貸金業務取扱主任者試験の金利の論点では、利息制限法と出資法がセットで出てきます。「どちらも上限金利を決めている法律」と覚えてしまうと、効果の違いを問われたときに迷います。この記事では、出資法が何を取り締まる法律なのか、年20%と年109.5%がそれぞれどの場面の数字なのか、利息制限法とどう役割が違うのかを、条文を確かめながら整理します。
条文は2026年10月11日にe-Gov法令検索で確認した内容に基づきます。試験では出題年度の4月1日時点の法令が基準になるため、受験する年度の案内もあわせて確認してください。
結論:出資法は「処罰」の法律
出資法の正式名称は「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」です。名前のとおり、取り締まりのための法律で、違反した人に刑罰を科すことが中心です。取り締まる対象は大きく分けて次の3つです。
| 対象 | 条文 | 内容 |
|---|---|---|
| 出資金の受入れ | 1条 | 不特定かつ多数の人に対し、出したお金の全額以上を返すと示して資金を集めることの禁止 |
| 預り金 | 2条 | 他の法律に特別の定めがある者を除き、業として預り金をすることの禁止 |
| 金利・手数料 | 4条・5条ほか | 高すぎる利息・保証料・媒介手数料の契約や受領の処罰 |
貸金業務取扱主任者試験で特に重要なのは、3つ目の金利・手数料の部分です。ただし、1条・2条の罰則も表の形で覚えておく必要があります(後述します)。
高金利の処罰(5条):3つの場面と数字
出資法5条は、貸し手が超えてはならない利率を、場面ごとに分けて定めています。
| 場面 | 超えてはならない利率 | 罰則 | 条文 |
|---|---|---|---|
| 業としないで貸し付ける | 年109.5% | 5年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金(併科あり) | 5条1項 |
| 業として貸し付ける | 年20% | 5年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金(併科あり) | 5条2項 |
| 業として貸し付ける | 年109.5% | 10年以下の拘禁刑または3,000万円以下の罰金(併科あり) | 5条3項 |
ポイントは、同じ「年109.5%超」でも、業として貸すかどうかで刑の重さが違うことです。業として行う貸付けでは、年20%を超えた段階で5条2項により処罰され、年109.5%を超えるとさらに重い5条3項になります。
なお、年109.5%は「1日あたり0.3%」に相当します(条文も、うるう年を含む1年は年109.8%とし、1日あたりは0.3%と書いています)。数字の意味を知っておくと覚えやすくなります。
5条の「利息」には、返済が遅れたときの賠償額の予定(遅延損害金)も含まれます(5条1項のかっこ書)。利息だけでなく遅延損害金も、この上限の対象です。
処罰される行為は「契約・受領・要求」
5条が処罰するのは、高金利の契約をしたことだけではありません。その契約に基づいて利息を受け取ること、利息の支払を求めることも同じ重さで処罰されます。「契約したが、まだ受け取っていない」という段階でも、契約をした時点で罰則の対象になります。
年20%ちょうどは対象外
条文が禁じているのは、年20%を「超える」割合の利息の契約です。年20%ちょうどの契約は、5条2項の対象に入りません。選択肢の「以上」と「超える」の読み違いを誘う出題がありうる論点なので、境目の言葉を意識して読みます。
利息制限法との違いを表で整理する
2つの法律は、見るべき点がはっきり分かれています。
| 利息制限法 | 出資法 | |
|---|---|---|
| 上限の決め方 | 元本の額で3段階(年20%・18%・15%) | 業としての貸付けは年20%(5条2項)、年109.5%(5条3項) |
| 超えたときの効果 | 超過部分が無効(民事の効果) | 契約をした者などを処罰(刑事の効果) |
| 契約全体への影響 | 超過部分だけ無効で、元本を返す義務は残る | 契約を無効にする規定は置かれていない |
利息制限法1条は、利息の契約が上限を超えるときに「その超過部分について、無効とする」と定めています。この無効という効果は利息制限法の役割です。出資法に違反しても、契約が当然に無効になるわけではありません。
次の計算例は、この記事用に作ったものです。
| 例 | 利息制限法 | 出資法 | 貸金業者の場合の補足 |
|---|---|---|---|
| 元本150万円・年16% | 上限は年15%。超過の年1%分が無効 | 年20%以下なので処罰なし | 貸金業法12条の8違反になりうる |
| 元本30万円・年21% | 上限は年18%。超過部分は無効 | 業として貸すなら年20%超で5条2項により処罰 | 貸金業法12条の8違反にもなる |
| 元本10万円・年110% | 上限は年20%。超過部分は無効 | 業として貸すなら年109.5%超で5条3項により処罰 | 同上 |
1つの貸付けに、2つの法律が別々の効果で重なって働くことが分かります。
貸金業者にはさらに貸金業法がかかる
貸金業者は、貸金業法12条の8により、利息制限法1条の上限を超える利息の契約を結ぶことが禁じられています(1項)。上限を超える利息を受け取ることや、支払を求めることも禁じられています(4項)。つまり貸金業者にとっては、利息制限法の上限が、監督上の規制としても刑事罰の手前に置かれています。利息制限法の上限金利そのものは利息制限法の上限金利(15%・18%・20%)の記事で整理しています。
利息に数えるお金:5条の4
「利息ではなく手数料です」と名前を変えても、規制は逃れられません。出資法5条の4は、5条から5条の3までの適用にあたっての数え方を定めています。
| 数え方 | 内容(5条の4) |
|---|---|
| 短い期間 | 貸付けまたは保証の期間が15日未満のときは15日として計算 |
| 天引き | 利息を先に差し引く貸付けは、実際に渡した額を元本として計算 |
| 元本組入れ | 1年に満たない期間の利息を元本に組み入れる契約では、当初の元本を超える部分の元利金を利息として扱う |
| 名義 | 礼金・手数料・調査料など、名前を問わず貸付けに関して受ける金銭は利息とみなす(公租公課の支払に充てるものなど、一定の費用は除かれる) |
最後の「名義を問わない」という考え方は、利息制限法のみなし利息と同じです。何がみなし利息に入るかは、みなし利息の記事で詳しく整理しています。
保証料がからむ処罰(5条の2・5条の3)
保証料も、出資法の規制対象です。
| 条文 | 場面 | 罰則 |
|---|---|---|
| 5条の2 | 業として行う貸付けを業として保証する者が、その貸付けの利息と合計して、貸付金額の年20%を超える保証料の契約をしたとき | 5年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金(併科あり) |
| 5条の3 | 保証料の契約後に貸付けの利息を引き上げ、保証料と合計して年20%を超える利息の契約をしたとき(年20%を超える利息自体は5条2項の領域) | 同上 |
見方は一貫していて、「利息と保証料を合わせて年20%に収まるか」です。保証料の細かい制限は別の論点なので、保証料のテーマの記事で改めて整理します。
媒介手数料の上限(4条)
出資法4条1項は、金銭の貸借の媒介をする人が受け取れる手数料の上限を、その貸借の金額の100分の5と定めています。貸借の期間が1年未満のときは、日数に応じて計算します。
次は、この記事用の計算例です。
| 貸借の金額 | 期間 | 手数料の上限 |
|---|---|---|
| 100万円 | 1年以上 | 5万円(100万円×5%) |
| 100万円 | 73日 | 1万円(100万円×年5%×73日÷365日) |
保証の媒介(2項)であれば、保証料の100分の5が上限です。礼金や調査料など、名前が何であっても媒介に関して受ける金銭は手数料とみなされます(3項)。
媒介手数料の上限は出資法4条にあります。利息制限法に媒介手数料の定めはありません。「利息制限法に書いてある」という選択肢は誤りです。
出資法の罰則を一覧で覚える
試験で数字を取り違えやすいので、まとめておきます。
| 違反の内容 | 罰則 | 条文 |
|---|---|---|
| 出資金の受入れの制限違反(1条)、預り金の禁止違反(2条1項)、浮貸し等の禁止違反(3条)、媒介手数料の制限違反(4条1項・2項) | 3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(併科あり) | 8条3項 |
| 業としない貸付けで年109.5%超、業としての貸付けで年20%超、高保証料、保証料がある場合の高金利 | 5年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金(併科あり) | 5条1項・2項、5条の2、5条の3 |
| 業としての貸付けで年109.5%超 | 10年以下の拘禁刑または3,000万円以下の罰金(併科あり) | 5条3項 |
さらに、名義や方法を変えて禁止を免れる行為も処罰されます(8条)。利息を「礼金」と呼ぶ、別の形の取引に見せかけるなど、実質が同じであれば形を変えても免れられません。免れる行為の刑は、免れた規定と同じ重さです(8条1項〜3項)。
また、法人の代表者や従業者が法人の業務に関して違反したときは、行為者を罰するほか、法人にも罰金刑が科されます(9条)。5条1項・2項などの違反については3,000万円以下、5条3項などの違反については1億円以下の罰金刑です。
試験での問われ方と覚え方
出題では、次のような形で確認されやすい論点です。
- 業としての貸付けで、年20%と年109.5%の区別がついているか
- 年20%「ちょうど」が処罰されないことを理解しているか
- 出資法違反が契約の無効を意味しないことを理解しているか
- 媒介手数料の上限が、利息制限法ではなく出資法にあることを知っているか
- 罰則の組合せ(3年・300万円、5年・1,000万円、10年・3,000万円)を正しく結びつけられるか
覚えるときは、次の順が整理しやすいでしょう。
- 利息制限法は「無効」、出資法は「処罰」という役割の違いを先に言えるようにする
- 5条の3つの場面を、表(業か否か×年20%か年109.5%か)で書けるようにする
- 罰則の3段階(3年・5年・10年)と、それぞれがどの条文に当たるかを結びつける
学習を進めるなら
利息制限法・出資法・貸金業法の金利規制は、貸金業務取扱主任者試験の法令科目の中心的な論点です。総量規制とは目的が違う点も押さえておくと整理しやすくなります。総量規制は総量規制の記事で解説しています。講座の内容は貸金業務取扱主任者講座のページで確認できます。
まとめ
- 出資法は取締りの法律で、違反した人を処罰する(無効にする規定はない)
- 業としての貸付けは、年20%超で5条2項(5年以下・1,000万円以下)、年109.5%超で5条3項(10年以下・3,000万円以下)
- 業としない貸付けは、年109.5%超で5条1項(5年以下・1,000万円以下)
- 年20%ちょうどは処罰の対象外(条文は「超える」割合)
- 媒介手数料の上限は出資法4条の貸借金額の100分の5。利息制限法にはない
- 利息制限法は超過部分を無効にし、出資法は刑罰を科す。1つの貸付けに両方が重なる

