運行管理者試験(旅客)を受けたいけれど、「運行管理の経験がないと受けられないの?」と迷う人は多いです。結論から言うと、受験資格は**「運行管理の実務経験が1年以上ある」か「旅客の基礎講習を修了している」のどちらか一方**を満たせば足ります。実務経験がない人でも、基礎講習を受ければ受験できます。この記事では、それぞれの道の条件と、申請で間違えやすい点を整理します。
運行管理者(旅客)の受験資格は2つの道
運行管理者試験センターの「新規受験の概要」によると、受験資格は次の2つのうち、いずれか一方に当てはまることです。
| 道 | 条件 | 向いている人 |
|---|---|---|
| A 実務経験 | 試験日の前日までに、運行管理の実務経験が1年以上ある | すでにバス・タクシー・トラックなどの会社で運行管理の仕事をしている人 |
| B 基礎講習 | 国土交通大臣が認定する講習実施機関で、受ける試験の種類に応じた基礎講習を修了している(修了予定も可) | 実務経験がない人、経験が1年に足りない人 |
国土交通省の案内も同じ考え方で、「事業用自動車の運行管理に関する実務経験が1年以上ある」か、「実務経験に代わる講習(基礎講習)を修了している」ことが受験資格とされています。年齢や学歴の条件は、これらの案内には書かれていません。
受験資格に「旅客の実務経験」は求められていません。国土交通省の案内では、実務経験の事業の種別は問わないとされています。
A 実務経験の道: 何が「1年以上」に数えられる?
試験センターの案内では、実務経験の対象は次のとおりです。
- 自動車運送事業(貨物軽自動車運送事業を除く)の事業用自動車の運行管理
- 特定第二種貨物利用運送事業者の事業用自動車(緑色ナンバーの車)の運行管理
- 期間は、試験日の前日までに1年以上
「貨物軽自動車運送事業を除く」とあるので、軽自動車(黒ナンバー)だけで貨物を運ぶ事業での経験は、実務経験に入りません。
実務経験で申請するときは、実務経験承認者の承認が必要です。申請では承認者の氏名・勤務先名・役職名・電話番号・メールアドレスを入力し、承認者からメールで承認を受けます。申請の締切までに承認が間に合わないと受験できないので、早めに勤務先で承認者になる人と相談しておきましょう。
B 基礎講習の道: 「種類をそろえる」ことが最重要
実務経験がない人が使うのが、基礎講習です。試験センターの案内にある条件は次の3点です。
- 国土交通大臣が認定する講習実施機関で受けた基礎講習であること
- 1995年(平成7年)4月1日以降に修了していること
- 基礎講習の種類と、受ける試験の種類が一致していること
3点目は特に大切です。基礎講習には旅客と貨物の種類があり、旅客試験を受けるなら旅客の基礎講習が必要です。貨物の基礎講習を修了していても、それだけでは旅客試験の受験資格になりません。
先に「旅客か貨物か」を決めてから、講習を申し込みましょう。受ける試験を決めずに申し込むと、必要な種類の講習を受け直すことになるおそれがあります。旅客と貨物の選び方は、運行管理者は旅客と貨物どっちを受ける? 違い・選び方を整理で解説しています。
基礎講習の実施機関は、国土交通省の案内で「講習認定機関」とされています。実務経験と講習で資格者証を取る道では、自動車事故対策機構(NASVA)が行う基礎講習と一般講習が認定講習とされています。講習の日程・料金・受講方式(対面かオンラインか)は実施機関や年度で変わるので、申し込む前に実施機関の最新の案内で確認してください。
修了予定でも申請できる
試験センターの案内では、基礎講習は「修了予定」の段階でも受験申請ができます。ただし条件があります。
- 指定された期日までに講習を修了すること
- 修了後すみやかに、修了証などをアップロードして登録すること
- 期日までに修了できない、または写しを提出しない場合は、受験できない
講習実施機関のほうから修了情報が登録されている場合は、アップロードは不要とされています。提出する書類は、受ける試験の種類に対応した「基礎講習修了証」または「運行管理者講習手帳」のどちらか1つです。
2つの道を比べると
| 項目 | A 実務経験 | B 基礎講習 |
|---|---|---|
| 条件 | 運行管理の実務経験1年以上(試験日の前日まで) | 試験の種類に合った基礎講習を修了(修了予定も可) |
| 必要な手続き | 実務経験承認者のメールでの承認 | 修了証または運行管理者講習手帳の登録 |
| つまずきやすい点 | 承認の締切に間に合わない | 旅客と貨物の種類違い、修了期日に間に合わない |
| 講習の費用・日程 | かからない | 実施機関の案内で確認 |
どちらの道でも、受験資格を満たしていることを申請の時点で書類・登録で示す必要があります。
受験申請に必要なもの
受験資格とは別に、申請サイトで共通して用意するものがあります。試験センターの案内にある内容を表にまとめます。
| 必要なもの | 内容 |
|---|---|
| メールアドレス | 受験者本人のもの |
| 本人確認書類 | 運転免許証・住民票・マイナンバーカードのいずれか1つ(通知カードは不可) |
| 顔写真 | 6か月以内に撮影した、正面・上半身のもの。帽子・サングラス・マスクなし |
| 支払方法 | コンビニ決済・クレジットカード決済・ペイジー決済から選ぶ |
| 実務経験者のみ | 実務経験承認者の氏名・勤務先名・役職名・電話番号・メールアドレス |
申請後は書類審査があり、新規受験では1週間〜10日ほどかかると案内されています。審査が終わってから、会場と日時の予約、手数料の支払いに進みます。受験手数料は返還されない決まりなので、受験資格や試験の種類をよく確認してから支払いましょう。日程と手数料の詳しい手順は、その回の最新の案内で確認してください。
受験資格と「資格者証をもらう条件」は別
名前が似ているので混同しやすいのですが、受験資格と資格者証を試験なしでもらう条件は別の制度です。
| 制度 | 内容 |
|---|---|
| 受験資格(この記事) | 運行管理者試験を受けるための条件。実務経験1年以上か、基礎講習の修了 |
| 試験なしで資格者証を得る道 | 資格者証の種類に対応する事業用自動車の運行管理に5年以上の実務経験があり、その間に運行管理の講習を5回以上受けている(うち1回以上は基礎講習) |
国土交通省の案内では、試験なしで資格者証を得る道の対象は一般乗合旅客・一般乗用旅客・特定旅客・貨物の4種類とされています。一般貸切旅客は、この案内の対象に書かれていません。自分の事業でどちらの道が使えるかは、地方運輸局や運輸支局に確認してください。
試験に合格する道を選ぶなら、5年の実務経験は要りません。基礎講習を修了して試験に合格すれば、資格者証の交付に進めます。
よくある勘違い
- 「実務経験がないと受けられない」: 基礎講習を修了すれば受けられます。
- 「貨物の基礎講習でも旅客試験を受けられる」: 基礎講習の種類と試験の種類は一致させる必要があります。
- 「講習が終わってから申請する」: 修了予定でも申請できます。ただし期日までに修了しないと受験できません。
- 「軽貨物の経験でも実務経験になる」: 貨物軽自動車運送事業は、実務経験の対象から除かれています。
- 「受験資格の確認は当日でよい」: 申請の時点で、書類審査があります。当日に顔写真付きの本人確認書類を示せないと受験できない点にも注意してください。
受験資格がそろったら、勉強の見通しを立てる
受験資格の道が決まったら、試験の中身を知っておくと勉強の計画を立てやすくなります。旅客試験は5分野30問のCBTで、合格には総得点18問以上と、分野ごとの最低正解数が必要です。くわしくは 運行管理者(旅客)試験とは? 5分野30問・CBT・合格基準を整理 にまとめています。
運行管理者(旅客)講座では、道路運送法、道路運送車両法、道路交通法、労働基準法、改善基準告示、実務上の知識及び能力まで、旅客の試験範囲を授業動画で順に学べます。分からないところは、AI講師トーレスに毎月質問できます。料金は月額 1,234円〜(年額プラン14,800円・一括払いの月あたり)で、月額プランは2,980円です。最新の料金は講座ページで確認してください。
よくある質問
Q. 運行管理の実務経験がなくても、旅客試験を受けられますか?
受けられます。旅客の基礎講習を修了していれば、受験資格を満たします。修了予定でも、指定期日までに修了すれば申請できます。
Q. 貨物の基礎講習を修了しています。旅客試験を受けられますか?
そのままでは受けられません。試験センターの案内では、基礎講習の種類と受ける試験の種類は一致している必要があります。旅客試験を受けるなら、旅客の基礎講習が必要です。
Q. 実務経験は、旅客の会社でないとだめですか?
国土交通省の案内では、実務経験の事業の種別は問われません。自動車運送事業(貨物軽自動車運送事業を除く)などの事業用自動車の運行管理が対象です。
Q. 受験資格はどこで確認できますか?
運行管理者試験センターの「新規受験の概要」に、実務経験と基礎講習の条件が載っています。申請前に、その回の最新の案内を確認してください。
まとめ
- 受験資格は、運行管理の実務経験が試験日の前日までに1年以上あるか、受ける試験と同じ種類の基礎講習を修了しているかのどちらか
- 実務経験の道は、実務経験承認者のメールでの承認が必要。軽貨物(貨物軽自動車運送事業)の経験は対象外
- 基礎講習の道は、旅客試験なら旅客の基礎講習が必要。修了予定でも申請できるが、指定期日までの修了と登録が条件
- 試験なしで資格者証を得る道(実務経験5年以上+講習5回)は、受験資格とは別の制度
- 日程・手数料・講習の料金は変わるので、申込み前に試験センターと講習実施機関の最新案内を確認する
まず、自分が実務経験の道と基礎講習の道のどちらに当てはまるかを決め、基礎講習なら「旅客」の講習を選ぶこと。これが受験資格での失敗を防ぐ、いちばんの近道です。

