国内旅行業務取扱管理者試験の旅行業法では、「第3種は海外を扱えるのか」「地域限定は相談も区域の中だけか」といった、登録の種別ごとの業務範囲が繰り返し問われます。種別が4つあるうえに、募集型や受注型といった言葉も絡むため、混乱しやすい分野です。この記事では、旅行業法と旅行業法施行規則の条文にそって、登録の種別と業務範囲を表で整理します。
条文は2026年10月14日時点でe-Gov法令検索で確認した内容です。試験では、その年度に定められた基準日時点の法令が問われます。最新の制度は公式サイトでご確認ください。
登録は「旅行業」と「旅行業者代理業」の2本立て
旅行業法3条は、旅行業または旅行業者代理業を営もうとする者は、観光庁長官の行う登録を受けなければならないと定めています。登録の申請書には、営業所の名称や所在地などと並んで、「業務の範囲の別」を書くことが4条に定められています。この業務の範囲の別が、一般に「種別」と呼ばれるものです。
観光庁の旅行業法概要のページでも、旅行業者等は業務の範囲によって、第1種、第2種、第3種、地域限定旅行業者、旅行業者代理業者に区分されると説明されています。整理すると次のとおりです。
| 区分 | どんな事業か | 根拠 |
|---|---|---|
| 旅行業(第1種・第2種・第3種・地域限定) | 自社で旅行の計画を作ったり、手配したり、相談に応じたりする | 法2条1項 |
| 旅行業者代理業 | 特定の旅行業者に所属し、その旅行業者のために代理して契約を結ぶ | 法2条2項 |
旅行業の4種類の違いは、扱える業務の範囲の違いです。施行規則1条の3が、それぞれの範囲を「第一種旅行業務」から「地域限定旅行業務」まで定めています。
業務範囲を読むための2つの軸
業務範囲を比べるときは、軸を2つ持つと整理しやすくなります。
1つ目は、業務の種類です。
| 業務 | 中身のイメージ |
|---|---|
| 募集型企画旅行 | 旅行会社があらかじめ計画を作り、参加者を募集して実施するパッケージツアー |
| 受注型企画旅行 | 学校や会社などから依頼を受けて、旅行の計画を作って実施する旅行 |
| 手配旅行 | 旅行者に頼まれて、航空券や宿泊を手配する旅行 |
| 旅行相談 | 旅行に関する相談に応じる業務 |
募集型と受注型は、どちらも法2条1項1号の行為で、まとめて「企画旅行」と呼ばれます。手配旅行は3号などの行為、相談は9号の行為です。
2つ目は、海外か国内かです。 法令では「本邦外」「本邦内」という言葉を使います。
そして、種別ごとの違いは、ほとんどが「どの企画旅行を実施できるか」で決まります。ここがいちばん大事な点です。
種別ごとの業務範囲
施行規則1条の3の定めを、順に見ていきます。
第1種旅行業
法2条1項に掲げる行為の全部を実施できます。海外の募集型企画旅行も、国内の募集型企画旅行も、受注型、手配、相談も、すべて扱えます。
第2種旅行業
第2種は、海外の募集型企画旅行の実施だけができません。条文は、本邦外の企画旅行(募集型に限る)の実施に係るもの以外、という書き方をしています。
つまり、国内の募集型は実施できます。海外であっても、受注型や手配旅行、相談はできます。たとえば第2種の会社が、依頼を受けて社員旅行の海外プランを作ることは、受注型なので問題ありません。
第3種旅行業
第3種は、募集型企画旅行が拠点区域の中で実施するものだけに限られます。海外の募集型は実施できず、国内の募集型も拠点区域の外には出られません。
一方で、受注型、手配、相談には、この制限がかかりません。海外旅行の依頼を受けて計画を作る受注型や、海外の宿の手配も、第3種の会社は扱えます。
地域限定旅行業
地域限定は、さらに範囲が狭くなります。企画旅行(募集型・受注型)は拠点区域の中で実施するものだけです。さらに、手配旅行のもとになる法2条1項3号から5号の行為も、一の行為ごとに拠点区域内の運送等サービスの提供に係るものだけが対象です。
ただし、旅行相談には区域の制限がありません。条文が制限している行為の中に、相談(9号)は入っていないためです。
比較表
| 種別 | 海外の募集型 | 国内の募集型 | 受注型 | 手配旅行 | 相談 |
|---|---|---|---|---|---|
| 第1種 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 第2種 | × | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 第3種 | × | 拠点区域内のみ | ○ | ○ | ○ |
| 地域限定 | × | 拠点区域内のみ | 拠点区域内のみ | 拠点区域内のみ | ○ |
海外の募集型を実施できるのは第1種だけ。相談は、どの種別でも区域の制限がない。この2点を軸にすると、表を丸暗記せずに復元できます。
拠点区域とは
第3種と地域限定に出てくる拠点区域は、施行規則1条の3で、次の3つを合わせた区域と読み取れます。
- 自社の営業所が存する市町村(特別区を含む)
- これに隣接する市町村
- 観光庁長官の定める区域
しかも、条文には「一の企画旅行ごとに一の拠点区域内において」とあります。つまり、1つのツアーが1つの拠点区域の中で完結している必要があります。
たとえば、A市に営業所がある会社の拠点区域は、A市とA市に接する市町村です。A市とは接していない遠くのB市は、原則として含まれません。ただし、観光庁長官が定める区域があれば、それも加わります。
登録を受ける行政庁も種別で違う
業務範囲だけでなく、登録の申請先も種別で分かれます。施行規則1条の2は、次のように定めています。
| 区分 | 登録の申請先 |
|---|---|
| 第1種旅行業 | 観光庁長官 |
| 第2種・第3種・地域限定旅行業 | 主たる営業所の所在地を管轄する都道府県知事 |
| 旅行業者代理業 | 主たる営業所の所在地を管轄する都道府県知事 |
また、旅行業の登録の有効期間は、法6条の2により、登録の日から起算して5年です。更新を受けるには、有効期間満了の日の2か月前までに申請書を出すことが、施行規則1条の2に定められています。
受託契約と旅行業者代理業の違い
ここで混同しやすいのが、旅行業者代理業と受託契約です。
旅行業者代理業は、所属する旅行業者のために、法2条1項1号から8号の行為を代理して契約を結ぶ事業です(法2条2項)。独立して自分の名前で企画を作るのではなく、あくまで所属先の代理人です。
受託契約は、旅行業者が、他の旅行業者が実施する募集型企画旅行について、その旅行業者を代理して契約を結ぶ約束をすることです(法14条の2)。受託契約を結んだ旅行業者は、旅行業者代理業の登録を受けなくても、委託した旅行業者を代理して企画旅行契約を結べます。
受託契約では、代理して契約できる営業所をあらかじめ定めておく必要があります(法14条の2第3項)。
たとえば、第3種の旅行会社が、自社では実施できない海外の募集型ツアーを、第1種の会社との受託契約によって店頭で販売するケースです。実施の主体はあくまで第1種の会社ですから、「実施できる範囲の制限」には反しません。種別が制限しているのは、自ら実施することだと押さえてください。
試験での問われ方と間違えやすいところ
出題では、「この種別は〜を実施できるか」を正誤で判断させる形がよく見られます。間違えやすいのは、制限を広げすぎることです。
- 第3種は海外が一切扱えないわけではない。制限は募集型にかかる
- 第2種は海外の企画旅行がすべてできないのではない。できないのは海外の募集型
- 地域限定でも、相談には区域の制限がない
- 受託契約があれば、代理業の登録がなくても他社の募集型を代理して売れる
迷ったときは、まず「募集型か、それ以外か」を切り分け、次に「海外か国内か」「拠点区域の中か外か」を当てはめると、落ち着いて判断できます。
授業・講座で学ぶには
この分野は、図と一覧表を見ながら、種別ごとに「できること・できないこと」を整理すると定着しやすくなります。資格のエアポートの国内旅行業務取扱管理者講座では、旅行業法の登録の種別と業務範囲を授業で順を追って学べます。試験全体の仕組みは、国内旅行業務取扱管理者試験とはで整理しています。
まとめ
- 旅行業の登録は、第1種・第2種・第3種・地域限定の4種類。別に旅行業者代理業がある
- 業務範囲の違いは、主に募集型企画旅行の実施範囲の違い。海外の募集型は第1種だけ
- 第3種・地域限定の企画旅行は、一の企画旅行ごとに一の拠点区域内が条件
- 相談は、どの種別でも区域の制限がない
- 登録の申請先は、第1種が観光庁長官、それ以外は都道府県知事。旅行業の登録の有効期間は5年
- 受託契約を結べば、代理業の登録がなくても他社の募集型を代理して売れる
条文は改正されることがあります。受験する年度の基準日に施行されている規定を、観光庁やe-Gov法令検索で確認してから仕上げてください。

