「行政書士試験は、どの科目に何点が割り当てられているのか」「行政法と民法が大事と聞くが、どれくらい大事なのか」。勉強の時間配分を決めるときに、最初に知りたいのがこの点です。この記事では、公式に公表された令和7年度の配点をもとに、科目ごとの得点の重みを整理します。
結論から言うと、行政法と民法の2科目で、300点満点のうち約6割(172点、約57%)を占めます。ただし、科目ごとの配点を示した公式の表はありません。この記事の科目別の数字は、公表された設問ごとの配点に、問題の主題から筆者が科目を割り振って集計したものです。分類の仕方で多少ずれる可能性があることを、先にお断りします。
配点は年度ごとに公表されるものです。ここで挙げる数字は令和7年度(令和7年11月9日実施)のものです。令和8年度の配点は、合否発表の際に公式サイトで確認してください。
公表されている配点の基本
まず、公式の「合否判定基準」で公表された令和7年度の配点を表にします。
| 試験科目 | 出題形式 | 出題数 | 満点 |
|---|---|---|---|
| 法令等 | 5肢択一式 | 40問 | 160点 |
| 法令等 | 多肢選択式 | 3問 | 24点 |
| 法令等 | 記述式 | 3問 | 60点 |
| 法令等 計 | 46問 | 244点 | |
| 基礎知識 | 5肢択一式 | 14問 | 56点 |
| 合計 | 60問 | 300点 |
問題別の配点は、5肢択一式が1問4点、多肢選択式が1問8点(空欄ア〜エ1つにつき2点)、記述式が1問20点です。
行政書士試験研究センターのFAQによると、具体的な配点は事前には公表されず、合否発表のときに「合否判定基準」として、法令等と基礎知識の満点、設問ごとの得点が公表されます。つまり、受験する年の配点は試験が終わるまで分かりません。ただし、令和7年度の公表値は、令和8年度の案内にある出題数(法令等46問・基礎知識14問)と同じ構成です。学習計画の目安としては十分に使えます。
科目別に集計すると何点になるか
令和7年度の試験問題を見ると、法令等の問題は、おおむね次の順序で並んでいました。問題1〜2が基礎法学、問題3〜7が憲法、問題8〜26が行政法、問題27〜35が民法、問題36〜40が商法・会社法です。続く多肢選択式の3問は憲法の主題、記述式の3問は、問題44が行政法、問題45・46が民法の主題でした。
この並びと、先ほどの問題別の配点を組み合わせて集計したのが次の表です。
| 科目 | 択一式 | 多肢選択式 | 記述式 | 合計 | 満点300点に対する割合 |
|---|---|---|---|---|---|
| 基礎法学 | 2問(8点) | — | — | 8点 | 約2.7% |
| 憲法 | 5問(20点) | 3問(24点) | — | 44点 | 約14.7% |
| 行政法 | 19問(76点) | — | 1問(20点) | 96点 | 32.0% |
| 民法 | 9問(36点) | — | 2問(40点) | 76点 | 約25.3% |
| 商法・会社法 | 5問(20点) | — | — | 20点 | 約6.7% |
| 法令等 計 | 40問(160点) | 3問(24点) | 3問(60点) | 244点 | 約81.3% |
| 基礎知識 | 14問(56点) | — | — | 56点 | 約18.7% |
各科目の合計をたすと244点になり、公表された法令等の満点と一致します。行政法96点と民法76点の合計は172点で、300点に対して約57%、法令等244点に対して約70%にあたります。「約6割」は、この計算にもとづいています。
行政法は1科目で全体の3分の1近く(96点)を占めます。択一式19問に加えて、記述式1問(20点)も行政法です。民法も記述式2問(40点)を含むため、択一式の問題数以上に点数の比重が大きくなります。
なお、この集計には次の前提があります。
- 問題の科目は、公式の問題冊子に科目名が書かれていないため、問題の主題から筆者が分類しました。
- 行政法には、個人情報保護法や情報公開法を扱う問題も含めています。
- 年度によって、科目ごとの出題数は変わることがあります。
「記述式の20点」の重さ
記述式は、1問20点です。択一式1問が4点ですから、記述式1問は択一式5問ぶんにあたります。3問で60点ですから、法令等の約4分の1(244点のうち60点)です。
記述式は「40字程度で記述するもの」と案内されており、令和7年度は行政法1問、民法2問でした。記述式の出題は行政法・民法に集中していることになり、この2科目の比重をさらに押し上げています。記述式の出題形式や答案の書き方は、別の記事で詳しく扱う予定です。
多肢選択式は、1問8点で、空欄が4つあり1つ2点です。令和7年度は3問とも憲法の主題でした。1問で8点と大きいため、憲法は問題数(5問)の割に点数が高い科目です。
合格基準と配点を組み合わせて考える
合格には、次の3つの要件をすべて満たす必要があります(令和8年度の案内による)。
- 法令等科目の得点が満点の50%以上
- 基礎知識科目の得点が満点の40%以上
- 試験全体の得点が満点の60%以上
令和7年度の合格基準点は、法令等が122点以上、基礎知識が24点以上、全体が180点以上でした。なお、試験問題の難易度が過去と比べて著しく変動した場合には、合格基準点を見直す措置があると案内されています。
この数字を配点にあてはめると、考え方が見えてきます。
| 項目 | 令和7年度の数字 |
|---|---|
| 全体の合格基準点 | 180点(300点の60%) |
| 基礎知識の基準点 | 24点(56点のうち。択一式で6問ぶん) |
| 基礎知識で24点をとった場合に、法令等で必要な点 | 156点(180点−24点) |
| 基礎知識で40点(10問正解)をとった場合に、法令等で必要な点 | 140点 |
| 法令等の基準点 | 122点(244点の50%) |
たとえば、基礎知識で基準点ぎりぎりの24点だと、全体の180点に届くには法令等で156点が必要です。一方、基礎知識で40点とれていれば、法令等は140点で足ります。基礎知識は56点と小さな配点ですが、ここを安定させると、法令等で求められる点数が下がります。基礎知識の足切りの考え方は、別の記事で扱う予定です。
配点から考える勉強の優先順位
ここまでの数字から、学習の優先順位を考えてみます。これは一般的な考え方の一例であり、合格を保証するものではありません。
- 行政法を軸にする。 96点は全体の約3分の1です。条文数が多く範囲も広いので、早めに取りかかり、繰り返し学習する時間を確保します。
- 民法は択一式と記述式の両方を意識する。 76点のうち40点が記述式です。択一式の理解を、「40字程度で結論と理由を書く」力につなげる練習が要ります。
- 憲法は多肢選択式を落とさない。 24点の多肢選択式があるため、判例の言葉づかいに慣れておくと得点しやすい科目です。
- 商法・会社法と基礎法学は、時間をかけすぎない。 合計28点で、全体の約1割です。ただし、0点にすると合格基準点の達成が難しくなるので、基本的な論点は押さえます。
- 基礎知識の足切りを避ける。 14問のうち、少なくとも6問の正解が必要です(令和7年度の基準点24点÷4点)。
また、法令の学習範囲は、試験を行う年度の4月1日現在で施行されている法令が基準です。令和8年度の試験は、令和8年4月1日現在の施行法令にもとづくと案内されています。教材を選ぶときは、古い版に注意してください。
講座で内容を確認する
配点の大きい行政法や民法を、どう学ぶかは人によって違います。行政書士講座のページでは、講座の内容を確認できます。自分の学習状況に合うかどうか、確かめてみてください。
試験全体の形については、行政書士試験とは? 試験科目・配点・合格基準を公式発表で整理で、直前期の復習については、行政書士試験 直前1か月の過ごし方で、それぞれ整理しています。あわせて読むと、試験の全体像がつかみやすくなります。
まとめ
- 令和7年度は300点満点。法令等244点・基礎知識56点で、行政法96点と民法76点の合計が全体の約57%を占めます。
- 科目別の配点は公式には示されず、合否発表時に設問ごとの得点が公表されます。年度ごとに最新の情報を確認してください。
- 記述式は1問20点(択一式5問ぶん)で、行政法・民法に集中していました。
- 合格は「法令等50%・基礎知識40%・全体60%」の3条件をすべて満たすことが必要です。行政法・民法を軸にしつつ、基礎知識の足切りを避ける配分を考えましょう。
この記事の科目別の集計は、筆者が公式の問題と配点から計算したものです。受験する年度の最新情報は、必ず行政書士試験研究センターの公式サイトで確認してください。

