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論点解説

重要事項説明と契約成立時の書面の違いとは? 72条と73条の「誰に・何を・誰が」を表で整理

管理業務主任者試験で混同しやすい、マンション管理適正化法72条の重要事項説明と73条の契約成立時の書面を比較。説明会・更新・主任者証の提示・記名・電磁的方法・1年の例外を、e-Govの条文と国土交通省の通達で確かめて整理します。

トーレス先生
トーレス

管理業務主任者試験で混同しやすい、マンション管理適正化法72条の重要事項説明と73条の契約成立時の書面を比較。説明会・更新・主任者証の提示・記名・電磁的方法・1年の例外を、e-Govの条文と国土交通省の通達で確かめて整理します。

この記事の要点

  • 72条は契約の前の説明で、説明するのは管理業務主任者。73条は契約の後の書面の交付で、説明は要らず、主任者の記名が要る
  • 同一の条件で更新する場合も、区分所有者等の全員への書面の交付は省けない。説明会が要らず、管理者等には主任者が書面で説明する
  • 73条の書面は、管理者等がいれば管理者等に、管理業者自身が管理者等のときや管理者等がいないときは区分所有者等の全員に渡す
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マンションの管理会社が管理組合と管理の契約を結ぶときには、マンション管理適正化法の72条と73条に決まりがあります。どちらも「書面」と「管理業務主任者」が登場するので、管理業務主任者試験では取り違えやすい論点です。この記事では、2つの条文を「いつ・誰に・何を・誰が」で並べて整理します。条文は2026年10月18日にe-Gov法令検索で確かめ、「同一の条件」の範囲は国土交通省の通達で確かめました。

試験の全体像は管理業務主任者試験とは? 50問・四肢択一・合格基準と出題分野にまとめています。

結論:72条は「契約の前に説明」、73条は「契約の後に書面」

2つの条文は、契約の前後で役目が分かれています。

72条 重要事項の説明等 73条 契約の成立時の書面の交付
いつ 契約を結ぶ前(あらかじめ) 契約を結んだあと、遅滞なく
何をする 重要事項を説明する 契約内容を記載した書面を交付する
説明の要否 要る(管理業務主任者が説明) 条文に説明の定めはない
主任者の関わり 説明する、主任者証を提示する、書面に記名する 書面に記名する

説明が条文に出てくるのは72条だけです。73条は、記名した書面を渡すことが求められています。

ここでいう「管理者等」は、区分所有法の管理者や管理組合法人の理事など、管理組合を代表して動く立場の人です。「区分所有者等」は、部屋の持ち主などを指します。

72条1項:新しい契約は説明会を開いて説明する

新たに管理受託契約を結ぶときは、あらかじめ説明会を開き、管理業務主任者に重要事項を説明させます(72条1項)。管理業者が管理者になる管理者受託契約も、同じ項の対象です。

手順は次のとおりです。

  1. 説明会の日の1週間前までに、区分所有者等と管理者等の全員に、重要事項と説明会の日時・場所を書いた書面を交付する(72条1項)
  2. 説明会の日時と場所を、管理組合の区分所有者等と管理者等が見やすい場所に、1週間前までに掲示する(施行規則83条2項)
  3. 管理組合ごとに説明会を開く(施行規則83条1項)
  4. 管理業務主任者が重要事項を説明する

条文の文言は「契約を締結しようとするとき」なので、契約の内容を変える更新(同一の条件でない更新)も、新しい契約と同じ手続になります。

「1週間前までに書面を交付」と「1週間前までに掲示」は、別々の義務です。数字は同じですが、書面は全員への交付、掲示は見やすい場所への掲示という違いがあります。

72条2項・3項:同一の条件での更新は、説明会なしで書面の交付

従前の契約と同一の条件で更新するときは、説明会は要りません。ただし、次の2つは省けません。

相手 すること 条文
区分所有者等の全員 あらかじめ、重要事項を記載した書面を交付する 72条2項
管理者等(置かれている場合) 管理業務主任者が、書面を交付して説明する 72条3項

管理者等が置かれていなければ、3項の説明はありません。

例外もあります。管理計画の認定を受けたマンションの管理者等(条文では「認定管理者等」)が、説明は要らないと意思を表明したときは、説明の代わりに、重要事項を記載した書面を交付すれば足ります(72条3項ただし書)。説明が省けるのは、認定管理者等への説明だけです。区分所有者等の全員への書面の交付(2項)まで省けるわけではありません。

「同一の条件」に入る変更は、通達に例示がある

どんな変更なら同一の条件と言えるかは、国土交通省の通達(国総動第309号)が、軽微な変更を例示しています。管理業者の商号・登録年月日・登録番号の変更のほか、次の場合です。

通達が挙げる軽微な変更
管理事務の内容と実施方法を同一にして、費用の額を減らす
管理事務の内容と実施方法の範囲を広げて、費用の額を同一にするか減らす
費用の支払の時期を後ろにずらす(前払いを当月払いか後払いに、当月払いを後払いに)
更新後の契約期間を短くする
対象のマンションの所在地の名称が変わる

この表にない変更は、同一の条件の更新として扱えるとは書かれていないので、72条1項の説明会の手続で考えます。

72条4項・5項:主任者証の提示と、書面への記名

管理業務主任者がすることは、3つに分けて覚えると整理できます。

すること 内容 条文
説明する 1項の説明会、3項の管理者等への説明を、主任者が行う 72条1項・3項
主任者証を提示する 1項または3項の説明をするとき、説明の相手に提示する 72条4項
記名する 1項から3項までで交付する書面を作るとき、主任者に記名させる 72条5項

4項の文言は「説明をするときは、説明の相手方に対し、管理業務主任者証を提示しなければならない」です。相手から求められなくても提示する義務なので、「求められたときだけ提示する」という肢は誤りです。

72条の適用除外:新築分譲の直後の契約

新築マンションの分譲直後は、区分所有者等が入れ替わりやすい時期です。そこで、72条1項のかっこ書きで、「区分所有者等が変動することが見込まれる期間として国土交通省令で定める期間」に契約期間が満了する契約は、72条の対象から除かれています。

施行規則82条は、この期間を次のように定めています。

場合 期間の起点
新築マンションを分譲した場合 人が住む部分(独立部分)の引渡しの日のうち最も早い日から1年
既存マンションの区分所有権の全部を買い取って分譲した場合 買取り後の独立部分の引渡しの日のうち最も早い日から1年

この期間中に契約期間が満了する契約は、説明会も重要事項の書面も要りません。一方で、73条の書面にはこの除外の定めがないので、契約を結べば交付が必要です。

73条:契約成立時の書面は、誰に渡すかで場合分けする

契約を結んだら、管理業者は遅滞なく、次の事項を記載した書面を交付します(73条1項)。

  1. 管理事務または管理者事務の対象となるマンションの部分
  2. 事務の内容と実施方法(財産の管理の方法を含む)
  3. 事務に要する費用と、その支払の時期・方法
  4. 事務の一部の再委託に関する定めがあるときは、その内容
  5. 契約期間に関する事項
  6. 契約の更新に関する定めがあるときは、その内容
  7. 契約の解除に関する定めがあるときは、その内容
  8. その他、国土交通省令で定める事項(施行規則85条)

交付する相手は、場面で変わります。

場面 交付する相手
管理組合に管理者等がいる 管理者等
管理業者自身が管理者等になっている 区分所有者等の全員
管理者等が置かれていない 区分所有者等の全員

書面を作るときは、管理業務主任者に記名させます(73条2項)。更新契約でも、73条の書面は当初の契約と同様に交付が必要です。通達によると、更新のときは、変更のない部分について前回交付した書面のコピーを貼り付けて、その書面にしてもかまいません。

電磁的方法による提供:相手の承諾を得てから

72条と73条の書面は、紙の代わりに、相手の承諾を得て、電磁的方法(データ)で提供できます。

  • 72条6項:1項・2項・3項ただし書の書面。区分所有者等または管理者等の承諾を得る
  • 72条7項:3項本文の書面。管理者等の承諾を得て、管理業務主任者に提供させる
  • 73条3項:1項の書面。管理者等または区分所有者等の承諾を得る

電磁的方法で提供したときは、書面を交付したものとみなされ、記名の規定は適用されません。記名の代わりの措置は、施行規則で定められています。承諾の取り方や方法の種類の示し方は、政令と施行規則に細かい手順があります。条文の6項・7項・3項で、まず「承諾を得て」が先であることを押さえておくと、試験では十分に対応できます。

罰則:73条の書面の不備には罰金がある

73条の書面については、罰則が置かれています。マンション管理適正化法109条は、次の場合に30万円以下の罰金を定めています。

  • 73条1項に違反して、書面を交付しない、記載すべき事項を書かない、虚偽の記載のある書面を交付したとき(109条6号)
  • 73条2項の記名がない書面を、交付すべき相手に交付したとき(109条7号)

罰則の数字を問う問題では、どの条文のどの違反が対象かを、あわせて確認します。

試験での問われ方と覚え方

ここまでの内容は、次の順で確認すると、肢の誤りに気づきやすくなります。

  1. 契約の前か後か。前なら72条、後なら73条
  2. 新しい契約か、同一の条件の更新か。新しいなら説明会、同一の更新なら書面の交付が中心
  3. 誰に渡すか。72条は区分所有者等と管理者等、73条は管理者等(いなければ全員)
  4. 主任者は何をするか。説明と提示は72条、記名は72条と73条

よくある誤りの形も、表で並べておきます。

正しい内容 誤りの形
同一条件の更新でも、区分所有者等の全員に書面の交付が要る 同一条件の更新なら、書面の交付も不要
主任者証は、相手の請求がなくても提示する 主任者証は、求められたときだけ提示する
73条の書面には、説明の定めがない 73条の書面も、主任者が説明しなければならない
電磁的方法は、相手の承諾を得てから使う 電磁的方法は、相手に知らせれば足りる

条文の番号と項まで覚えておくと、「1項と3項を入れ替えた」ような肢にも対応できます。

授業・講座への導線

管理業務主任者講座では、重要事項説明と契約成立時の書面を、登場人物を決めた場面で「誰に・何を・誰が」を確かめる授業で扱います。この記事の表と合わせて見直すと、72条と73条の取り違えを減らせます。本試験の仕組みや出題分野を先に知りたい方は、管理業務主任者試験とは?を読んでください。区分所有法側の決議の話は決議要件を1枚の表で整理した記事にまとめています。

まとめ

  • 72条は契約の前の説明(主任者が説明し、主任者証を提示し、書面に記名)。73条は契約の後の書面の交付(主任者が記名)
  • 新しい契約は、1週間前までの書面の交付と掲示をしたうえで、管理組合ごとに説明会を開く
  • 同一の条件での更新は説明会が不要だが、区分所有者等の全員への書面は要る。管理者等には主任者が書面で説明する
  • 新築分譲の直後に満了する契約は72条の対象外。ただし73条の書面は交付する
  • 73条の書面の不備には、30万円以下の罰金がある(109条6号・7号)

よくある質問

Q. 重要事項説明は、管理業務主任者以外でもできますか。 A. 72条は、管理業務主任者に説明させると定めています。説明は主任者が行い、そのとき主任者証を提示します。

Q. 契約成立時の書面は、説明が必要ですか。 A. 73条には、説明の定めはありません。記載事項を書いた書面に、管理業務主任者の記名をして交付します。

Q. 同一の条件で更新するとき、書面は誰に渡しますか。 A. 区分所有者等の全員にあらかじめ書面を交付します(72条2項)。管理者等が置かれていれば、管理者等には主任者が書面を交付して説明します(同条3項)。

参考にした情報

記事の内容は、記載の日付時点で確認した情報にもとづいています。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。内容に誤りを見つけた場合は、お問い合わせからお知らせください。確認のうえ修正します。

2026年10月18日約11分で読めます
管理業務主任者試験重要事項説明契約成立時の書面マンション管理適正化法72条73条
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