「会社からセキュリティの資格を取るように言われた」「IT部門ではないけれど、情報を扱う担当になった」。そうしたきっかけで、情報セキュリティマネジメント試験を調べ始める方は少なくありません。
この記事では、まず試験そのものの形をつかめるように、実施機関・受験のしかた・出題の内訳を整理します。そのうえで、はじめて学ぶ方がどの順番で手をつければよいかをまとめます。
申込方法・受験手数料・試験日程などの最新情報は、必ずIPA(独立行政法人 情報処理推進機構)の公式サイトで確認してください。この記事では、制度として定まっている部分にしぼって説明します。
情報セキュリティマネジメント試験とは
情報セキュリティマネジメント試験は、IPAが実施する情報処理技術者試験の一区分で、国家試験です。
名前のとおり、技術者として手を動かすための試験というより、組織のなかで情報を守る仕組みをまわす人に向けた試験です。ルールを決める、リスクを見積もる、事故が起きたときに決められた手順で動く。そうした「マネジメント」の側面が中心に置かれています。
そのため、ネットワーク機器の設定やプログラミングの知識を細かく問われるわけではありません。ITの基礎知識は必要ですが、必要な範囲を理解していれば十分に戦えます。
受験資格はない
受験資格はありません。年齢・学歴・実務経験による制限がないため、学生でも、IT部門以外の職種の方でも受験できます。情報セキュリティの実務経験がないことは、受験の妨げにはなりません。
試験の形式
試験の形式は、次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 実施機関 | IPA(独立行政法人 情報処理推進機構) |
| 試験区分 | 情報処理技術者試験の一区分(国家試験) |
| 受験資格 | なし |
| 実施方式 | CBT方式(会場のパソコンで受験)・通年実施 |
| 出題数 | 科目A 48問・科目B 12問(合計60問) |
| 試験時間 | 120分 |
| 出題形式 | 多肢選択式 |
CBT方式・通年実施であること
この試験はCBT方式で、通年で実施されています。年に一度の決まった日に受けるのではなく、自分の都合のよい日時と会場を選んで申し込む形です。
これは学習計画の立て方に直結します。「試験日までに間に合わせる」のではなく、「仕上がったところで試験日を決める」という進め方ができるからです。学習が思うように進まなかったときに一年待つ必要がない、という点は大きな利点です。
科目Aと科目B
出題は科目Aと科目Bに分かれます。
- 科目A(48問): 知識を問う問題です。用語の意味、仕組み、法令やガイドラインの位置づけなどが問われます。
- 科目B(12問): 業務の場面を題材にしたケース問題です。与えられた状況のなかで、情報セキュリティの担当者としてどう判断し、どう対応するかが問われます。
合計60問を120分で解きます。単純に割れば1問あたり2分ですが、科目Bは状況の説明を読む時間が必要なので、実際には科目Aを速く正確に抜け、科目Bに時間を残す配分が現実的です。
合格率の水準
合格率はおおむね70%前後で推移しています。情報処理技術者試験のなかでは合格しやすい部類に入ります。
ただし、これは「勉強しなくても受かる」という意味ではありません。用語の数は多く、似た言葉の区別(たとえばリスクの特定・分析・評価)を曖昧にしたままだと、科目Bで判断を誤ります。範囲は広いが、正しい順番で積み上げれば届く試験だと捉えるのが実態に近いはずです。
2027年度からの変更
2027年度から、科目Aの出題分野の体系が見直されることが公表されています。
学習を始めるタイミングによっては、手元の教材が見直し前の体系で作られていることがあります。市販書籍や講座を選ぶときは、どの出題範囲に対応しているかを確認してください。
学習の進め方
はじめて学ぶ方は、次の順番で進めると迷いにくくなります。
1. 土台の言葉をそろえる
最初に固めるべきは、機密性・完全性・可用性という3つの柱と、資産・脅威・脆弱性・リスクという言葉の関係です。ここが曖昧なままだと、以降の分野がすべて暗記になってしまいます。逆に、ここさえ通れば「なぜその対策をとるのか」が自分で説明できるようになります。
2. 分野ごとに知識を積む
土台ができたら、攻撃の手口、暗号と認証、マネジメント(ISMS)、対策の実際、インシデント対応、法規と、分野ごとに進めます。
このとき意識したいのは、脅威と対策を対にして覚えることです。「フィッシングとは何か」を単独で覚えるより、「フィッシングに効く対策は何か」まで紐づけたほうが、科目Bで使える形になります。
3. ケース問題で「判断」に変える
知識が入ったら、科目Bの形式に慣れます。ケース問題は、知らないことを問うているのではなく、知っていることをその場面で使えるかを問うています。
読み方には型があります。登場人物と立場を押さえる、何が問題として起きているかを一文にする、選択肢を「やってよいこと/いけないこと」で切る。この手順を繰り返せば、初見の場面でも落ち着いて処理できるようになります。
4. 間違えた原因まで戻る
演習で間違えたとき、正解の番号を覚えるだけでは次に活きません。「用語を知らなかった」のか、「知っていたが場面に当てはめられなかった」のかで、やるべきことは変わります。前者なら該当分野の復習、後者ならケース問題の読み方の練習です。
用語を丸暗記しただけの状態は、科目Aでは点が取れても科目Bで崩れます。一つひとつの対策について「何を防ぐためのものか」を言えるかどうかを、復習のたびに確かめてください。
まとめ
- 情報セキュリティマネジメント試験は、IPAが実施する国家試験で、受験資格はありません。
- CBT方式・通年実施のため、仕上がりに合わせて受験日を決められます。
- 出題は科目A 48問・科目B 12問の合計60問、試験時間は120分、多肢選択式です。
- 合格率はおおむね70%前後ですが、用語の区別を曖昧にしたままだと科目Bでつまずきます。
- 2027年度から科目Aの出題分野の体系が見直されるため、教材の対応範囲を確認してください。
学習の中身については、講座のページで分野ごとの扱いを公開しています。無料で見られる授業動画もあるので、説明の細かさや板書の見やすさを確かめたうえで判断してください。

