「記述式は配点が大きいと聞くけれど、そもそもどんな問題なのか」「40字も書けるだろうか」。行政書士試験の学習を始めたばかりの方が、最初につまずきやすいのが記述式です。この記事では、行政書士試験研究センターの公表資料をもとに、記述式の出題形式・配点・採点の扱いを整理し、短い答案を書くための考え方を紹介します。
結論から言うと、記述式は「法令等科目の3問・各20点・40字程度」という小さな枠ですが、全体300点のうち60点を占めます。択一式とは別の準備が必要ですが、特別な才能が要るわけではなく、条文の要件と効果を短くまとめる練習で対応できる分野です。
配点と問題数は令和7年度(令和7年11月9日実施)の合否判定基準によるものです。受験する年度の最新の試験案内は、必ず行政書士試験研究センターの公式サイトで確認してください。
記述式の基本 — 出題形式と配点
令和7年度の合否判定基準では、試験の配点は次のとおりです。
| 試験科目 | 出題形式 | 出題数 | 満点 |
|---|---|---|---|
| 法令等 | 5肢択一式 | 40問 | 160点 |
| 法令等 | 多肢選択式 | 3問 | 24点 |
| 法令等 | 記述式 | 3問 | 60点 |
| 基礎知識 | 5肢択一式 | 14問 | 56点 |
| 合計 | 60問 | 300点 |
問題別の配点は、5肢択一式が1問4点、多肢選択式が1問8点(空欄ア〜エ一つにつき2点)、記述式が1問20点です。記述式3問で60点ですから、法令等の244点の約4分の1、試験全体の300点の20%にあたります。
記述式が出題されるのは法令等科目だけで、基礎知識は5肢択一式のみです。令和7年度の問題冊子では、問題44〜問題46が記述式でした。試験全体の配点配分については、行政書士試験の科目別の配点と得点の組み立て方でも整理しています。
字数と答案用紙のルール
令和8年度の試験案内には、「記述式は、40字程度で記述するものを出題します」と書かれています。問題数や配点は、この案内のページには記載がなく、上で見た合否判定基準で確認できます。
令和7年度の問題冊子では、記述式の問題の冒頭に、次のような趣旨の注意書きがありました。
- 解答は、必ず答案用紙裏面の解答欄(マス目)に記述すること
- 字数には、句読点も含む
つまり、マス目に1字ずつ書く形式で、句読点も1字として数えます。「40字程度」という案内は、おおむね40字前後に収まる答えを求めているという意味です。字数の細かい扱い(何字までなら許容されるか等)は、今回確認した資料には書かれていないため、ここでは触れません。
採点の扱い — 記述式が採点されない場合がある
見落としやすいのが、採点の順序です。令和8年度の試験案内には、択一式の採点後に合格基準を満たしていないと認められた場合は、記述式を採点しないことがあり、その場合は合否通知書にその旨が記載される、という案内があります。
これは、記述式の出来にかかわらず、択一式の段階で合格の見込みがなくなると、記述式は読まれない場合があるということです。したがって、記述式の対策だけを厚くしても、択一式(法令等の択一・多肢選択式と、基礎知識)が基準に届かなければ意味がありません。
記述式は「択一式で基準に届いた人が、さらに得点を上乗せする部分」と考えると、学習の優先順位をつけやすくなります。基礎知識の基準点については、基礎知識の足切りを避ける考え方をご覧ください。
なお、記述式の採点基準(どの要素を書けば何点か、部分点があるか等)について、今回確認した公式資料には記載がありませんでした。市販の解説や予備校の解答例は、あくまで各社の見解であり、公式の採点基準ではない点に注意してください。
令和7年度の合格基準と記述式の位置づけ
令和7年度の合格基準点は、次の3つをすべて満たすことでした。
| 要件 | 基準点 |
|---|---|
| 法令等科目の得点 | 122点以上(244点満点) |
| 基礎知識科目の得点 | 24点以上(56点満点) |
| 試験全体の得点 | 180点以上(300点満点) |
法令等の122点は、記述式を含めた244点に対する基準です。記述式の60点は、法令等だけでなく試験全体の180点にも算入されます。たとえば、択一式と多肢選択式の得点が同じでも、記述式で何点取れたかによって、全体の合否ラインまでの距離は大きく変わります。逆に、記述式を白紙にすると60点ぶんを最初から手放すことになるため、択一式でその差を取り戻す必要があります。
記述式は3問しかないので、1問の出来が20点の差になります。択一式1問(4点)の5問ぶんに相当する重さです。だからこそ、「難しそうだから捨てる」と決めるのではなく、書ける問題を1問でも確実に拾う姿勢が大切です。
短い答案を書くための考え方
ここからは、公式に示された方法ではなく、学習上の一般的な考え方です。
1. 条文の「要件」と「効果」を骨組みにする
法律の条文は、「〜の場合には、〜することができる」のように、条件(要件)と結果(効果)でできています。記述式の問題でも、まず「何を聞かれているのか」を見きわめ、答えが「要件」なのか「効果」なのか「理由」なのかを分けて考えます。
2. 聞かれていることに直接答える
40字は短いため、背景の説明を書く余裕はありません。問題文が「どのような手続をとるべきか」と聞いているなら手続を、「どのような主張ができるか」と聞いているなら主張を、先頭に置きます。
3. 主語と述語をそろえる
短い文章ほど、主語と述語がずれると意味が通らなくなります。書き終えたら、「誰が」「何を」「どうする」が一文で読み取れるかを確認します。
4. 条文のキーワードを覚えておく
字数が限られる以上、法律用語を正確に使えるほうが有利です。条文の言い回しを、意味と一緒に覚えておくと、40字の中に必要な内容を収めやすくなります。
5. 手で書く練習をする
マス目に句読点まで入れて書く経験は、頭の中で考えるだけでは身につきません。同じ答えを、いくつかの言い方で40字前後に書き分ける練習をすると、字数調整に慣れます。
記述式の準備は、「知識を覚える」→「40字にまとめる」→「手で書く」の順に進めると無理がありません。
講座での学習について
行政書士の講座は、授業を制作中で、現在は販売準備中です。講座の内容は、行政書士講座のページで確認できます。独学の場合も、まずは択一式の学習で条文と判例の理解を固め、そのうえで記述式の練習を始める流れが取り組みやすいでしょう。
まとめ
- 記述式は法令等科目の3問で、令和7年度は1問20点・計60点(全体300点の20%)
- 解答は40字程度。令和7年度の問題冊子では、字数に句読点も含むと注記されていた
- 択一式の採点後に合格基準を満たさないと認められた場合、記述式は採点されないことがある
- 記述式の採点基準は、今回確認した公式資料には記載がない
- 対策は、要件と効果を短くまとめる練習と、実際にマス目へ書く練習の積み重ね
試験日程や配点などの最新情報は、受験する年度の行政書士試験研究センターの案内でご確認ください。

