「貸金業務取扱主任者試験の合格率は、どれくらいなのか」「難しい試験なのか、独学で受かるのか」。受験を考え始めた方が最初に気になるのは、このあたりではないでしょうか。
この記事では、試験を実施する日本貸金業協会が公表している第15回(令和2年度)から第20回(令和7年度)までの結果をもとに、合格率の推移と、数字の読み方、読むときの注意点を整理します。内容は2026年10月13日に同協会の公式サイトで確認した情報です。試験の形式や科目そのものは、別の記事貸金業務取扱主任者試験とは?で説明しています。
第15〜20回の合格率は26.6〜33.9%で、直近の2回は32%台です。ただし合格基準点は毎回変わるため、「何割とれば受かる」と決めつけない方が安全です。
第15〜20回の結果を一覧にする
まず、公表されている数字を表にまとめます。受験率は「受験者数÷受験申込者数」、合格率は「合格者数÷受験者数」で、受験率は公表値から計算した値です。
| 回(年度) | 試験日 | 受験申込者数 | 受験者数 | 受験率 | 合格者数 | 合格率 | 合格基準点 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 第15回(令和2年度) | 令和2年11月15日 | 11,885人 | 10,533人 | 88.6% | 3,567人 | 33.9% | 33問 |
| 第16回(令和3年度) | 令和3年11月21日 | 11,926人 | 10,491人 | 88.0% | 3,373人 | 32.2% | 31問 |
| 第17回(令和4年度) | 令和4年11月20日 | 11,536人 | 9,950人 | 86.3% | 2,644人 | 26.6% | 28問 |
| 第18回(令和5年度) | 令和5年11月19日 | 10,963人 | 9,448人 | 86.2% | 2,928人 | 31.0% | 31問 |
| 第19回(令和6年度) | 令和6年11月17日 | 10,662人 | 9,250人 | 86.8% | 2,998人 | 32.4% | 30問 |
| 第20回(令和7年度) | 令和7年11月16日 | 11,371人 | 9,878人 | 86.9% | 3,208人 | 32.5% | 31問 |
合格基準点はいずれも50問中の正解数です。6回分を単純に合計すると、受験者は約59,500人、合格者は約18,700人で、全体の合格率はおよそ31%になります。これは公表値を足し合わせた計算上の数字で、協会が発表した値ではありません。
この表から読み取れることは、次の3つです。
- 合格率は毎回の変動が大きくなく、多くの回で30%台前半に収まっている
- 第17回だけは26.6%と低く、基準点も28問と下がっている
- 受験申込者のうち、実際に試験を受けるのは86〜89%台で、1割ほどは当日受けていない
合格率は「難しさ」そのものではない
合格率が約3割と聞くと、「10人に3人しか受からない難関」と感じるかもしれません。ただ、合格率だけで難易度は決まりません。数字を読むときは、次の点を意識してください。
合格基準点が毎回変わる
この試験の合格基準点は、前の表のとおり28問から33問までの幅があります。割合にすると、56%から66%です。年度ごとの問題の難しさに応じて決まるため、事前に「◯問で合格」とは決まっていません。目標は「6割強」を目安にしつつ、少し余裕をもたせるのが現実的です。
受験者の層によって数字が変わる
合格率は、受けた人の準備の程度にも左右されます。貸金業者に勤めていて、業務の流れを知っている人もいれば、法律を初めて学ぶ人もいます。全員の平均である合格率は、「あなたが受かる確率」ではありません。しっかり準備した人の合格率は、一般にこれより高くなりますが、その具体的な数字は協会も公表していません。
試験は他の受験者との競争ではない
この試験は、基準点に達した人が合格する方式です。協会は合格基準点を公表しており、その点数に達した人が合格となります。
科目別の平均正答率で、苦手になりやすい分野を知る
協会は、科目ごとの出題数と平均正答率も公表しています。第18回から第20回の3回分を並べます。
| 科目 | 出題数 | 第18回 | 第19回 | 第20回 |
|---|---|---|---|---|
| 法及び関係法令 | 27問 | 54.2% | 54.7% | 54.1% |
| 貸付け及び貸付けに付随する取引に関する法令及び実務 | 15問 | 43.5% | 46.0% | 46.5% |
| 資金需要者等の保護 | 5問 | 51.2% | 46.5% | 62.1% |
| 財務及び会計 | 3問 | 57.8% | 50.5% | 54.1% |
| 全科目計 | 50問 | 50.9% | 51.0% | 52.6% |
さらに前の回も見ると、第15回は財務・会計が77.9%と高く、第17回は資金需要者等の保護が29.3%と低いなど、小さな科目は回によって大きく動いています。一方で、貸付け及び貸付けに付随する取引に関する法令及び実務(民法などの民事法が中心の科目)は、第15〜20回のどの回でも、39〜49%台にとどまっています。ここは、受験者の多くが苦戦しやすい分野と読めます。
出題数は協会が公表した実績です。年度によって変わることがあるため、受験する年度の実施要領で最新の情報を確認してください。
年齢別に見ると、どの年代にも合格者がいる
第18回〜第20回の結果では、合格者の年齢構成と年齢別の合格率も公表されています。第20回の数字を例に見ます。
| 年齢層 | 合格者の構成比 | 合格率 |
|---|---|---|
| 20歳代以下 | 34.1% | 35.3% |
| 30歳代 | 27.7% | 33.5% |
| 40歳代 | 21.1% | 28.3% |
| 50歳代 | 13.7% | 29.4% |
| 60歳代以上 | 3.4% | 46.0% |
年代による差はありますが、どの年代でも2〜3割以上が合格しています。第19回と第18回を見ても、20歳代以下から50歳代までは概ね27〜37%の範囲でした(60歳代以上は人数が少なく、回によって大きく動きます)。この数字から言えるのは、「若い人だけの試験ではない」ということです。
合格に近づくための勉強の考え方
数字を踏まえて、勉強の進め方を整理します。
- 法令科目(27問)を軸にする: 出題の過半数が貸金業法・利息制限法・出資法などです。まず、総量規制や上限金利のような数字を使う論点を固めます。たとえば総量規制とは?や、出資法の上限金利と罰則は、関連する条文を押さえておきたい分野です
- 実務科目は民法の基本から: 平均正答率が低い科目なので、苦手な人が多いと割り切り、基本的な論点を取りこぼさないことが得点の差になります
- 小さな科目は基本だけ: 資金需要者等の保護と財務・会計は合わせて8問です。回によって正答率が大きく動くため、頻出の基本論点に絞って学ぶやり方もあります
- 過去問題集で本番の形式に慣れる: 協会は試験問題の持ち帰りを認めています。解いた結果から、自分が落としやすい科目を見つけましょう
資格のエアポートの貸金業務取扱主任者講座では、講座ページで授業の内容を確認できます。AI講師トーレスに質問しながら、自分のペースで学習を進められます。ただし、紙の教材を中心に勉強したい方には向かない面もあります。
まとめ
- 第15〜20回の合格率は26.6〜33.9%で、直近2回は32%台、合格者は毎回およそ2,600〜3,600人です
- 合格基準点は50問中28〜33問と毎回変わります。目標は6割強を目安にし、余裕をもたせましょう
- 貸付け・実務の科目は、どの回も平均正答率が低めです。基本から丁寧に固めるのが得策です
- 合格率は受験者全体の平均です。数字におびえすぎず、基準点に届く準備をしましょう
最新の試験結果や受験する年度の日程は、日本貸金業協会の公式サイトでご確認ください。

