バスやタクシーの会社で営業所の運行管理を任される運行管理者になるには、運行管理者資格者証が必要です。その入口になるのが運行管理者試験で、バス・タクシーなどの旅客を運ぶ事業に使うのが「旅客」の試験です。この記事では、旅客の試験の出題分野、受験資格、合格基準、申込みの流れを、試験センターが公表している内容で整理します。
運行管理者(旅客)試験は、どんな試験?
旅客の試験は、運行管理者試験センターが実施する国家試験で、5つの分野から全30問が出題されます。方式はCBT(Computer Based Testing)で、会場のパソコンで受験します。
| 出題分野 | 問題数 | 主な内容 |
|---|---|---|
| (1) 道路運送法関係 | 8問 | 旅客自動車運送事業の許可、運行管理者の選任、点呼、運輸規則など |
| (2) 道路運送車両法関係 | 4問 | 登録、検査、点検整備、整備管理者など |
| (3) 道路交通法関係 | 5問 | 通行方法、速度、酒気帯び運転、使用者の責任など |
| (4) 労働基準法関係 | 6問 | 労働時間、休日、改善基準告示(拘束時間・休息期間など) |
| (5) 実務上の知識及び能力 | 7問 | 法令を現場の事例に当てはめる問題、計算問題 |
| 合計 | 30問 |
出題分野の問題数は、試験センターの新規受験の概要に載っている数字です。旅客と貨物では、(1)の法令だけが違います。旅客は道路運送法とその関係の省令(旅客自動車運送事業運輸規則など)から8問が出ます。
「旅客」の試験で問われる事業は、乗合(路線バス・高速バスなど)、貸切(貸切バス)、乗用(タクシー・ハイヤー)です。同じ法令でも事業ごとに決まりが違う点が、旅客の特徴です。
旅客自動車運送事業の種類と運行管理者
旅客の試験の土台になるのが、道路運送法3条の事業の区分です。条文では、旅客自動車運送事業は一般旅客自動車運送事業と特定旅客自動車運送事業に分かれ、一般旅客自動車運送事業はさらに3つに分かれます。
| 事業 | 条文での定義 | 身近な例 |
|---|---|---|
| 一般乗合旅客自動車運送事業 | 乗合旅客を運送する | 路線バス、高速バス |
| 一般貸切旅客自動車運送事業 | 一個の契約で、国土交通省令で定める乗車定員以上の自動車を貸し切って運送する | 貸切バス |
| 一般乗用旅客自動車運送事業 | 一個の契約で、上の乗車定員未満の自動車を貸し切って運送する | タクシー、ハイヤー |
| 特定旅客自動車運送事業 | 特定の者の需要に応じて運送する | 工場や学校の送迎バスなど |
運行管理者については、道路運送法23条が定めています。一般旅客自動車運送事業者は、事業用自動車の運行の安全の確保に関する業務を行わせるため、国土交通省令で定める営業所ごとに、運行管理者資格者証の交付を受けている人の中から運行管理者を選任しなければなりません。資格者証の交付は23条の2が定めています。
つまり、試験に合格して資格者証を持つことが、営業所で運行管理者として選任されるための前提です。
受験資格は2つの道
新規に受験するには、試験センターの案内で次のいずれかに当てはまる必要があります。
| 受験資格 | 内容 |
|---|---|
| 実務経験1年以上 | 試験日の前日までに、事業用自動車(貨物軽自動車運送事業を除く)などの運行管理に関する実務経験が1年以上あり、実務経験の承認者のメールによる承認を受けていること |
| 基礎講習の修了(修了予定) | 1995年(平成7年)4月1日以降に、試験の種類に対応する基礎講習を修了している、または指定の期日までに修了する予定であること |
旅客の試験を受けるには、旅客に対応した基礎講習の修了が必要です。実務経験がない人でも、基礎講習を修了すれば受験できます。実務経験の内容や承認の手続きは、試験センターの案内にある最新の条件で確認してください。
合格基準は「総得点」と「分野ごと」の両方
合格基準は、次の2つを両方満たすことです。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 総得点 | 30問中18問以上(満点の60%以上) |
| 分野ごとの最低正解数 | (1)〜(4)の各分野は1問以上、(5)の実務は2問以上 |
総得点が18問を超えていても、ある分野が0問だと不合格になります。実務は他の分野より厳しく、2問以上が必要です。
たとえば、道路運送法で8問、労基法で5問、道交法で4問、実務で5問と取り、道路運送車両法が0問だと、合計が22問あっても合格になりません。得意な分野で点を稼ぐより、どの分野も0問にしないことが先です。
試験センターのページには、「原則として」総得点が満点の60%以上という書き方で基準が載っています。受験する回の最新の合格基準は、申込み前に公式サイトで確認してください。
申込みから受験までの流れ
CBT方式の新規受験は、試験センターの案内では次の順に進みます。
- 受験申請サイトで、メールアドレスを登録して確認する
- 申請情報と受験資格の情報を入力する
- 本人確認書類と顔写真をアップロードする
- 書類審査を受ける(案内では1週間から10日程度)
- 審査完了のメールが届いたら、専用サイトで会場と日時を予約し、受験手数料などを支払う(クレジットカード・コンビニ決済・ペイジー決済)
審査に時間がかかるため、受けたい時期から逆算して早めに申請を始めるのが安心です。
試験はいつ受ける? 年2回のCBT
試験センターのトップページでは、試験は年2回(8月頃と3月頃)、それぞれ1か月程度の期間で実施すると案内されています。直近の実施例として、旅客の合格者の発表ページには「令和8年度第1回」の実施期間が令和8年8月8日から9月6日と載っています。
CBTなので、期間内であれば会場の空きを見て日時を選べます。ただし、次の回の日程、申請の受付期間、受験手数料、試験時間は、私が確認した時点の公式ページには数字が載っていませんでした。日程・手数料・試験時間は変わりうるので、最新は試験センターの公式サイトで確認してください。
試験で問われる力と、勉強の進め方
旅客の試験は、暗記だけでなく、法令を事例に当てはめる力が問われます。
| 分野 | 必要な力 |
|---|---|
| 道路運送法 | 事業ごとの決まりの違い(乗合・貸切・乗用)を整理して覚える |
| 道路運送車両法・道路交通法 | 誰に、どの義務がかかるかを組にして覚える |
| 労働基準法・改善基準告示 | 拘束時間・休息期間・運転時間の数字を押さえ、計算で使う |
| 実務 | 事例の勤務や運行計画を、基準に照らして判定する |
勉強の順番は、まず(1)の道路運送法で事業の区分と運行管理者の役割をつかみ、そのうえで他の法令に進むと、全体がつながって見えます。計算問題は、見るだけでなく自分で手を動かして練習します。
授業で学ぶなら
運行管理者(旅客)講座は、5分野を1本7〜9分の授業動画に分けています。乗合・貸切・タクシーで違う決まりは比較表で整理し、拘束時間と運転時間の計算は手順で示します。分からないところは、AI講師トーレスに毎月50回まで質問できます。月額2,980円(税込)のプランのほか、年額プラン14,800円(一括払い。月あたり1,234円)から選べ、料金は月額 1,234円〜です。最新の料金は講座ページで確認してください。
よくある質問
Q. 旅客と貨物は、どちらを受ければよいですか。 A. 勤め先の事業で決まります。バスやタクシーなど旅客を運ぶ事業なら旅客、荷物を運ぶ事業なら貨物です。試験は別々に実施され、出題分野(1)の法令が違います。
Q. 実務経験がなくても受けられますか。 A. 受けられます。旅客に対応した基礎講習を修了(または指定期日までに修了予定)していれば、受験資格を満たします。
Q. 総得点が18問あれば合格ですか。 A. 18問以上に加えて、(1)〜(4)の各分野で1問以上、(5)の実務で2問以上の正解が要ります。
Q. 試験は年に何回ありますか。 A. 試験センターのトップページでは、年2回(8月頃と3月頃)と案内されています。
まとめ
- 旅客の試験は5分野・全30問のCBT。道路運送法8問・車両法4問・道交法5問・労基法6問・実務7問
- 合格は「総得点18問以上」と「(1)〜(4)の各分野1問以上・(5)は2問以上」の両方
- 受験資格は、運行管理の実務経験1年以上か、旅客の基礎講習の修了
- 日程・手数料・試験時間は変わりうるので、申込み前に試験センターの最新案内を確認する
最初の一歩は、自分の勤め先の事業が旅客か貨物かを確かめ、受験資格の道(実務経験か基礎講習か)を決めることです。

