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論点解説

専有部分と共用部分の違いとは? 法定共用部分・規約共用部分を表で整理

専有部分・法定共用部分・規約共用部分の違いを、区分所有法2条・4条、持分の決まり(11条・14条・15条)、標準管理規約7条・8条と別表第2に沿って比較表で整理します。

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トーレス

専有部分・法定共用部分・規約共用部分の違いを、区分所有法2条・4条、持分の決まり(11条・14条・15条)、標準管理規約7条・8条と別表第2に沿って比較表で整理します。

この記事の要点

  • 建物の部分は、専有部分・法定共用部分・規約共用部分の3つに分かれる。専有部分以外の建物の部分は、法律上当然に共用部分になる(2条4項)
  • 規約共用部分は、規約で定め、共用部分である旨の登記をしないと第三者に対抗できない(4条2項)。法定共用部分に登記は要らない
  • 共用部分の持分は専有部分の床面積の割合で決まり、専有部分と分けて処分できない(14条・15条)
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マンションの建物は、どこまでが「自分のもの」で、どこからが「みんなのもの」なのでしょうか。マンション管理士試験では、専有部分と共用部分の区別が、管理・変更・費用・登記の問題すべての出発点になります。この記事では、区分所有法の条文と標準管理規約をもとに、3つの区分と、その違いを表で整理します。条文は、令和7年改正(2026年4月1日施行)後の現行の規定で確認した内容です(2026年10月16日時点)。

結論:建物の部分は3つに分かれる

区分所有法は、建物の部分を次の3つに分けて考えます。

区分 どんな部分か 根拠
専有部分 区分所有権の目的になる建物の部分 2条3項
法定共用部分 廊下・階段室のように構造上みんなで使う部分と、専有部分に含まれない附属物。規約がなくても当然に共用 2条4項・4条1項
規約共用部分 専有部分としても成り立つ部分や附属の建物のうち、規約の定めで共用とされたもの 4条2項

共用部分は「専有部分以外の建物の部分」と「専有部分に属しない建物の附属物」、それに「規約で共用部分とされた附属の建物」の3種類で定義されています(2条4項)。まず専有部分かどうかを判断し、そうでなければ共用部分、と考えると整理しやすくなります。

専有部分になる条件:2つの独立性

1条は、一棟の建物の中で、次の2つを満たす部分は、それぞれ所有権の目的にできると定めています。

  • 構造上区分されていること(壁や床などで他の部分と仕切られている)
  • 独立して、住居・店舗・事務所・倉庫などの用途に使えること

この2つがそろった部分を目的とする所有権が区分所有権(2条1項)で、その目的となる建物の部分が専有部分です(2条3項)。

一方、数個の専有部分に通じる廊下や階段室など、構造上、区分所有者の全員またはその一部が共用する部分は、そもそも区分所有権の目的になりません(4条1項)。この部分が、法定共用部分です。

法定共用部分と規約共用部分の違い

ここが試験で最も問われやすい部分です。

項目 法定共用部分 規約共用部分
共用部分になる理由 法律の定めにより当然に 規約の定めにより
例 廊下、階段室、エレベーター、配管などの附属物 集会室、管理事務室、別棟の倉庫
もとの性質 区分所有権の目的にならない部分 専有部分になれる部分、または附属の建物
登記 不要 共用部分である旨の登記が必要
第三者への対抗 登記なしで主張できる 登記しないと対抗できない(4条2項)

規約共用部分は、規約の定めだけでは足りません。「共用部分である旨の登記」をして初めて、外部の第三者にも、そこが共用部分だと主張できます(4条2項後段)。この登記について、不動産登記法58条は、申請できる人や、登記したときに登記官が職権で既存の登記を抹消することなどを定めています。

登記が必要なのは、規約で共用部分とした場合だけです。廊下や階段室のような法定共用部分には、共用部分である旨の登記は要りません。「共用部分はすべて登記が必要」という選択肢は誤りです。

共用部分は誰のものか:共有関係

共用部分は、区分所有者全員の共有に属します。ただし、一部の区分所有者だけが使う一部共用部分(たとえば店舗専用の通路)は、それを共用すべき区分所有者の共有になります(11条1項)。

この共有関係は、規約で別の定めをすることもできます(11条2項本文)。ただし、区分所有者以外の人を共用部分の所有者と定めることはできません。例外が、管理者が規約に特別の定めがあるときに共用部分を所有する、管理所有です(11条2項ただし書・27条1項)。

また、共用部分は登記がなくても、持分の移転を第三者に主張できます。11条3項が、民法177条(不動産の物権変動は登記が対抗要件)を共用部分には適用しないと定めているためです。

共用部分の使い方・持分・処分

共用部分の共有については、13条から19条までに決まりがあります(12条)。

項目 内容 根拠
使用 各共有者は、共用部分をその用方(本来の使い道)に従って使える。持分の大小で使える範囲は変わらない 13条
持分の割合 専有部分の床面積の割合による。規約で別段の定めができる 14条1項・4項
一部共用部分の床面積 共用すべき区分所有者の専有部分の床面積の割合で配分し、その人の床面積に算入する 14条2項
床面積の測り方 壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積 14条3項
持分の処分 専有部分の処分に従う。法律に別段の定めがある場合を除き、専有部分と分離して処分できない 15条
一部共用部分の管理 区分所有者全員の利害に関係するもの、または31条2項の規約に定めがあるものは全員で。それ以外は共用すべき区分所有者のみで行う 16条

14条3項の「内側線」は、区分所有法上の持分を決める際の床面積の測り方です。標準管理規約のコメントでは、共有持分の割合の基準となる面積は、壁心計算(界壁の中心線で囲まれた部分の面積)によると説明されています。法律と標準管理規約で「測り方」が違うので、区別して覚えましょう。

持分は、専有部分を売ればいっしょに移ります。持分だけを切り離して売ったり、担保にしたりすることはできません(15条2項)。

標準管理規約では、どこまでが専有部分か

区分所有法は専有部分の範囲を細かく定めていないため、境界は規約で決めます。標準管理規約(単棟型・令和7年10月17日改正)は、次のように定めています。

部分 標準管理規約での扱い 根拠
天井・床・壁 躯体部分を除く部分が専有部分 7条2項1号
玄関扉 錠と内部塗装部分が専有部分 7条2項2号
窓枠・窓ガラス 専有部分に含まれない(共用部分側) 7条2項3号
専有部分専用の設備 共用部分内にある部分を除いた部分が専有部分 7条3項

共用部分の範囲は、8条が別表第2にゆだねています。別表第2では、たとえば次のものが共用部分とされています。

  • 建物の部分:エントランスホール、廊下、階段、エレベーター室、パイプスペース、メーターボックス(給湯器ボイラー等の設備を除く)、内外壁、界壁、床スラブ、柱、基礎部分、バルコニーなど
  • 建物の附属物:エレベーター設備、電気設備、給水設備、排水設備、消防・防災設備、宅配ボックス、各種の配線配管など。給水管は本管から各住戸のメーターを含む部分まで、雑排水管と汚水管は配管継手と立て管まで
  • そのほか:管理事務室、管理用倉庫、清掃員控室、集会室、トランクルーム、倉庫とその附属物

別表第2の最後の項目にある管理事務室や集会室は、もともと専有部分にもなれる部分を共用部分としているものなので、区分所有法でいう規約共用部分にあたります。

標準管理規約のコメントは、専有部分と共用部分の区分は「必ずしも費用の負担関係と連動するものではない」としています。専有部分か共用部分かと、修繕の費用を誰が負担するかは、別々に確認しましょう。また、専有部分の専用に供される設備かどうかは、設備の機能に着目して決めると説明されています。

試験での問われ方と覚え方

典型的な論点は次のとおりです。

  1. 規約共用部分の登記:規約で定めただけでは第三者に対抗できない。法定共用部分には登記は要らない
  2. 持分の処分:専有部分と分離して処分できない(15条2項)。登記なしで移転を主張できる(11条3項)
  3. 持分の割合:床面積の割合が原則で、規約で変更できる(14条)
  4. 管理所有:区分所有者以外の人を共用部分の所有者にはできないが、管理者が規約の定めで所有する場合は例外(11条2項・27条1項)
  5. 標準管理規約の境界:玄関扉は錠と内部塗装、窓枠・窓ガラスは専有部分に含まれない、配管は給水は住戸メーターまで・排水は配管継手と立て管まで

覚え方は、「専有部分か、そうでないか」→「そうでなければ法定共用部分」→「専有部分になれるのに共用にしたら規約共用部分(登記が必要)」の順に考えることです。

授業・講座への導線

マンション管理士講座では、区分所有法の章で、2つの独立性、法定共用部分と規約共用部分の違い、持分の計算を順に扱います。標準管理規約の章では、専有部分と共用部分の境界を、玄関扉・窓・配管といった場面ごとに確認します。持分の計算は、条文を読むだけではつかみにくいので、数字を入れて手を動かすと理解が進みます。

共用部分の変更や管理を決議で行う場面は、区分所有法の決議要件を1枚の表で整理した記事で確認できます。令和7年の改正全体を知りたい方は、令和7年の区分所有法改正の記事もあわせて読んでください。

まとめ

  • 建物の部分は、専有部分・法定共用部分・規約共用部分の3つ(2条3項・4項、4条)
  • 規約共用部分は、共用部分である旨の登記をしないと第三者に対抗できない。法定共用部分に登記は要らない(4条2項)
  • 共用部分は区分所有者全員の共有(一部共用部分は共用すべき人の共有)。持分は床面積の割合で、専有部分と分けて処分できない(11条・14条・15条)
  • 標準管理規約では、玄関扉は錠と内部塗装部分、窓枠・窓ガラスは専有部分に含まれない。専有・共用の区分と費用負担は連動しない

専有部分と共用部分の区別は、管理・変更・費用負担のどの論点でも前提になります。条文番号と、標準管理規約の境界を、表の形で頭に入れておきましょう。

参考にした情報

記事の内容は、記載の日付時点で確認した情報にもとづいています。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。内容に誤りを見つけた場合は、お問い合わせからお知らせください。確認のうえ修正します。

2026年10月16日約9分で読めます
マンション管理士専有部分共用部分区分所有法標準管理規約
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