「受験を決めたのは良いけれど、あまり時間がない。1か月で間に合うだろうか」。情報セキュリティマネジメント試験について、こうした相談はよくあります。
結論から言うと、もともとITやセキュリティの基礎知識がある人なら、1か月でも計画的に進めれば挑戦できる範囲です。ただし、全くの初学者や、勉強に使える時間が少ない人には厳しい場合もあります。この記事では、試験の形式を確認したうえで、4週間の短期集中プランと、削ってよいもの・削れないものの考え方を紹介します。
1か月で合格できるかどうかは、これまでの知識と確保できる時間で変わります。このプランは合格を保証するものではありません。
先に確認する:試験の形式と受験日の決め方
IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)の案内(2026年10月22日確認)によると、試験の形は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験時間 | 120分(科目Aと科目Bを合わせて) |
| 出題数 | 60問(科目Aと科目Bの合計) |
| 出題形式 | 科目Aは四肢択一、科目Bは多肢選択式 |
| 実施方式 | CBT方式で随時実施 |
| 合格基準 | 総合評価点が600点(1,000点満点)以上 |
| 採点方式 | IRT(項目応答理論)にもとづき、解答結果から評価点を算出 |
IRTとは、問題ごとの難しさなどを加味して点数を出す方式です。「何問正解で何点」と単純には決まらないので、特定の分野で大きく落とさないことを意識します。
受験日を先に仮置きする
この試験には決まった試験日がなく、申込み時に日時と会場を選びます。短期集中では、これが大きな強みです。学習を始める週のうちに、1か月後あたりで仮の受験日を決めてしまうと、勉強の「締め切り」ができます。申込みの流れは申込み方法と受験の流れで整理しています。
IPAの申込みページには、2026年12月28日以降に試験の休止を予定しているとの注記があります(2026年10月22日確認)。年内に受けるつもりの人は、日程を早めに確認してください。手数料や申込みの条件も変わることがあるため、最新は公式サイトで確認しましょう。
1か月で間に合う人、厳しい人
短期集中が向いているかを、次の表で確かめてみてください。目安であり、判定ではありません。
| 状況 | 1か月の見通し |
|---|---|
| 仕事でITやセキュリティに触れている | 用語の理解が早く、挑戦しやすい |
| ITの用語にはなじみがあるが、セキュリティは初めて | 平日にも時間が取れれば挑戦できる |
| ITの基礎から学ぶ必要がある | 1か月は厳しいことが多い。2か月を考える |
| 平日はほぼ時間が取れない | 休日に偏るため、日程の延長も検討する |
2か月で組む場合は、2か月で合格をめざす学習スケジュールを参考にしてください。1か月プランは、それを半分に圧縮したものと考えると分かりやすいです。
短期集中の基本方針:削るもの、削らないもの
時間が短いほど、「何をやらないか」を決めることが大切です。
削らないもの
- 脅威・マネジメント・対策の3分野: 当ブログの集計(平成28年春〜令和元年秋の公開問題400問)では、この3分類で約6割を占めました。詳しくは科目Aでよく出る分野ランキングにまとめています
- 科目Bの読み方の練習: 長い文章から判断する形式なので、慣れが必要です。型は科目Bで問われる場面の型で整理しています
- 間違えた問題の見直し: 新しい問題を増やすより、同じ問題をもう一度解くほうが、短期間では効果が出やすくなります
削ってよいもの
- 細かい数値や年号の暗記: 公式の試験案内で問われる範囲を超えて、細部を暗記しない
- 出題の少ない分野の深追い: ネットワークや法規は、基本だけ押さえて演習で補う
- 完璧な理解を待つこと: 分からない用語は付箋に書いて先へ進み、あとで戻る
短期集中でいちばん多い失敗は、第1週に時間をかけすぎて、演習の時間が足りなくなることです。1周目は「分かった気になる」程度で次へ進み、2周目に理解を深めるのがコツです。
4週間のプラン
平日は1〜1.5時間、休日は2〜3時間を取る想定の例です。仕事の状況に合わせて、時間は増減してください。
| 週 | 目的 | やること |
|---|---|---|
| 第1週 | 全体像をつかむ | 基本概念と脅威を一通り学ぶ |
| 第2週 | 対策とマネジメント | 対策・ISMS・リスク管理を学ぶ |
| 第3週 | 演習 | 科目Aの問題演習、科目Bの型の練習 |
| 第4週 | 仕上げ | 弱点の補強、通しで120分 |
第1週:基本概念と脅威
最初の週は、言葉をそろえます。
- 機密性・完全性・可用性(CIA)と、資産・脅威・脆弱性・リスクの関係
- マルウェア、標的型攻撃、パスワードへの攻撃、Webの攻撃の種類
土台になる言葉の整理は、機密性・完全性・可用性の違いと脅威・脆弱性・リスクの違いが役に立ちます。ここで気をつけたいのは、攻撃は名前を覚えるだけでなく、「何が狙われて、どう防ぐか」までセットで見ることです。たとえばXSSとCSRFのように紛らわしいものは、XSSとCSRFの違いのように比較表にして整理すると、短時間で区別がつきます。
第2週:対策とマネジメント
出題の中心である分野を学びます。
- 暗号、デジタル署名、認証、アクセス制御
- ファイアウォールなどネットワークの守り(ファイアウォール・DMZ・プロキシの違い)
- ISMS、リスクアセスメント、リスク対応(リスク対応の4つの違い)、インシデント対応、事業継続(RPO・RTO・RLOの違い)
ここは範囲が広いので、1日に1テーマと決めると進みます。「対策は脅威とセットで」という意識を持つと、週の終わりに頭の中でつながります。
第3週:演習
学んだ知識を、問題を解いて「使える形」にする週です。
- 科目Aは、分野別に解く。間違えた問題には、「知らなかった」か「知っていたのに選べなかった」かを一言でメモする
- 科目Bは、場面(誰が・何を・どんな規程で)を整理してから設問を読む練習をする
- IPAが公開している過去問題・公開問題を使う場合は、公式サイトに掲載されているものを使う
間違えた問題は、翌日にもう一度解きます。1か月という短い期間では、「一度解いて終わり」にしないことが得点に直結します。
第4週:仕上げ
最終週は、新しい範囲に手を出さず、見直しに絞ります。
- 第3週のメモを見直して、弱点の分野に戻る
- 120分を通して解き、時間配分を体で覚える(科目Aは手早く、科目Bに考える時間を残す)
- 前日は早めに休み、当日の持ち物や本人確認書類を確認する
授業動画を使うなら、どう組み込むか
短期集中で時間を奪うのは、「何から読むか」を考える時間です。情報セキュリティマネジメント講座は、全体を53本の授業に分けています。内訳は、情報セキュリティの脅威10本、マネジメント12本、対策15本、法規と倫理7本、ガバナンス・サービスマネジメント・テクノロジ6本、科目B(ケース問題)3本です。1本10分前後で、通勤時間や昼休みに1本ずつ進められます。
ペースの目安は次のとおりです。
- 第1〜2週: 1日に2〜3本を目安に、授業を一通り見る
- 第3週以降: 授業は分からない所の見直しにとどめ、演習を中心にする
授業で出てきた疑問は、AI講師トーレスに質問できます(毎月の質問回数の上限は講座ごとに決まっています)。独学でも、上の4週間の流れは同じように使えます。
料金は、月額 817円〜(年額プラン9,800円・一括払いの月あたり)です。月額プランは2,980円で、1か月だけ使う場合は月額プランを選べます。最新の料金は講座ページで確認してください。
間に合わないと感じたときの判断
第3週の終わりに、演習の手応えが足りないと感じることもあります。そのときは、次の順で考えます。
- 弱点が特定の分野に偏っているか: 偏っているなら、残りの時間でその分野に戻る
- 科目Bの読み方が固まっていないか: 型の練習に時間を回す
- 全体として足りないか: 受験日を1〜2週間後ろにずらす。この試験は随時実施なので、日程を動かす選択肢があります(変更の条件は申込み時の案内で確認してください)
仕上がっていない状態で受けるより、日程を動かすほうが結果的に近道になることもあります。
よくある質問
Q. 1日どれくらい勉強すれば間に合いますか?
人によって違います。この記事の例では、平日1〜1.5時間、休日2〜3時間を想定しています。IT経験がある人はもっと短く済むこともあります。
Q. 全く初めてでも1か月で受かりますか?
ITの基礎から学ぶ場合は、1か月では厳しいことが多いです。その場合は2か月以上で計画し、受験日はあとから決めても構いません。
Q. 科目Aと科目Bはどちらを優先しますか?
科目Aの知識が科目Bの土台になるため、最初は科目Aです。第3週から科目Bの練習を加えます。
まとめ
- 試験は60問・120分、合格基準は1,000点満点中600点。CBT方式で随時実施されるので、受験日を先に仮置きして逆算します
- 1か月は、理解→対策とマネジメント→演習→仕上げの4週間で組みます
- 削るのは細部と深追い。脅威・マネジメント・対策の3分野と、間違いの見直しは削りません
- 間に合わないときは、受験日を動かす判断も選択肢に入れます
試験の概要は試験の形式と学習の進め方にもあります。まず、受験日の仮置きと第1週の範囲から始めてみてください。

