運行管理者試験(貨物)の労働基準法関係や実務の問題では、「拘束時間」と「休息期間」の数字が繰り返し問われます。しかし、284時間、3,300時間、13時間、15時間、9時間、11時間と、似た数字が多く、混ざりやすいところです。この記事では、トラック運転者に適用される改善基準告示(自動車運転者の労働時間等の改善のための基準)の拘束時間と休息期間を、厚生労働省の公表内容にもとづいて、1枚の表の感覚で整理します。
なお、ここに書く数字は、2024年4月1日から適用されている現行の基準です。改正前の数字は書きません。試験や実務に使うときは、最新の内容を厚生労働省の公式ページで確認してください。
結論:まず「1年・1か月・1日・休息」の4つを覚える
拘束時間とは、始業から終業までの時間で、休憩時間も含みます。実際にハンドルを握る「運転時間」とは別のものです。休息期間とは、勤務と勤務の間の、会社に拘束されずに自由に使える時間のことです。
トラック運転者の基準を一覧にすると、次のとおりです。
| 区分 | 原則 | 例外・延長の上限 |
|---|---|---|
| 1年の拘束時間 | 3,300時間以内 | 労使協定があれば3,400時間以内 |
| 1か月の拘束時間 | 284時間以内 | 労使協定があれば310時間以内(年6か月まで) |
| 1日の拘束時間 | 始業から13時間以内 | 延長する場合の上限は15時間 |
| 休息期間 | 継続11時間以上を与えるよう努めることを基本とし、9時間を下回らない | 宿泊を伴う長距離貨物運送は、週2回まで継続8時間以上 |
「日・月・年」の順に、13時間→284時間→3,300時間と大きくなります。延長できる上限は、15時間→310時間→3,400時間です。原則と上限をペアで覚えると、取り違えを減らせます。
1年と1か月の拘束時間:延長には3つの条件
1年の原則は3,300時間以内、1か月の原則は284時間以内です。労使協定、つまり会社と労働者の代表との書面による取り決めを結ぶと、延長できます。延長の条件は次の3つで、すべて同時に守る必要があります。
- 1か月を310時間まで延ばせるのは、1年のうち6か月まで
- 284時間を超える月は、連続3か月まで
- 1年の合計は3,400時間以内
たとえば、4月から6月の3か月間は284時間を超え、7月は284時間以内に収めて、8月・9月・11月にまた超えた年を考えます。超えた月は合計6か月で、連続は最長3か月です。この場合は、2つの条件を満たしています。一方、4月から7月まで4か月続けて超えた年は、年間の合計が6か月に収まっていても、連続の条件に反します。
毎月284時間ちょうどまで働かせると、12か月で3,408時間になります。これは原則の3,300時間を超え、労使協定による上限の3,400時間も超えます。1か月の上限だけを見て、1年の上限を見落とさないようにしましょう。
また、1か月の時間外労働と休日労働の合計は、100時間未満となるよう努めることとされています。こちらは「努めること」で、違反の線ではありません。
1日の拘束時間:13時間が原則、延長しても15時間
1日の拘束時間は、始業時刻から数えた24時間の中で、原則13時間以内です。延長する場合の上限は15時間です。ここでいう「1日」は、暦の日付ではなく、始業から24時間です。この点は、勤務図から拘束時間を計算する問題で大切になります。
| 見るもの | 内容 |
|---|---|
| 原則 | 13時間以内 |
| 延長の上限 | 15時間 |
| 14時間を超える回数 | できるだけ少なくする。目安は週2回まで |
| 15時間を超えられる場合 | 宿泊を伴う長距離貨物運送の特例だけ(16時間) |
「14時間を超える回数は少なくする」は、努める事項です。ただし、15時間という上限は、特例の場合を除いて超えられません。
休息期間:11時間が基本、9時間が下限
休息期間は、継続11時間以上を与えるよう努めることを基本としています。そのうえで、9時間を下回ってはいけません。つまり、11時間は努力目標、9時間は違反になる境目です。
勤務の長さと休息の関係は、次のように考えると整理できます。
| 拘束時間の例 | 休息期間 | 合計 |
|---|---|---|
| 13時間(原則の上限) | 11時間 | 24時間 |
| 15時間(延長の上限) | 9時間 | 24時間 |
15時間まで働いた日でも、休息期間は9時間以上が必要です。始業から24時間で区切って考えると、拘束時間と休息期間の合計が24時間になるため、数字のつじつまを確かめやすくなります。
宿泊を伴う長距離貨物運送の特例
次の条件を満たすときは、1日の拘束時間と休息期間に特例があります。
| 項目 | 特例の内容 |
|---|---|
| 対象 | その1週間の運行が、すべて450km以上の長距離貨物運送であり、一の運行における休息期間を住所地以外の場所でとる場合 |
| 1日の拘束時間 | 週2回まで16時間にできる |
| 休息期間 | 週2回まで継続8時間以上にできる |
| 休息期間が9時間を下回ったとき | 運行が終わった後に、継続12時間以上の休息期間を与える |
「一の運行」とは、営業所を出発してから、営業所に帰着するまでをいいます。
試験で狙われやすい誤りは、特例を広げて読んでしまうものです。
特例を使えるかどうかを判断するときは、次の3点を順に確かめます。
- 週の運行:その週のすべての運行が450km以上か。1回でも短い運行があれば対象外です
- 休む場所:休息期間を住所地(自宅)以外でとるか。自宅で休むなら対象外です
- 回数:16時間も休息8時間も、使えるのは週に2回までです
また、休息期間が9時間を下回った場合は、運行が終わった後に、継続12時間以上の休息期間が必要になります。「帰着後は通常どおりでよい」という読み方は誤りです。
特例の細かい条件は、2人乗務、隔日勤務、フェリー乗船などの特例とは別の話です。これらの特例は別の記事で比較表にまとめる予定です。この記事では、長距離貨物運送の特例だけを扱いました。
試験での問われ方と覚え方
運行管理者試験では、改善基準告示の数字を使った問題が、労働基準法関係や実務上の知識の分野で出題されます。よくある問われ方は、次の3つの型です。
- 数字の入れ替え:13時間と15時間、9時間と11時間、284時間と310時間などを入れ替えて、正しいか誤りかを問う型
- 条件の読み違い:「連続3か月」「年6か月まで」「週2回まで」といった回数・期間の条件が、正しく書かれているかを問う型
- 事例の当てはめ:勤務の記録から、ある日の拘束時間や休息期間が基準に合っているかを確かめる型
覚え方のコツは、数字を「原則」「延長の上限」「努めること」の3つに分けて、紙に書き出すことです。
| 分類 | 数字 |
|---|---|
| 原則 | 1年3,300時間/1か月284時間/1日13時間/休息11時間(努める) |
| 上限(超えたら違反) | 1年3,400時間/1か月310時間/1日15時間/休息9時間(下限) |
| 回数・期間の条件 | 310時間は年6か月まで/284時間超は連続3か月まで/長距離の特例は週2回まで |
この表を白紙に書けるようになると、数字の入れ替えには強くなります。
授業・講座で学ぶなら
拘束時間と休息期間は、数字を覚えるだけでなく、「なぜその数字になるのか」を勤務の流れで追うと定着しやすい論点です。運行管理者(貨物)講座では、改善基準告示の拘束時間と休息期間を、具体的な運転者の勤務に当てはめながら学べます。講座ページで授業の一覧と内容を確認してみてください。
試験の全体像を先に知りたい方は、運行管理者(貨物)試験とは? 30問・CBT・合格基準と5分野の問題数もあわせてどうぞ。
まとめ
- 拘束時間の原則は、1年3,300時間・1か月284時間・1日13時間。延長の上限は、3,400時間・310時間・15時間です。
- 労使協定による延長は、「年6か月まで」「284時間超は連続3か月まで」「1年3,400時間以内」を同時に守ります。
- 休息期間は、継続11時間以上を基本とし、9時間を下回ってはいけません。
- 16時間・休息8時間の特例は、その週の運行がすべて450km以上で、住所地以外で休息をとる場合の、週2回までです。
- 数字は「原則」「上限」「努めること」に分けて整理すると、取り違えを防げます。
この記事の内容は、2026年10月14日時点で確認した厚生労働省の公表内容にもとづきます。基準は見直されることがあるため、最新の内容は厚生労働省の公式ページでご確認ください。

