運行管理者試験には「旅客」と「貨物」の2種類があり、「どっちを受ければいいの?」と迷う人は少なくありません。結論から言うと、勤務先(または転職先)の事業がバス・タクシーなら旅客、トラックなら貨物です。試験の中身の違いは、30問のうち8問だけです。この記事では、2つの試験の違いと、選ぶときの考え方を整理します。
旅客と貨物の試験は、何が違う?
運行管理者試験センターの案内によると、2つの試験の違いは分野(1)の法令名だけです。
| 項目 | 旅客試験 | 貨物試験 |
|---|---|---|
| 分野(1)(8問) | 道路運送法関係 | 貨物自動車運送事業法関係 |
| 分野(2) 道路運送車両法 | 4問 | 4問 |
| 分野(3) 道路交通法 | 5問 | 5問 |
| 分野(4) 労働基準法 | 6問 | 6問 |
| 分野(5) 実務上の知識及び能力 | 7問 | 7問 |
| 合計 | 30問 | 30問 |
分野(2)〜(5)の22問は、どちらも同じ分野名・同じ問題数です。合格基準も共通で、総得点が30問中18問以上(満点の60%以上)、さらに分野(1)〜(4)は各1問以上、分野(5)は2問以上の正解が必要です。
試験の難しさを比べて選ぶ必要はありません。試験の形式と合格基準が同じなので、選ぶ基準は「どの事業の運行管理者になるか」です。
ただし、分野(2)〜(5)は問題数が同じでも、問われる題材は事業によって変わります。たとえば分野(4)の改善基準告示は、バス・タクシーとトラックで基準が別に定められています。実務の事例問題も、旅客なら乗合バスや貸切バス、タクシーの場面が中心になります。
どちらを受けるかの決め方
決め方はシンプルで、運行管理者として働く事業で選びます。
| 勤務先(目指す先)の事業 | 受ける試験 |
|---|---|
| 路線バス・高速バス・貸切バス | 旅客 |
| タクシー・ハイヤー | 旅客 |
| 工場や学校などの送迎バス(特定旅客) | 旅客 |
| トラック運送(貨物自動車運送事業) | 貨物 |
旅客自動車運送事業は、道路運送法で一般乗合・一般貸切・一般乗用・特定旅客に分かれます。運行管理者の選任は道路運送法が定めています(次に引用する23条は一般旅客自動車運送事業者についての規定です)。トラックなどの貨物自動車運送事業は、別の法律(貨物自動車運送事業法)の事業です。
道路運送法23条は、一般旅客自動車運送事業者に、国土交通省令で定める営業所ごとに、運行管理者資格者証の交付を受けている人の中から運行管理者を選任することを求めています。つまり、営業所で運行管理者になるには、事業に合った資格者証が必要です。
資格者証は6種類
国土交通省の案内では、運行管理者資格者証は次の6種類です。
| 資格者証の種類 |
|---|
| 一般乗合旅客 |
| 一般貸切旅客 |
| 一般乗用旅客 |
| 特定旅客 |
| 旅客 |
| 貨物 |
事業の種別に応じた種類の資格者証を取得している必要があります。試験の種類が「旅客」と「貨物」の2つなのに対し、資格者証にはバスやタクシーの事業ごとの区分もあります。
資格者証の取り方は2つあります。
| 取り方 | 内容 |
|---|---|
| 運行管理者試験に合格する | 旅客・貨物の2種類の試験がある。受験資格は「運行管理の実務経験1年以上」か「基礎講習の修了」 |
| 実務経験と講習 | 対象の事業で運行管理の実務経験が5年以上あり、その間に講習を5回以上(うち1回以上は基礎講習)受講している |
実務経験と講習の道は、国土交通省の案内で対象とされている資格者証が一般乗合旅客・一般乗用旅客・特定旅客・貨物です。一般貸切旅客は、この案内の対象に書かれていません。自分の事業でどちらの道が使えるかは、地方運輸局や運輸支局に確認してください。道路運送法23条の2は、資格者証の交付対象を「運行管理者試験に合格した者」と「国土交通省令で定める一定の実務の経験その他の要件を備える者」としています。
「旅客」の資格者証で、乗合・貸切・乗用のどの営業所でも選任されるのかといった細かい扱いは、この記事の出典では確認できませんでした。転職や異動で事業が変わる場合は、地方運輸局や運輸支局、勤務先の人事担当に確認してください。
受験資格でも「種類をそろえる」
新規受験の受験資格は、試験センターの案内で次のいずれかです。
- 試験日の前日までに、運行管理に関する実務経験が1年以上あり、実務経験承認者のメールによる承認を受けている
- 1995年(平成7年)4月1日以降に、試験の種類に応じた基礎講習を修了している(または指定の期日までに修了予定)
ここで注意したいのが、基礎講習の種類と受ける試験の種類は同じでなければならないという点です。旅客の基礎講習を修了した人は旅客試験を受けます。貨物の試験を受けるなら、貨物の基礎講習が必要です。
受ける試験を決めずに基礎講習を申し込むと、やり直しになるおそれがあります。先に「旅客か貨物か」を決めてから、講習を選びましょう。
試験日程の目安
運行管理者試験は年2回実施されます。試験センターのトップページでは、実施時期はそれぞれ1か月程度の期間で、8月頃と3月頃と案内されています。受験申請は書面ではできず、受付が始まってから行います。
申請の締切、実務経験承認者の承認の締切、会場予約の締切は、期限までにそろわないと申請が無効になります。具体的な日付と手数料は、その回の最新の案内で必ず確認してください。
両方取りたいときは?
「旅客と貨物の両方を取れば転職に強くなりそう」と考える人もいるでしょう。可能性はありますが、順番に考えるのが現実的です。
- まず、いま働いている(これから働く)事業の資格を取る
- 事業が変わる見込みが出たら、もう一方の試験を検討する
2つの試験は分野(2)〜(5)の問題数と合格基準が同じなので、片方に合格した人がもう一方を受けるときは、新しく覚える中心は分野(1)の法令と、事業ごとに違う基準になります。それでも、旅客と貨物では法律もルールも違うので、同時に両方を詰め込むより、1つずつ合格を目指すほうが負担は軽くなります。
旅客試験の勉強を始めるなら
旅客を受けると決めたら、試験の全体像と合格基準を押さえるところから始めるとスムーズです。試験の中身は 運行管理者(旅客)試験とは? 5分野30問・CBT・合格基準を整理 にまとめています。
運行管理者(旅客)講座では、道路運送法、道路運送車両法、道路交通法、労働基準法、改善基準告示、実務上の知識及び能力まで、旅客の試験範囲を授業で順に学べます。料金や授業の本数は講座ページで確認できます。
よくある質問
Q. 旅客と貨物では、どちらが難しいですか?
試験の形式(30問のCBT)と合格基準(18問以上、分野ごとの最低正解数)は同じです。難しさは人の経験や得意分野で変わるので、勤務先の事業で選ぶのが基本です。
Q. 旅客の試験に受かれば、貨物の運行管理者にもなれますか?
資格者証には「旅客」と「貨物」の別があり、事業の種別に応じた種類が必要です。貨物の運行管理者になるには、貨物の資格者証が必要になります。
Q. 基礎講習は旅客と貨物で共通ですか?
共通ではありません。試験センターの案内では、基礎講習の種類と受ける試験の種類は同じでなければならないとされています。
Q. 試験はいつ行われますか?
年2回で、8月頃と3月頃と案内されています。日程や申請の締切はその回ごとに変わるため、運行管理者試験センターの最新の案内で確認してください。
まとめ
- 旅客と貨物の試験の違いは、分野(1)の法令(道路運送法か貨物自動車運送事業法か)だけ。どちらも8問
- 分野(2)〜(5)の問題数と合格基準は共通。選ぶ基準は勤務先の事業
- バス・タクシーなら旅客、トラックなら貨物。基礎講習も受ける試験と同じ種類にそろえる
- 資格者証には6種類があり、細かい扱いは地方運輸局などで確認する

