「行政書士に興味はあるけれど、どんな試験なのかよく分からない」「何を、どのくらい取れれば合格なのか知りたい」。この記事は、そんな方に向けて、行政書士試験の全体像を整理したものです。
試験を実施しているのは、一般財団法人 行政書士試験研究センターです。この記事の数字や条件は、同センターの公式サイトで確認した内容にもとづいています。年度によって変わる部分もあるため、受験する年度の案内は必ず公式サイトで見てください。
行政書士試験は「法令等」と「基礎知識」の2つの科目からなり、合格には3つの基準をすべて満たす必要があります。ひとつでも下回ると、全体が高得点でも合格にはなりません。
行政書士試験の基本情報
まずは、試験の基本的な形を表にまとめます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 実施機関 | 一般財団法人 行政書士試験研究センター |
| 受験資格 | 年齢、学歴、国籍等に関係なく、どなたでも受験できる |
| 試験の方式 | 筆記試験 |
| 試験時間 | 午後1時から午後4時まで(3時間) |
| 出題数 | 合計60問(法令等46問・基礎知識14問) |
| 出題形式 | 法令等は択一式と記述式、基礎知識は択一式 |
| 出題の法令基準日 | 試験を実施する日の属する年度の4月1日現在で施行されている法令 |
受験資格に制限がないので、学生の方でも社会人の方でも、思い立ったときに挑戦できます。
令和8年度の試験は、令和8年11月8日(日)の午後1時から午後4時までと案内されています(2026年10月2日に公式サイトで確認)。受験手数料や申込期間などの最新情報は、同センターのサイトで確認してください。
法令の基準日に注意
出題される法令は、「試験を実施する日の属する年度の4月1日現在で施行されている法令」と案内されています。令和8年度の試験なら、令和8年4月1日時点で施行されている法令が基準です。
テキストや問題集を選ぶときは、その基準日以降の法改正が反映されているかを確かめましょう。古い版を使うと、改正前の内容を覚えてしまうおそれがあります。
試験科目と出題形式
試験科目は2つです。公式サイトでは次のように示されています。
| 科目 | 出題数 | 範囲(公式の表現) |
|---|---|---|
| 行政書士の業務に関し必要な法令等 | 46問 | 憲法、行政法(行政法の一般的な法理論、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法及び地方自治法を中心とする)、民法、商法及び基礎法学 |
| 行政書士の業務に関し必要な基礎知識 | 14問 | 一般知識、行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令、情報通信・個人情報保護及び文章理解 |
「法令等」は、いわゆる法律科目です。行政法と民法が中心で、憲法、商法、基礎法学も出ます。「基礎知識」は、一般知識(政治・経済・社会など)や情報通信・個人情報保護、文章理解などの幅広い分野を扱います。
出題形式は3種類
法令等の46問には、形式の違う問題が混ざっています。令和7年度の合否判定基準では、次の内訳が公表されています。
| 形式 | 出題数 | 満点 |
|---|---|---|
| 5肢択一式(法令等) | 40問 | 160点 |
| 多肢選択式(法令等) | 3問 | 24点 |
| 記述式(法令等) | 3問 | 60点 |
| 法令等の計 | 46問 | 244点 |
| 5肢択一式(基礎知識) | 14問 | 56点 |
| 合計 | 60問 | 300点 |
1問あたりの点数は、5肢択一式が4点、多肢選択式が1問8点(空欄ア〜エの一つにつき2点)、記述式が1問20点です。記述式は、40字程度で答えを書く形式と案内されています。
配点は事前に公表されるものではなく、合否発表の際に「合否判定基準」として公表されます。上の表は令和7年度の公表値です。令和8年度の配点は、結果発表の際に公式サイトで確認してください。
法令等の点数のうち、約4分の1は記述式
上の表のとおり、法令等244点のうち記述式が60点です。割合にすると、法令等の4分の1ほどを占めます。
記述式は、択一式のように選択肢から選ぶのではなく、自分で文章を組み立てます。配点が大きい分、対策を後回しにすると取りこぼしが響きます。なお、択一式の採点を終えた段階で合格基準を満たしていないと認められる場合、記述式の採点を行わないことがあると案内されています。まずは択一式で基準に届く力をつけることが大切です。
合格基準は3つの条件
合格基準は、次の3つをすべて満たすことです。
- 「法令等」科目の得点が、満点の50パーセント以上
- 「基礎知識」科目の得点が、満点の40パーセント以上
- 試験全体の得点が、満点の60パーセント以上
令和7年度の合格基準点は、公表された合否判定基準によると次のとおりでした。
| 条件 | 満点 | 合格基準点(令和7年度) |
|---|---|---|
| 法令等科目 | 244点 | 122点以上 |
| 基礎知識科目 | 56点 | 24点以上 |
| 試験全体 | 300点 | 180点以上 |
全体で180点を取っていても、基礎知識が24点に届かなければ不合格です。逆に、法令等で高得点でも、基礎知識が基準を下回れば同じです。基礎知識の基準点が、いわゆる「足切り」と呼ばれる部分です(対策は別の記事で扱います)。
基準は年度によって見直されることがある
公式サイトには、「合格基準については、試験問題の難易度を評価し、補正的措置を加えることがあります」と書かれています。その年度の試験問題の難易度が過去と比べて著しく変動していると認められた場合に、合格基準点を見直すという措置です。
したがって、基準点は固定の数字ではなく、「基本は3つの基準で、年度によって補正があり得る」と理解しておくのが正確です。その年度の合格基準点は、結果発表の際にセンターのサイトで公表されます。
令和7年度の結果から見る試験の規模
参考までに、令和7年度(令和7年11月9日実施)の実施結果の概要から、いくつかの数字を挙げます。
| 項目 | 令和7年度 |
|---|---|
| 受験申込者数 | 63,845人 |
| 受験者数 | 50,163人 |
| 合格者数 | 7,292人 |
| 合格率 | 14.54% |
| 合格者平均得点 | 197点 |
(行政書士試験研究センター「令和7年度行政書士試験実施結果の概要」より。令和8年1月28日付)
受験者数は5万人を超える規模の試験で、合格率は14.54%でした。合格率の見方は、別の記事でていねいに扱う予定です。数字だけを見て難しさを決めつけず、どんな形式でどう得点するかを押さえることが先です。
学習の入り口でやっておきたいこと
試験の形が分かったら、学習の入り口では次の3点を意識するとよいでしょう。
- 配点の大きい科目を知る:法令等が244点、基礎知識が56点です。法令等の中でも、行政法と民法は「中心」とされる範囲です。学習時間の配分を考えるときの出発点になります。
- 基礎知識の基準点を意識する:全体の点数が取れても、基礎知識で基準に届かないと合格できません。どの科目も「0点にしない」計画が必要です。
- 記述式を早めに体験する:40字程度で書く形式に慣れるには、早めに自分の手で書いてみるのが近道です。
資格のエアポートでは、行政書士講座のページで講座の内容を確認できます。試験の全体像をつかんだあと、どんな順番で学ぶかを考える際の参考にしてください。
まとめ
- 行政書士試験は、受験資格に制限がなく、誰でも受けられる筆記試験です。試験時間は3時間です。
- 科目は「法令等」46問と「基礎知識」14問の計60問。形式は5肢択一式・多肢選択式・記述式の3種類です。
- 令和7年度の配点は300点満点(法令等244点・基礎知識56点)。記述式は1問20点です。
- 合格には、法令等50%以上、基礎知識40%以上、全体60%以上の3つの条件をすべて満たす必要があります。基準点は難易度により補正されることがあります。
- 出題の法令は、試験を実施する年度の4月1日現在で施行されているものが基準です。
試験の日程・手数料・申込方法・当年度の配点などは、年度によって変わります。受験する年度の最新情報は、必ず行政書士試験研究センターの公式サイトで確認してください。

