マンションの大事なことは、集会(管理組合の総会)で決まります。では、その集会は誰が、いつまでに、どんな内容を知らせて開くのでしょうか。マンション管理士試験では、数字(5分の1、2週間、4週間、1週間)が重なるため、混同しやすい分野です。この記事では、区分所有法の招集手続を、標準管理規約との違いも含めて表で整理します。条文は令和7年改正(2026年4月1日施行)後の現行の規定で確認した内容です(2026年10月17日時点)。
結論:招集の流れは「誰が」「請求」「通知」の3段階
区分所有法の招集手続は、次の3つに分けると整理できます。
| 段階 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 招集する人 | 管理者が招集する。少なくとも毎年1回は招集しなければならない | 34条1項・2項 |
| 招集の請求 | 区分所有者の5分の1以上で議決権の5分の1以上の者が、管理者に請求できる | 34条3項 |
| 招集の通知 | 会日より少なくとも1週間前に、目的と議案の要領を示して発する | 35条1項 |
「5分の1」は人数(区分所有者の数)と議決権の両方で必要です。どちらか一方だけでは請求できません。なお、この定数は規約で「減ずる」ことができます。
招集権者:管理者がいる場合といない場合
管理者がいるときは、管理者が集会を招集します。管理者は、少なくとも毎年1回、集会を招集する義務があります(34条1項・2項)。
管理者がいないときは、区分所有者の5分の1以上の者であって議決権の5分の1以上を有するものが、集会を招集できます。この定数も、規約で減らすことができます(34条5項)。
| 場面 | 招集できる人 | 定数 |
|---|---|---|
| 管理者がいる | 管理者 | 定数なし(毎年1回は義務) |
| 管理者がいない | 区分所有者 | 区分所有者と議決権の各5分の1以上(規約で減ずる) |
招集の請求と、請求者自身による招集
管理者がいても、区分所有者は管理者に招集を請求できます。請求するときは、会議の目的たる事項(何について話し合うか)を示します(34条3項)。
請求があったのに、次の条件を満たす通知が出されなかったときは、請求した区分所有者が自分で集会を招集できます(34条4項)。
| 数字 | 内容 |
|---|---|
| 2週間以内 | 請求の日から、この期間内に招集の通知を発する |
| 4週間以内 | 通知で定める会日(集会の日)は、請求の日からこの期間内の日にする |
2週間以内に通知が出ても、会日が4週間より後であれば、条件を満たしません。この場合も、請求者が自ら招集できます。
5分の1は「減ずる」ことだけが規約で認められています。条文は「減ずることができる」としか定めていません。
招集の通知:1週間前に、目的と議案の要領を
通知は、会日より少なくとも1週間前に、会議の目的たる事項と議案の要領を示して、議決権を有する各区分所有者に発します(35条1項)。
- 期間は「発する日」から数えるのが基本です。条文は「発しなければならない」と書いており、相手に届く日ではありません
- 1週間という期間は、規約で伸ばせます(伸長)。縮めることは、法律上は認められていません
- 専有部分が共有のときは、議決権を行使すべき者として定められた人に通知すれば足ります。その人がいなければ、共有者の一人で足ります(35条2項)
通知の宛先は、次のように決まります。
| 場合 | 通知の宛先 | 到達の扱い |
|---|---|---|
| 区分所有者が、通知を受ける場所を管理者に通知していた | その場所 | 通常到達すべき時に到達したとみなす |
| 通知していなかった | 専有部分が所在する場所 | 同上 |
| 規約に特別の定めがあり、建物内に住所がある人など | 建物内の見やすい場所への掲示 | 掲示をした時に到達したとみなす |
掲示で通知できるのは、規約に特別の定めがある場合です。規約がなければ、掲示だけでは通知したことになりません(35条4項)。
招集手続の省略と、決議できる事項
集会は、議決権を有する区分所有者の全員の同意があれば、招集の手続を経ないで開けます(36条)。
通常は、集会で決議できるのは、あらかじめ通知した事項だけです(37条1項)。ただし、規約で別段の定めをすることは妨げられません。例外は、法律が決議に特別の定数を定めている事項です(37条2項)。たとえば、規約の変更のように法律が決議の割合を決めている事項は、通知していなければ決議できません。
| 場合 | 決議できる事項 |
|---|---|
| 招集手続を省略した集会(36条) | 通知の制限は適用されない(37条3項) |
| 通常の集会 | あらかじめ通知した事項だけ(37条1項) |
| 規約に別段の定めがある通常の集会 | 通知していない事項も可。ただし特別の定数がある事項を除く(37条2項) |
判断の順番は「全員同意の省略集会か」→「通知した事項か」→「規約の別段の定めがあるか(特別の定数の事項は除く)」です。この順で考えると、選択肢の正誤を判断しやすくなります。
標準管理規約では何が違うのか
試験では、法律の規定と標準管理規約の規定が並んで問われます。標準管理規約(単棟型)の令和7年改正版では、次のように定められています。
| 項目 | 区分所有法 | 標準管理規約(単棟型) |
|---|---|---|
| 通知の時期 | 会日より少なくとも1週間前(35条1項) | 少なくとも2週間前(43条1項) |
| 緊急の場合 | 規定なし | 理事会の承認を得て、1週間を下回らない範囲で短縮できる(43条8項) |
| 招集請求の定数 | 区分所有者と議決権の各5分の1以上(34条3項) | 組合員総数と議決権総数の各5分の1以上(44条1項) |
| 請求後の通知 | 2週間以内に、請求の日から4週間以内の日を会日とする通知 | 同じ(2週間以内に、4週間以内の日) |
| 請求に応じない場合 | 請求者が招集できる(34条4項) | 請求者が臨時総会を招集できる(44条2項) |
| 通常総会 | 毎年1回以上 | 理事長が毎年1回、新会計年度開始以後2か月以内に招集(42条3項) |
標準管理規約には、マンション再生等に係る決議を目的とする総会の特則もあります。通知は2か月前までに発し(43条1項)、1か月前までに説明会を開く必要があります(43条6項)。また、請求後の臨時総会の会日は「2か月と2週間以内の日」になります(44条1項)。通常の総会より時間をかける点が特徴です。
試験での問われ方・覚え方
数字が多いので、次のように整理しておくと混同しにくくなります。
- 招集の請求の定数は「5分の1」。人数と議決権の両方
- 請求後は「2週間以内に通知」、会日は「4週間以内」
- 通知は法律では「1週間前」、標準管理規約では「2週間前」
- 規約で変えられる向きは、定数は減らす、通知期間は伸ばす
- 全員同意があれば、招集手続は省略できる
また、通知の内容は「目的」と「議案の要領」の2つです。標準管理規約のコメントでは、目的は議題の名称、議案の要領は賛否を検討できる程度に議案を要約したものと説明されています。問題文が法律について聞いているのか、標準管理規約について聞いているのかを、最初に確認するのが得点のコツです。
授業・講座への導線
招集手続は、集会の決議要件や議事録の作成・保管などとセットで学ぶと、理解が深まります。決議の割合は区分所有法の決議要件を1枚の表で整理した記事で、令和7年改正の全体像は令和7年の区分所有法改正の記事で確認できます。講座の全体像はマンション管理士講座のページで確認してください。
まとめ
- 集会は管理者が招集し、毎年1回以上開く。区分所有者と議決権の各5分の1以上で招集を請求できる
- 請求後は2週間以内に通知を発し、会日は請求の日から4週間以内にする。守られなければ請求者が自ら招集できる
- 通知は会日の少なくとも1週間前に、目的と議案の要領を示して発する。標準管理規約では2週間前
- 全員の同意があれば招集手続を省略でき、通知していない事項も決議できる
法律の条文の規定と、標準管理規約の規定を、表で見比べながら整理しておきましょう。なお、法令の内容は改正されることがあります。最新の情報は、e-Gov法令検索や国土交通省の公式ページでご確認ください。

