後の択一・記述式の3つに基準点があり、すべて超えて合格点にも達する必要がある
- 令和8年度の合格点は258.0点、令和7年度の受験者14,418人に対して合格者は751人
- 日程・手数料は年度ごとに変わるので、受験年度の法務省の受験案内書で確認する