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論点解説

区分所有法と標準管理規約の決議要件を1枚の表で整理|定足数と可決に必要な数

管理業務主任者試験で差がつく決議要件を、区分所有法と標準管理規約47条の対応表で整理します。定足数と可決の数え方、出席者で数える決議と全体で数える決議の違い、40人の例での計算まで、令和7年改正後の条文で確かめました。

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トーレス

管理業務主任者試験で差がつく決議要件を、区分所有法と標準管理規約47条の対応表で整理します。定足数と可決の数え方、出席者で数える決議と全体で数える決議の違い、40人の例での計算まで、令和7年改正後の条文で確かめました。

この記事の要点

  • 決議は「出席に必要な数(定足数)」と「可決に必要な数」を分け、母数が出席者か全体かで数える
  • 区分所有法の普通決議には定足数がないが、標準管理規約47条は議決権総数の過半数の出席を求める
  • 4分の3と3分の2の決議は組合員総数と議決権総数の各過半数の出席が前提で、5分の4の決議は全体で数える
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管理業務主任者試験の区分所有法と管理規約の分野では、「過半数」「4分の3」「3分の2」「5分の4」の数字がたくさん出てきます。しかも、区分所有法と標準管理規約で、同じ「普通決議」でも出席の条件が違います。この記事では、2つを1枚の表に並べ、定足数と可決に必要な数を整理します。条文は、令和7年法律第47号による改正後(2026年4月1日施行)の区分所有法と、国土交通省が公表している令和7年改正の標準管理規約(単棟型)で、2026年10月14日に確認した内容です。

試験の概要は管理業務主任者試験とは? 50問・四肢択一・合格基準と出題分野にまとめています。

結論:決議は「出席」と「可決」の2段で数える

決議の要件は、次の3点を分けて考えると整理できます。

  1. 定足数:決議を始めるために、何人(何個の議決権)が出席していなければならないか
  2. 可決の数:出席者のうち、何割以上が賛成すれば可決か
  3. 母数:割合の元が「出席者」か「全体(組合員総数・議決権総数)」か

区分所有法の決議は、区分所有者の人数(頭数)と議決権の数を別々に数え、両方が要件を満たして可決になります。議決権は、規約に別段の定めがなければ専有部分の床面積の割合です(法38条、14条)。書面や代理人で議決権を行使した人は、出席した人に数えます(法39条2項)。標準管理規約も同じ考え方で、47条7項に定めがあります。電磁的方法が使える管理組合では、電磁的方法で行使した人も出席に数えます。

区分所有法と標準管理規約47条の対応表

決議 区分所有法 標準管理規約(47条)
普通決議 定足数なし。出席した区分所有者と議決権の各過半数(39条1項) 議決権総数の過半数を有する組合員の出席。出席組合員の議決権の過半数(1項・2項)
特別決議(4分の3) 区分所有者の過半数かつ議決権の過半数が出席。出席者の各4分の3以上(17条1項、31条1項など) 組合員総数の過半数かつ議決権総数の過半数の出席。出席組合員とその議決権の各4分の3以上(3項)
3分の2の決議 出席の条件は4分の3の決議と同じ。出席者の各3分の2以上(17条5項、61条5項) 出席の条件は3項と同じ。出席組合員とその議決権の各3分の2以上(4項)
建替え・更新・取壊し 区分所有者と議決権の各5分の4以上(62条1項、64条の5、64条の8) 組合員総数と議決権総数の各5分の4以上(5項)
敷地売却系 区分所有者・議決権・敷地利用権の持分の価格の各5分の4以上(64条の6、64条の7) 3つの各5分の4以上(6項)

上の3行は「出席者の中で数える」決議、下の2行は「全体で数える」決議です。5分の4の決議では、欠席した人も母数に入ったままなので、出席しなかったことが反対と同じ効果になります。

区分所有法の普通決議には定足数がありません。一方、標準管理規約47条1項は、議決権総数の過半数の出席を求めています。法39条1項は「この法律又は規約に別段の定めがない限り」としているので、規約で定足数を置けます。

普通決議:法と規約の違いに注意

区分所有法39条1項は、集会の議事を、出席した区分所有者(議決権を有しない人を除く)と議決権の各過半数で決めると定めています。出席の最低ラインはなく、頭数と議決権の2つを数えます。

標準管理規約では数え方が変わります。

  • 総会は、議決権総数の過半数を有する組合員が出席しないと成立しない(47条1項)
  • 議事は、出席組合員の議決権の過半数で決める(47条2項)。頭数は数えない

試験では「規約の普通決議にも組合員の過半数の賛成が必要」といった選択肢が作られやすい部分です。規約の普通決議は議決権だけで数える点を押さえておくと、見抜けます。

特別決議:標準管理規約47条3項に入る事項

標準管理規約47条3項が挙げる、出席組合員とその議決権の各4分の3以上で決める事項は、次のとおりです。

  • 規約の制定、変更または廃止
  • 敷地と共用部分等の変更(形状や効用の著しい変更を伴わないものなどを除く)
  • その変更に伴って必要になる専有部分の保存行為等
  • 区分所有法58条1項・59条1項・60条1項の訴えの提起(使用禁止・競売・占有者への引渡しの請求)
  • そのほか、総会で3項の方法で決議すると決めた事項

出席の条件は「組合員総数の過半数であって議決権総数の過半数を有する組合員の出席」です。普通決議より重く、頭数と議決権の両方で過半数の出席が必要です。

区分所有法でも、管理組合法人になる決議(47条1項)、管理組合法人の解散(55条2項)、使用禁止の請求(58条2項)などが、同じ「過半数の出席、出席者の4分の3以上」の型です。

承諾が必要な場面もあります。規約の変更が一部の組合員の権利に特別の影響を及ぼすときは、その組合員の承諾が必要です(規約47条9項、法31条1項後段)。共用部分等の変更が専有部分や専用使用部分の使用に特別の影響を及ぼすときも、その所有者や専用使用権者の承諾が必要です(規約47条10項、法17条2項)。標準管理規約は、承諾を求められた組合員が正当な理由なく拒否してはならないとも定めています。

また、使用禁止・競売・引渡し請求の決議では、あらかじめ相手に弁明の機会を与えなければなりません(規約47条11項、法58条3項)。

3分の2の決議:4分の3が下がる3つの場面

標準管理規約47条4項は、出席の条件は3項と同じで、可決を各3分の2以上とする事項を3つ挙げています。

事項 区分所有法の根拠
共用部分等の設置・保存の瑕疵(かし)を除くために必要な変更 17条5項
高齢者・障害者等の移動や施設の利用の負担を軽くするために必要な変更 17条5項
建物の価格の2分の1を超える部分が滅失した場合の共用部分の復旧 61条5項

建物の価格の2分の1以下の滅失なら、復旧は各区分所有者が単独でもできます(法61条1項)。総会の決議でも復旧できますが、その場合は普通決議です(法61条3項)。2分の1を超える滅失の復旧が、3分の2の決議になります。

5分の4の決議と、客観的事由で4分の3に下がる場合

標準管理規約47条5項と6項は、マンション再生等に係る決議を定めています。

決議 数える対象 割合
建替え決議・建物更新決議・取壊し決議 組合員総数、議決権総数 各5分の4以上
建物敷地売却決議・建物取壊し敷地売却決議 組合員総数、議決権総数、敷地利用権の持分の価格 各5分の4以上

建物が区分所有法62条2項各号の事由に当たる場合は、どちらも各4分の3以上に下がります。事由は、地震や火災に対する安全性が基準に適合しないとき、外壁等の剝離・落下のおそれがあるとき、配管設備の劣化で著しく衛生上有害となるおそれがあるとき、バリアフリー基準に適合しないときなどです。基準は法務大臣が定めます。

建替え決議の手続には、割合のほかに期間の定めがあります。招集通知は会日の少なくとも2か月前に発し(法62条6項)、説明会は会日の少なくとも1か月前までに開きます(法62条8項)。通常の招集通知が会日の1週間前まででよいこと(法35条1項)と比べると、長く設定されています。

計算で確かめる:組合員60人の例

数字を入れると、数え方の違いがはっきりします。次は、この記事のために作った例です。

あるマンションの組合員が60人で、議決権は1戸1個の60個とします。総会に、会場、議決権行使書、代理人を合わせて40人(議決権40個)が出席しました。

決議 数える対象 必要な数(人・個とも)
規約の普通決議の定足数 議決権総数60個 31個以上の出席
規約の普通決議の可決 出席40個 21個以上の賛成
特別決議の出席の条件 組合員60人・議決権60個 31人以上かつ31個以上の出席
特別決議の可決(4分の3) 出席40人・40個 30人以上かつ30個以上の賛成
3分の2の決議の可決 出席40人・40個 27人以上かつ27個以上の賛成
建替え決議(5分の4) 全体60人・60個 48人以上かつ48個以上の賛成
客観的事由がある建替え決議(4分の3) 全体60人・60個 45人以上かつ45個以上の賛成

出席は40人で、特別決議の出席の条件31人を超えています。規約を変更するなら、出席40人の4分の3の30人以上の賛成が必要です。3分の2は26.67人なので、切り上げて27人です。一方、同じ総会で建替え決議をするなら、出席者数に関係なく、全体60人の5分の4の48人以上が必要です。出席40人の全員が賛成しても足りません。

理事会の決議は別の数え方

総会と混ざりやすいのが理事会です。標準管理規約53条1項は、理事会は理事の半数以上が出席しなければ開けず、議事は出席理事の過半数で決めると定めています。理事が10人なら、5人以上の出席で成立し、6人出席なら4人以上の賛成で可決です。総会は議決権で数え、理事会は理事の人数で数えます。

試験での問われ方と覚え方

  • 「普通決議」が、区分所有法の話なのか標準管理規約の話なのかを最初に確かめる
  • 定足数(出席の条件)と、可決の割合を分けて読む
  • 母数が出席者か全体かを確かめる。5分の4(客観的事由があれば4分の3)は全体
  • 頭数と議決権の両方で数える決議か、議決権だけで数える決議かを確かめる
  • 書面・代理人・電磁的方法で行使した人は出席に数える

改正の影響を受ける分野なので、古い問題集や参考書の割合・条番号は、改正後の条文に照らして確認してください。出題の基準になる時点の法令は、受験の年度の案内で確かめてください。

講座で学ぶには

決議要件は、表を見るだけでなく、具体的な人数で計算を繰り返すと定着します。管理業務主任者講座では、区分所有法と標準管理規約の決議要件を整理する授業を用意しています。授業の内容や進め方は、講座ページで確認できます。

まとめ

  • 決議は定足数、可決の数、母数の3つに分けて読む
  • 区分所有法の普通決議は定足数なし、標準管理規約の普通決議は議決権総数の過半数の出席が必要で、頭数は数えない
  • 特別決議と3分の2の決議は、組合員総数と議決権総数の各過半数の出席が前提で、出席者の中で数える
  • 建替え・更新・取壊し・敷地売却系の5分の4は全体で数え、客観的事由があれば4分の3に下がる
  • 理事会は理事の半数以上の出席、出席理事の過半数で決める

法令や標準管理規約は改正されます。この記事は2026年10月14日時点の確認内容で、令和7年改正後の規定です。受験前には、e-Gov法令検索、国土交通省のページ、マンション管理業協会の最新の案内で確かめてください。

参考にした情報

記事の内容は、記載の日付時点で確認した情報にもとづいています。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。内容に誤りを見つけた場合は、お問い合わせからお知らせください。確認のうえ修正します。

2026年10月14日約10分で読めます
管理業務主任者試験区分所有法標準管理規約決議要件定足数令和7年改正
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