「第二種衛生管理者を取れば、会社で衛生管理者になれる? それとも第一種が必要?」という疑問への答えは、勤め先の事業場の業種で決まる、です。第二種の免許で衛生管理者に選任できるのは、農林畜水産業・鉱業・建設業・製造業など13の業種を除いた「その他の業種」です。
この記事では、労働安全衛生規則7条の条文(e-Gov法令検索で2026年10月22日に確認)をもとに、第二種で足りる業種と足りない業種、第一種との違い、迷いやすい業種の見分け方を整理します。
結論:第二種で足りるかは「13業種に入るか」で決まる
衛生管理者の選任は、労働安全衛生規則7条1項3号が、業種ごとに「どの免許を持つ人から選ぶか」を決めています。
| 事業場の業種 | 選任できる人 |
|---|---|
| 次の節に挙げる13業種 | 第一種衛生管理者免許または衛生工学衛生管理者免許を持つ人、または医師・歯科医師・労働衛生コンサルタントなど |
| 上の13業種以外(その他の業種) | 第一種・第二種・衛生工学衛生管理者のいずれかの免許を持つ人、または医師・歯科医師・労働衛生コンサルタントなど |
つまり、第二種免許は13業種では使えず、それ以外の業種なら使えます。第一種免許には業種の制限がなく、どの業種でも選任できます。
第二種は「有害業務を含まない仕事の衛生管理」用の免許、第一種は「有害業務がある仕事も含めた衛生管理」用の免許、と覚えると整理しやすくなります。試験の範囲も、第二種は有害業務に関する部分を除いたものです。
13業種を覚える:条文に書かれた順に
13業種は、条文の並びのまま覚えるのが確実です。
- 農林畜水産業
- 鉱業
- 建設業
- 製造業(物の加工業を含む)
- 電気業
- ガス業
- 水道業
- 熱供給業
- 運送業
- 自動車整備業
- 機械修理業
- 医療業
- 清掃業
試験では、この13業種に当たるかどうかを問う形で出ます。語呂合わせを使う人もいますが、頭文字だけで覚えると取り違えやすいので、条文の語を声に出して確かめる方が安全です。
取り違えやすい業種を表で整理
13業種に入るか入らないかが、うっかり逆になりやすい業種を並べます。
| 13業種に入る(第二種では選任できない) | 入らない(第二種でも選任できる) |
|---|---|
| 電気業 | 通信業 |
| ガス業 | 各種商品の小売業(百貨店・スーパーなど) |
| 水道業 | 旅館業 |
| 熱供給業 | ゴルフ場業 |
| 運送業 | 金融業 |
| 医療業 | 飲食店 |
| 清掃業 | 警備業 |
ここでの注意点は3つあります。
- 電気・ガス・水道・熱供給はまとめて13業種に入るが、通信業は入らない
- 運送業は入るが、条文に並んでいない業種は「その他の業種」になる
- 医療業は入るが、「医療」と名前につく事業がすべて医療業と決まるわけではない
3つ目や、製造業の工場内の事務所のような境界の場合は、業種の判断が分かれます。勤め先の事業場がどの業種に当たるかは、事業の実態で決まります。 自己判断で決めず、所轄の労働基準監督署に確認するのが確実です。
業種は「事業場ごと」に見る
衛生管理者を選任する単位は、会社全体ではなく事業場です。労働安全衛生法施行令4条は、衛生管理者を選任する事業場を「常時50人以上の労働者を使用する事業場」と定めています。
たとえば、本社が事務所(その他の業種)、工場が製造業(13業種)という会社を考えます。
| 事業場 | 業種 | 常時使用する労働者 | 衛生管理者に選べる免許 |
|---|---|---|---|
| 本社 | 事務所(その他の業種) | 80人 | 第一種・第二種のいずれでも |
| 工場 | 製造業(13業種) | 120人 | 第一種または衛生工学衛生管理者 |
同じ会社でも、本社は第二種の人を選任でき、工場は選任できません。「うちの会社の業種」ではなく、「その事業場の業種」で判断します。
第一種との違い:試験範囲と免許の使える範囲
第二種と第一種の違いを、試験と免許の両面で整理します。
| 項目 | 第二種衛生管理者 | 第一種衛生管理者 |
|---|---|---|
| 選任できる業種 | 13業種以外 | すべての業種 |
| 試験範囲 | 関係法令・労働衛生(有害業務を除く)・労働生理 | 関係法令・労働衛生それぞれの有害業務と有害業務以外・労働生理 |
| 問数・配点 | 30問・300点 | 5つの範囲から44問・400点(有害業務に関する範囲を含む) |
| 合格基準 | 科目ごとに40%以上かつ合計60%以上 | 同じ基準(範囲ごとに計算) |
試験の細かい配点は、安全衛生技術試験協会の資格紹介のページで確認できます。第二種の試験の基本は第二種衛生管理者試験とは? 3科目30問300点と合格基準を表で整理にまとめています。
衛生管理者の資格は免許だけではない
条文の10条は、免許以外に衛生管理者になれる資格を定めています。
- 医師
- 歯科医師
- 労働衛生コンサルタント
- そのほか厚生労働大臣の定める者
これらの資格を持つ人は、13業種の事業場でも衛生管理者に選任できます。
ただし、衛生管理者は原則としてその事業場に専属の人から選びます(規則7条1項2号)。専属とは、その事業場で働いている人、という意味です。例外は、2人以上を選任する場合で、その中に労働衛生コンサルタントがいるときの1人だけです。
選任のその他の決まり(整理)
第二種で足りるかを考えるときは、業種のほかに次の点も押さえておきます。
| 項目 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 選任する事業場 | 常時50人以上の労働者を使う事業場 | 安衛令4条 |
| 選任の期限 | 選任の理由が生じた日から14日以内 | 規則7条1項1号 |
| 報告 | 選任したら遅滞なく所轄の労働基準監督署長へ | 規則7条3項 |
| 人数 | 50人以上200人以下は1人以上、200人超500人以下は2人以上、……と6段階 | 規則7条1項4号 |
人数や期限は、授業や次の記事で詳しく扱います。業種の問題と組み合わせて出ることも多いので、あわせて見ておくと安心です。
試験での問われ方と、学習のしかた
試験では、次のような形で問われます。
- 「第二種衛生管理者免許を有する者のうちから選任できる業種はどれか」と、業種の組合せを選ばせる形式
- 選任の要件(専属・専任・期限・人数)の正誤を判断する形式
対策は、13業種の語を丁寧に覚えて、「入る」「入らない」を表で確かめることです。電気・ガス・水道は13業種に入る、通信は入らない、のような取り違えやすい点から重点的に見ます。
学習の進め方は、第二種衛生管理者講座の関係法令の授業で、業種・人数・専属専任の整理を順に確認できます。
よくある質問
Q. 第二種で取って、後から第一種に変えたくなったら?
第一種の免許は別の試験に合格して取ります。第二種の免許を持っていれば、有害業務に関する範囲だけを受ける「特例第一種」という試験もありますが、受験の条件は協会の案内で確認してください。
Q. 事務職の会社なら、第二種で必ず足りる?
事務職が中心の会社でも、事業の実態が13業種(たとえば製造業や運送業)に当たれば、第二種では選任できません。事業場の業種が基準です。迷うときは所轄の労働基準監督署に確認してください。
Q. 13業種の事業場で、第二種の免許は意味がない?
その事業場の衛生管理者には選任できませんが、その他の業種の事業場に転職したときは使えます。業種が変わっても免許はなくなりません。
まとめ
- 第二種衛生管理者の免許で選任できるのは、13業種以外の業種
- 13業種は、農林畜水産業・鉱業・建設業・製造業・電気業・ガス業・水道業・熱供給業・運送業・自動車整備業・機械修理業・医療業・清掃業
- 第一種は全業種で使える。業種の判断は事業場ごと、実態で決まるので、迷うときは労働基準監督署に確認する
- 条文(労働安全衛生規則7条)の語で確かめ、取り違えやすい業種は表で覚える
法令の数字や業種は、改正されることがあります。試験を受けるとき、また選任の手続きをするときは、e-Gov法令検索の最新の条文と、安全衛生技術試験協会・所轄の労働基準監督署の案内で確認してください。

