「行政書士試験は合格率が1割ちょっとと聞くけれど、本当に難しいのか」「去年より合格率が上がったのは、問題がやさしくなったからなのか」。受験を考え始めると、まず気になるのが合格率と難易度です。この記事では、行政書士試験研究センターが公表している数字だけを使って、合格率の推移と、その数字の読み方を整理します。
結論から言うと、令和7年度の合格率は14.54%でした。ただし、合格率は「何人が受かったか」を受験者数で割った結果にすぎません。合格枠があらかじめ決まっているわけではないので、数字だけで難易度を決めつけず、見方を知っておくことが大切です。
この記事の数字は、2026年10月13日に確認した公式発表(令和8年1月28日公表の令和7年度実施結果の概要など)によるものです。令和8年度の結果は、公表後に行政書士試験研究センターのサイトで確認してください。
令和7年度の結果|受験者・合格者・合格率
令和7年度の試験は、令和7年11月9日(日)に47都道府県62試験場で実施されました。公表された主な数字は次のとおりです。
| 項目 | 令和7年度 | 前年度(令和6年度) |
|---|---|---|
| 受験申込者数 | 63,845人 | 59,832人 |
| 受験者数 | 50,163人 | 47,785人 |
| 合格者数 | 7,292人 | 6,165人 |
| 合格率 | 14.54% | 12.90% |
| 合格者の平均得点 | 197点 | 198点 |
受験率(申込者のうち実際に受験した人の割合)は78.57%でした。申し込んでも約2割の人は当日受けていないことになります。
合格率の分母に注意する
行政書士試験研究センターが示す合格率は、合格者数を受験者数で割った値です。令和7年度なら 7,292 ÷ 50,163 で14.54%です。
仮に、申込者数(63,845人)を分母にして計算すると、7,292 ÷ 63,845 で約11.4%になります。これは筆者が公表数字から計算した参考値で、公式の合格率ではありません。ほかの資格の合格率と比べるときは、どちらを分母にした数字なのかをそろえないと、比較が正しくなりません。
合格率を見るときは「分母は受験者か、申込者か」を確認します。行政書士試験の公式の合格率は、受験者を分母にしています。
過去10年の推移
同じセンターが公表している「最近10年間の推移」を表にします(平成28年度〜令和7年度)。
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 令和7年度 | 50,163人 | 7,292人 | 14.54% |
| 令和6年度 | 47,785人 | 6,165人 | 12.90% |
| 令和5年度 | 46,991人 | 6,571人 | 13.98% |
| 令和4年度 | 47,850人 | 5,802人 | 12.13% |
| 令和3年度 | 47,870人 | 5,353人 | 11.18% |
| 令和2年度 | 41,681人 | 4,470人 | 10.72% |
| 令和元年度 | 39,821人 | 4,571人 | 11.48% |
| 平成30年度 | 39,105人 | 4,968人 | 12.70% |
| 平成29年度 | 40,449人 | 6,360人 | 15.72% |
| 平成28年度 | 41,053人 | 4,084人 | 9.95% |
この表から読み取れることを3つ挙げます。
- 合格率は毎年変わる。 10年間で最も低いのは平成28年度の9.95%、最も高いのは平成29年度の15.72%です。直近3年は12.90%〜14.54%の間にあります。
- 受験者数は令和7年度が10年で最多。 平成28年度の41,053人から、令和7年度は50,163人に増えています。
- 合格者数も年によって大きく動く。 4,000人台の年もあれば、7,000人を超えた令和7年度のような年もあります。
なぜ合格率が毎年変わるのか
行政書士試験の合格基準は、相対評価(上位○%を合格にする方式)ではなく、決まった得点を取れたかどうかで判定する絶対評価です。令和7年度の「合否判定基準」では、次の3つをすべて満たした人が合格とされています。
| 要件 | 令和7年度の基準点 |
|---|---|
| 法令等科目(244点満点)の得点 | 122点以上 |
| 基礎知識科目(56点満点)の得点 | 24点以上 |
| 試験全体(300点満点)の得点 | 180点以上 |
全体で180点以上というのは、300点満点の6割です。基準点を満たした人が多い年は合格率が上がり、少ない年は下がります。問題の難しさ、受験者の準備の状況、基礎知識科目の出来など、さまざまな要因が重なって結果が決まるため、合格率の上下だけで「今年は問題がやさしかった」とは言い切れません。
なお、基準点は年度によって公表の内容が変わることがあります。受験する年度の「合否判定基準」は、必ず公式サイトで確認してください。配点や足切りの仕組みは、行政書士試験の科目別配点の記事と、基礎知識の足切りの記事で詳しく扱っています。
年代別に見た合格率
センターは受験者と合格者の年代別の人数も公表しています。令和7年度の人数から、筆者が計算した年代別の合格率は次のとおりです(小数第2位を四捨五入)。
| 年代 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率(計算値) |
|---|---|---|---|
| 10歳代以下 | 723人 | 66人 | 9.13% |
| 20歳代 | 8,294人 | 1,517人 | 18.29% |
| 30歳代 | 9,907人 | 1,923人 | 19.41% |
| 40歳代 | 12,161人 | 1,867人 | 15.35% |
| 50歳代 | 12,330人 | 1,445人 | 11.72% |
| 60歳代以上 | 6,748人 | 474人 | 7.02% |
| 合計 | 50,163人 | 7,292人 | 14.54% |
受験者の中心は40歳代と50歳代で、それぞれ1万2千人あまりです。一方で、合格者の人数が最も多いのは30歳代でした。年代ごとの合格率には差がありますが、年齢が合否を決めるわけではありません。勉強に使える時間や、法律を学んだ経験の有無など、年代と重なる別の要因が数字に表れていると考えられます。
また、令和7年度の合格者には、最年長77歳、最年少13歳の方がいました(いずれも1名)。幅広い年代が受験し、合格している試験だということが分かります。
数字から難易度をどう読むか
合格率が1割台前半という数字は、「受験した人の8〜9割は、その年の基準点に届かなかった」ことを示しています。ただし、これをそのまま「とても難しい試験」と受け取る前に、次の点を考えてみてください。
- 受験者の準備にばらつきがある。 申込者の約2割は当日受験しません。受験者全体の合格率は、しっかり準備した人の合格率とは一致しません。
- 基準点は絶対評価。 合格率が低い年があっても、基準点が下がるわけではありません。「何割の人が受かるか」ではなく「基準点を取れるか」を目標にします。
- 足切りがある。 法令等122点・基礎知識24点という基準があるため、得意科目だけで高得点を取っても、苦手科目で基準を割ると不合格です。
目標の置き方としては、「合格率が○%だから」と考えるよりも、「300点中180点、法令等で122点、基礎知識で24点」という具体的な得点目標を決め、そこから科目ごとの得点計画を立てるほうが現実的です。
難易度を知りたいときは、合格率のほかに、受験者数・合格者平均得点(令和7年度は197点)・基準点の3つを合わせて見ます。
合格者の平均得点は何を表すか
令和7年度の合格者の平均得点は197点でした。前年度は198点です。合格基準の180点より17点ほど上ですが、これは「合格した人の平均」であり、180点ちょうどで合格した人もいれば、それより高い点で合格した人もいる、という意味です。平均得点を見ると、ぎりぎりの得点を狙うよりも、少し余裕を持った得点計画を立てるほうが安全だと考えられます。
学習計画への生かし方
合格率や年代別のデータから、これから学習を始める人が生かせるポイントを整理します。
- 得点目標を先に決める。 全体180点、法令等122点、基礎知識24点を満たす配分を考え、苦手になりやすい科目を早めに見つけます。
- 試験直前まで学習を続けられる計画にする。 申込者の約2割が当日受験しないという事実は、準備を続けることの難しさも映しています。無理のない週間計画にします。
- 公式の試験案内を最初に読む。 試験日・受験手数料・出題範囲は年度ごとに変わります。試験直前1か月の過ごし方の記事や、行政書士試験の概要の記事とあわせて確認してください。
学習の進め方に迷う場合は、行政書士講座のページで講座の内容を確認できます。現在、講座は販売の準備中ですが、章立てや授業の一覧は講座ページで確認できます。
まとめ
- 令和7年度の合格率は14.54%(受験者50,163人、合格者7,292人)。過去10年では9.95%〜15.72%の範囲で動いています。
- 公式の合格率は受験者を分母にした数字です。申込者を分母にすると令和7年度は約11.4%(筆者の計算値)になります。
- 合格基準は絶対評価で、法令等122点以上・基礎知識24点以上・全体180点以上(令和7年度)。合格率は結果であり、合格枠ではありません。
- 年代ごとに合格率は異なりますが、幅広い年代の合格者がいます。
合格率は、試験の姿を知る手がかりの一つです。数字の意味を押さえたうえで、具体的な得点目標に落とし込んでいきましょう。

