お金を貸す仕事は、誰でも自由に始められるわけではありません。貸金業法は、貸金業を営む者に「登録」を求めています。貸金業務取扱主任者試験でも、登録先はどこか、有効期間は何年か、いつまでに更新を申請するかといった条文の細部が問われやすい分野です。この記事では、貸金業の登録制度を、登録先・申請・有効期間と更新・登録換え・無登録営業の順に表で整理します。
条文は2026年10月16日にe-Gov法令検索で確認した内容に基づきます。試験は受験年度の法令が基準になるため、最新の情報は日本貸金業協会の公式サイトでご確認ください。
結論:登録は「営業所の数」で先が決まり、3年で切れる
最初に、この記事で扱うポイントを表にまとめます。
| 論点 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 登録の要否 | 貸金業を営もうとする者は登録を受けなければならない | 貸金業法3条1項 |
| 登録先 | 営業所又は事務所を2以上の都道府県に置く→内閣総理大臣/1の都道府県だけ→その所在地を管轄する都道府県知事 | 3条1項 |
| 有効期間 | 3年。更新を受けなければ期間の経過で効力を失う | 3条2項 |
| 更新の申請期限 | 現に受けている登録の有効期間満了の日の2か月前まで | 施行規則5条 |
| 無登録営業 | 禁止。10年以下の拘禁刑もしくは3,000万円以下の罰金(併科あり) | 11条1項・47条2号 |
登録先を決めるのは、会社の本店がどこにあるかではなく、営業所又は事務所を置く都道府県の数です。「2以上なら内閣総理大臣、1つだけなら知事」と覚えましょう。
登録先の分け方:内閣総理大臣と都道府県知事
3条1項は、営業所又は事務所の置き方で登録先を分けています。
| 営業所又は事務所の置き方 | 登録先 |
|---|---|
| 2以上の都道府県の区域内に設置 | 内閣総理大臣 |
| 1の都道府県の区域内にのみ設置 | 営業所又は事務所の所在地を管轄する都道府県知事 |
4条1項は、登録申請書の提出先も同じ基準で定めています。2以上の都道府県に置く場合は内閣総理大臣に、1の都道府県だけの場合は所在地を管轄する都道府県知事に提出します。
なお、金融庁の「登録貸金業者情報検索サービス」では、全国の財務局や都道府県に登録されている貸金業者を調べられます。ただし、この検索結果は各財務局や都道府県が情報を更新した時点のもので、検索した日現在とは限らないと金融庁は注意しています。最新の状況は、登録番号の欄に載っている財務局や都道府県の窓口で確認する必要があります。
申請から登録簿の閲覧まで
登録の手続きは、次の流れで進みます。
| 順序 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 1 | 登録申請書を、登録先(内閣総理大臣または都道府県知事)に提出する | 4条1項 |
| 2 | 登録を拒否する場合を除き、登録行政庁は貸金業者登録簿に登録する | 5条1項 |
| 3 | 登録したら、遅滞なく申請者に通知する | 5条2項 |
| 4 | 貸金業者登録簿は一般の閲覧に供される | 9条 |
登録簿には、申請書の記載事項に加えて、登録年月日と登録番号が記載されます(5条1項)。登録を拒否できる場合は6条に定められていて、別の記事で扱います。
登録申請書の記載事項
4条1項が定める記載事項を、区分ごとに整理します。
| 区分 | 記載事項 |
|---|---|
| 申請者 | 商号・名称・氏名と住所。法人は役員の氏名、個人は政令で定める使用人の氏名。未成年者は法定代理人 |
| 営業所 | 営業所や事務所の名称と所在地 |
| 主任者 | 各営業所に置く主任者の氏名と登録番号 |
| 連絡先 | 広告や勧誘で表示する電話番号などの連絡先(内閣府令で定めるもの) |
| 業務 | 業務の種類と方法、ほかに行う事業があればその種類 |
試験で取り違えやすいのは、主任者について書くのが「氏名及び登録番号」である点です。主任者の住所は、条文上の記載事項ではありません。主任者の登録番号は、主任者本人が受けた登録の番号なので、貸金業者の登録を受ける前でも申請書に書けます。
連絡先については、施行規則3条の2が、電話番号、ホームページアドレス、電子メールアドレスを挙げています。ホームページアドレスや電子メールアドレスを記載する場合は、電話番号のうち一定のものも併せて記載しなければなりません。
申請書に添付する書類
4条2項は、申請書に添付する書類を定めています。
| 区分 | 主な書類 |
|---|---|
| 法律で定めるもの(4条2項) | 6条1項各号に該当しないことを誓約する書面/役員や政令で定める使用人(個人の場合は本人と使用人)の本人確認書類の写し/営業所又は事務所の所在地を証する書面 |
| 内閣府令で定めるもの(施行規則4条) | 役員・重要な使用人・主任者の住民票の抄本など/法人の定款と登記事項証明書/株主名簿/前事業年度の貸借対照表など |
施行規則4条は、官公署が証明する書類については、申請の日前3か月以内に作成されたものに限ると定めています。書類の種類をすべて暗記する必要はありませんが、「誓約書」「本人確認書類」「所在地を証する書面」は法律本体に書かれている、という区別を押さえておくと整理しやすくなります。
有効期間は3年、更新は満了の2か月前まで
登録には有効期間があります。3条2項は、登録は3年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によって効力を失うと定めています。つまり、何もしなければ3年で登録は切れます。
更新の手続きは次のとおりです。
| 項目 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 有効期間 | 3年 | 3条2項 |
| 更新の申請期限 | 現に受けている登録の有効期間満了の日の2か月前まで | 施行規則5条 |
| 更新を受けないと | 期間の経過によって登録が効力を失う | 3条2項 |
| 内閣総理大臣の登録の更新 | 手数料を納める。金額は15万円 | 3条3項・施行令2条1項 |
| 手数料の納め方 | 登録申請書に収入印紙を貼って納付 | 施行令2条2項 |
| 納付した手数料 | 返還されない | 施行令2条3項 |
「満了の日までに申請すれば間に合う」は誤りです。施行規則5条の期限は、満了の日の「2か月前まで」です。ひっかけとして出やすいので、数字を正確に覚えましょう。
3条3項は、内閣総理大臣の登録を受けようとする者は登録免許税を、更新を受けようとする者は政令で定める手数料を納めると書いています。つまり、新規の登録では登録免許税、更新では手数料という区別があります。なお、ここで扱った15万円は、内閣総理大臣の登録の更新に関する手数料です。都道府県知事の登録の手数料については、この記事では扱いません。
営業所が変わると登録先も変わる:登録換え
営業所の置き方が変わると、登録先が変わることがあります。7条は、貸金業者が引き続き貸金業を営もうとして新たに3条1項の登録を受けたとき、次の3つの場合には、従前の登録が効力を失うと定めています。
| 場合 | 従前の登録 | 変更後 |
|---|---|---|
| 1 | 内閣総理大臣の登録を受けた者が、1の都道府県の区域内にのみ営業所又は事務所を有することになった | 都道府県知事の登録へ |
| 2 | 都道府県知事の登録を受けた者が、その都道府県の営業所又は事務所を廃止して、他の1の都道府県に設置することになった | 他の都道府県知事の登録へ |
| 3 | 都道府県知事の登録を受けた者が、2以上の都道府県の区域内に営業所又は事務所を有することになった | 内閣総理大臣の登録へ |
ポイントは、新しい登録を受けたときに従前の登録が効力を失う、という順序です。
無登録営業の禁止と罰則
登録を受けずに貸金業をすることは禁じられています。11条は、次のように定めています。
| 条文 | 禁止される行為 | 罰則 |
|---|---|---|
| 11条1項 | 登録を受けない者が貸金業を営むこと | 10年以下の拘禁刑もしくは3,000万円以下の罰金、またはこれの併科(47条2号) |
| 11条2項1号 | 登録を受けない者が、貸金業を営む旨の表示又は広告をすること | 2年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはこれの併科(47条の3第2号) |
| 11条2項2号 | 登録を受けない者が、貸金業を営む目的で貸付けの契約の締結について勧誘をすること | 同上 |
| 11条3項 | 貸金業者が、登録簿に登録された営業所又は事務所以外の営業所又は事務所を設置して貸金業を営むこと | 同上 |
同じ「登録に関する違反」でも、無登録で営業すること自体(1項)と、表示・広告・勧誘や登録外の営業所の設置(2項・3項)で、罰則の重さが違います。さらに、不正の手段で登録を受けた場合にも、47条1号により、10年以下の拘禁刑もしくは3,000万円以下の罰金です。登録申請書に虚偽の記載をして提出した場合は、47条の3第1号により、2年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金です。
試験での問われ方と覚え方
貸金業務取扱主任者試験は、貸金業法などの法令の知識を問う試験です(日本貸金業協会が実施しています。試験日程などの最新情報は、同協会の公式サイトで確認してください)。登録の分野では、次のような数字と区分がよく整理の対象になります。
| 覚えること | 一言で |
|---|---|
| 登録先 | 2以上の都道府県→内閣総理大臣、1つだけ→知事 |
| 有効期間 | 3年 |
| 更新の申請 | 満了の2か月前まで |
| 更新手数料(内閣総理大臣の登録) | 15万円、返還されない |
| 主任者の記載事項 | 氏名及び登録番号(住所ではない) |
| 無登録営業の罰則 | 営業そのもの=10年以下/3,000万円以下、広告・勧誘=2年以下/300万円以下 |
数字は、条文のどこに書いてあるかとセットで覚えると定着しやすくなります。たとえば「更新の期限は施行規則5条」「手数料は施行令2条」のように、法律・施行令・施行規則のどれに書かれているかを意識しておくと、似た選択肢が並んだときに迷いにくくなります。
授業・講座で学ぶには
登録制度は、貸金業法の入り口にあたる分野です。登録の次には、登録を拒否される場合、貸金業務取扱主任者の設置義務、貸付けの規制へと進んでいきます。貸金業務取扱主任者講座では、これらの条文を授業の順に学べます。条文の数字を一気に覚えるのではなく、「なぜその区分けになっているのか」を意識しながら読み進めると、記憶に残りやすくなります。
同じ貸金業法の別の論点は、次の記事でも整理しています。
まとめ
- 貸金業を営むには登録が必要。登録先は営業所又は事務所を置く都道府県の数で決まり、2以上なら内閣総理大臣、1つだけなら所在地の都道府県知事(3条1項)。
- 登録は3年ごとの更新が必要で、更新しないと期間の経過で失効する(3条2項)。更新の申請は満了日の2か月前まで(施行規則5条)。
- 内閣総理大臣の登録の更新手数料は15万円で、収入印紙で納付し、返還されない(施行令2条)。
- 申請書に書く主任者の事項は氏名及び登録番号。住所は記載事項ではない(4条1項6号)。
- 無登録営業は10年以下の拘禁刑・3,000万円以下の罰金。広告・勧誘や登録外の営業所の設置は2年以下の拘禁刑・300万円以下の罰金。
登録の制度は、数字と区分を正確に押さえれば得点しやすい分野です。条文を確かめながら、表を自分で書き直してみてください。

