「情報セキュリティマネジメント試験は、どのくらい受かるのか」「ITパスポートより難しいのか」。受験を考えはじめると、まず気になるのが合格率と難易度です。
この記事では、IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が公表している統計から、情報セキュリティマネジメント試験の合格率を確認します。あわせて、よく比べられるITパスポート試験との違いを、出題数と合格基準の面から整理します。
数字は2026年10月12日時点でIPAの公表資料を確認したものです。最新の統計は、IPAの公式サイトで確認してください。
結論:合格率は70%前後。ただし数字だけで難易度は決まらない
IPAの統計資料(情報セキュリティマネジメント試験の推移表)では、年度ごとの合格率は次のとおりです。ここでの合格率は「合格者数 ÷ 受験者数」で、受験者数は応募者のうち実際に受験した人の数です。
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 令和5年度(2023年4月〜2024年3月) | 36,362人 | 26,398人 | 72.6% |
| 令和6年度(2024年4月〜2025年3月) | 41,657人 | 28,731人 | 69.0% |
| 令和7年度(2025年4月〜2026年3月) | 45,924人 | 32,141人 | 70.0% |
3年度とも、受験した人のおよそ7割が合格しています。受験者数は年々増えていますが、合格率は大きくは動いていません。
ただし、合格率が高いことは「簡単」と同じ意味ではありません。理由は後半で説明します。
ITパスポート試験と比べる
比べられることが多いITパスポート試験は、IPAの人数から計算すると、合格率は次のとおりです。IPAは年間の応募者数・受験者数・合格者数を公表しており、合格率はそこから計算した値です。
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 計算した合格率 |
|---|---|---|---|
| 令和6年度(2024年度) | 273,905人 | 134,617人 | 約49.1% |
| 令和7年度(2025年度) | 271,352人 | 132,012人 | 約48.6% |
数字だけを見ると、情報セキュリティマネジメント試験のほうが合格率は高く出ています。
試験の形を比べる表
同じIPAの試験でも、設計はかなり違います。IPAの試験区分ページと試験要綱(Ver.5.6)で確認できる範囲を並べます。
| 項目 | 情報セキュリティマネジメント試験 | ITパスポート試験 |
|---|---|---|
| 試験時間 | 120分 | 120分 |
| 出題数 | 60問(科目A 48問・科目B 12問) | 100問 |
| 出題形式 | 多肢選択式(科目Aは四肢択一) | 多肢選択式(四肢択一) |
| 採点方式 | IRT(項目応答理論) | IRT(項目応答理論) |
| 合格基準 | 総合評価点が600点以上(1,000点満点) | 総合評価点が600点以上(1,000点満点)、かつ分野別評価点(ストラテジ系・マネジメント系・テクノロジ系)がそれぞれ300点以上(1,000点満点) |
| 想定する人 | 情報システムの利用部門で情報セキュリティリーダーを担う人 | 職業人・これから職業人となる人で、ITの共通的な基礎知識を持つ人 |
出題数の内訳(科目A 48問・科目B 12問)は、IPAの試験区分ページの「60問」と、当サイトの試験の概要の記事で整理した内容にもとづきます。受験前に、最新の試験要綱で確認してください。
表から読み取れるのは、次の3点です。
- 合格の判定は総合の点数だけ。 情報セキュリティマネジメント試験は、総合評価点が基準点以上であれば合格です。ITパスポートのように分野ごとの基準点はありません。
- ITの範囲はせまく、深い。 ITパスポートは100問でIT全般を広く問います。情報セキュリティマネジメント試験は60問で、情報セキュリティの管理に範囲がしぼられます。
- 科目Bのようなケース問題がある。 業務の場面を読み、判断する問題が含まれます。知識を覚えるだけでなく、場面に当てはめる練習が必要です。
IRTとは? 点数の見方
どちらの試験も、IRT(Item Response Theory:項目応答理論)で採点されます。IPAの試験要綱では、IRTに基づいて解答結果から評価点を算出するため、配点割合はないとされています。
つまり「1問何点」という単純な足し算ではなく、問題ごとの難しさなどを踏まえて点数が決まる仕組みです。だから「60問中何問正解なら合格」のような換算は、公式には示されていません。
合格率から難易度を読むときの注意
合格率が高いか低いかだけで、試験の難しさは比べられません。主な理由は、受験する人の層が違うことです。
- 情報セキュリティマネジメント試験は、仕事で必要になって受ける人や、IT・セキュリティに関心を持って準備してから申し込む人が多いと考えられます。事前に学習してから受ける人の割合が高ければ、合格率は上がります
- ITパスポート試験は、学生や新社会人など、受験のきっかけが幅広い試験です。受験者の層が広い分、合格率にも幅が出ます
「合格率が高い=準備なしで受かる」ではありません。IPAの統計の合格率は、申込みから受験までに準備した人を含んだ数字です。準備せずに受けた人だけで合格率を出すと、同じ値にはならないはずです。
合格には総合評価点600点が必要です。範囲を見ないで受かる試験だと考えるのは避けましょう。
情報セキュリティマネジメント試験の難しさはどこにあるか
合格率が7割前後でも、受験者の3割は不合格になっています。つまずきやすい点を、試験の形から整理します。
- 用語が似ている。 脅威・脆弱性・リスク、リスクの特定・分析・評価のように、区別が必要な用語が多くあります。詳しくは脅威・脆弱性・リスクの違いやリスク対応の4つの違いで整理しています
- 科目Bは読む量がある。 場面の説明を読んで判断するため、時間配分に慣れておく必要があります
- 法令・制度の用語を確かめる必要がある。 不正アクセス禁止法や個人情報保護法など、名前と中身を対にして覚える項目があります
ITパスポートの学習経験がある人は、IT用語に慣れている分、スタート地点は有利です。一方で、セキュリティの管理(ルール、体制、事故対応)の考え方は、この試験で初めて深く学ぶ人が多い領域です。ITパスポートに合格していても、追加の学習は必要です。
学習の進め方
試験はCBT方式で通年実施されているため、準備が整ってから申し込めます。進め方は、次の順がおすすめです。
- 試験の全体像をつかむ(試験の概要)
- 用語を「対」で覚える(脅威と対策、機密性・完全性・可用性など)
- 時間の目安を決める(社会人なら2か月の学習スケジュールが参考になります)
- 科目Bの形式に慣れる
情報セキュリティマネジメント講座では、授業の一覧と進め方を確認できます。独学と講座の違いは独学と通信講座の比較にまとめています。
まとめ
- 情報セキュリティマネジメント試験の合格率は、IPAの統計で令和5年度72.6%・6年度69.0%・7年度70.0%と、70%前後で推移しています
- ITパスポート試験は、IPAの人数から計算すると令和6・7年度とも約49%です。どちらもIRTで採点され、合格基準は総合評価点600点/1,000点です
- ITパスポートは分野別評価点にも基準があり、情報セキュリティマネジメント試験は総合評価点のみで判定されます
- 合格率は受験者層で変わるため、数字だけで難易度の優劣は決められません。範囲を絞って、用語の区別とケース問題に慣れる準備が大切です
最新の統計・試験要綱は、IPAの公式サイトで確認してください。

