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論点解説

聴聞と弁明の機会の付与の違いとは? 行政手続法の手続を比較表で整理

行政手続法の「聴聞」と「弁明の機会の付与」は、どちらも不利益処分の前に意見を述べる手続ですが、使う場面も進め方も違います。第13条から第31条までを条文に沿って比較表で整理します。

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行政手続法の「聴聞」と「弁明の機会の付与」は、どちらも不利益処分の前に意見を述べる手続ですが、使う場面も進め方も違います。第13条から第31条までを条文に沿って比較表で整理します。

この記事の要点

  • 許認可等の取消し・資格や地位のはく奪などは聴聞、それ以外は弁明の機会の付与(第13条第1項)
  • 聴聞は期日に出頭して審理する口頭中心の手続。弁明は弁明書の提出が原則の書面中心の手続
  • 資料の閲覧(第18条)・主宰者・調書と報告書は聴聞だけにある。弁明には準用されない
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行政手続法では、行政庁が不利益処分をする前に、相手方に意見を述べる機会を与えなければなりません。その方法が「聴聞」と「弁明の機会の付与」の2つです。名前は似ていますが、使う場面も、手続の重さも大きく違います。この記事では、条文(e-Gov法令検索で確認)に沿って、2つの違いを比較表で整理します。

結論から言うと、重い不利益処分には聴聞、それ以外は弁明の機会の付与です。そして聴聞は「期日を開いて審理する」手続、弁明は「書面を出す」簡易な手続だと押さえておくと、細かい規定も整理しやすくなります。

この記事は、2026年10月11日にe-Gov法令検索で確認した条文(同日時点の現行法令)に基づきます。試験は「試験を行う年度の4月1日現在施行の法令」が基準とされるため、受験する年度の試験案内(行政書士試験研究センター)と最新の条文を必ず確認してください。

どちらの手続を使うか(第13条第1項)

不利益処分をしようとするときは、処分の名あて人となるべき者について、次のどちらかの意見陳述手続をとらなければなりません。

手続 使われる場面(第13条第1項第1号・第2号)
聴聞 イ 許認可等を取り消す不利益処分をしようとするとき
ロ イのほか、名あて人の資格または地位を直接にはく奪する不利益処分をしようとするとき
ハ 名あて人が法人である場合の役員の解任、名あて人の業務に従事する者の解任、名あて人の会員である者の除名を命ずる不利益処分をしようとするとき
ニ イからハ以外の場合で、行政庁が相当と認めるとき
弁明の機会の付与 上のイからニのいずれにも当たらないとき

イメージとしては、営業許可を取り消すような重い処分には聴聞、たとえば一定期間の営業停止を命じるような処分には弁明、という割り振りになりやすいです。ただし、これはあくまでイメージです。試験では条文の列挙(取消し、資格・地位のはく奪、役員の解任など)に当てはまるかどうかで判断します。

なお、ニの「行政庁が相当と認めるとき」は、法律上は弁明で足りる場面でも、行政庁の判断でより手厚い聴聞を行ってよいという趣旨です。反対に、イからハに当たるのに弁明で済ませることはできません。

手続が不要になる場合(第13条第2項)

不利益処分でも、次のいずれかに当たるときは、聴聞も弁明の機会の付与も必要ありません。

  1. 公益上、緊急に不利益処分をする必要があるため、意見陳述の手続をとることができないとき
  2. 法令上必要な資格がなかった、または失われたことが判明したときに必ずすることとされている処分で、その事実が判決書や任命権者の書類などの客観的な資料で直接証明されたとき
  3. 施設や設備、物の製造・販売などについて、遵守すべき事項が法令で技術的な基準として明確にされている場合に、専らその基準が満たされていないことを理由に基準に従うよう命じる処分で、不充足の事実が計測や実験などの客観的な方法で確認されたとき
  4. 納付すべき金銭の額を確定し、一定額の金銭の納付を命じる処分や、金銭の給付決定の取消しなど金銭の給付を制限する処分をしようとするとき
  5. 課される義務の内容が著しく軽微なため、意見をあらかじめ聴く必要がないとして政令で定める処分をしようとするとき

この規定は、聴聞か弁明かを選ぶ話ではなく、どちらも要らなくなるという話です。試験では「緊急の場合は聴聞だけ省略できる」のように、省略できる範囲をすり替えた選択肢に注意してください。

比較表:聴聞と弁明の機会の付与

2つの手続の主な違いを、条文ごとにまとめます。

項目 聴聞 弁明の機会の付与
対象 取消し・資格や地位のはく奪など(第13条第1項第1号) 聴聞の場面以外(同項第2号)
通知の方式 書面で通知(第15条第1項) 書面で通知(第30条)
通知事項 予定される不利益処分の内容と根拠条項/原因となる事実/聴聞の期日と場所/聴聞事務を所掌する組織の名称と所在地 予定される不利益処分の内容と根拠条項/原因となる事実/弁明書の提出先と提出期限(口頭の場合はその旨と日時・場所)
通知に添える教示 期日に出頭して意見を述べ、証拠書類等を提出できること(陳述書で代えることも可)、資料の閲覧を求められること(第15条第2項) 条文上、同様の教示の規定はない
意見の述べ方 期日に出頭して意見を述べる。陳述書の提出で代えることもできる(第20条、第21条) 弁明書の提出が原則。行政庁が口頭を認めたときは口頭(第29条第1項)
証拠書類等の提出 できる(第20条第2項) できる(第29条第2項)
主宰者 行政庁が指名する職員などが主宰する(第19条) いない
資料の閲覧 通知があったときから聴聞が終結するまで求められる(第18条) 規定なし
代理人 選任できる(第16条) 選任できる(第31条で第16条を準用)
参加人 利害関係を有する関係人を参加させられる(第17条) 規定なし
調書・報告書 主宰者が作成し行政庁へ提出(第24条) 規定なし
審理の公開 行政庁が公開を相当と認めるときを除き公開しない(第20条第6項) 該当なし

聴聞にだけある項目が、主宰者、閲覧権、参加人、調書・報告書、続行期日などと非常に多いことが分かります。弁明の機会の付与は、これらの規定がない簡易な手続です。

聴聞の流れをたどる

聴聞は、おおむね次の順で進みます。

  1. 通知:行政庁が、期日までに相当な期間をおいて、書面で通知する(第15条第1項)。名あて人の所在が分からないときは、公示の方法によることができ、掲示などの措置を始めた日から2週間を経過したときに、通知が到達したものとみなされる(同条第3項・第4項)
  2. 代理人の選任・参加人:通知を受けた者(当事者)は代理人を選任できる(第16条)。主宰者は、利害関係を有する関係人に参加を求めたり、許可したりできる(第17条)
  3. 閲覧:当事者などは、不利益処分の原因となる事実を証する資料の閲覧を求められる。行政庁は、第三者の利益を害するおそれがあるときなど正当な理由がなければ拒めない(第18条)
  4. 審理:主宰者が期日の冒頭で、行政庁の職員に処分の内容や根拠、原因となる事実を説明させる。当事者は意見を述べ、証拠書類等を提出し、主宰者の許可を得て職員に質問もできる(第20条)。当事者の一部が出頭しなくても審理はできる(同条第5項)
  5. 終結:正当な理由なく出頭せず、陳述書なども出さない当事者がいるときは、改めて意見を述べる機会を与えずに聴聞を終結できる(第23条第1項)
  6. 調書と報告書:主宰者が調書を作り、終結後に、当事者の主張に理由があるかどうかについての意見を書いた報告書を行政庁へ提出する(第24条)
  7. 処分の決定:行政庁は、調書の内容と報告書にある主宰者の意見を十分に参酌して決定する(第26条)

最後の「十分に参酌」は、主宰者の意見に従わなければならないという意味ではありません。意見を十分に考慮する義務、という強さです。この言い回しの違いは、選択肢でよく入れ替えられます。

聴聞を主宰できない人も決まっています。当事者や参加人本人、その配偶者・四親等内の親族・同居の親族、代理人や補佐人、後見人・保佐人・補助人などです(第19条第2項)。公正さを守るための規定です。

弁明の機会の付与の流れ

弁明は、聴聞に比べてとてもシンプルです。

  1. 通知:弁明書の提出期限(口頭の場合は日時)までに相当な期間をおいて、書面で通知する(第30条)
  2. 弁明:弁明書を提出する。証拠書類等も出せる(第29条)。口頭でするには行政庁の認めが必要
  3. 処分の決定:行政庁が処分を決める

準用される規定も限られています。第31条は、所在不明の場合の公示(第15条第3項・第4項)と代理人(第16条)だけを準用すると定めています。閲覧権(第18条)や参加人(第17条)は準用されません。 試験では、聴聞の規定を弁明にも当てはまるかのように書いた選択肢が作られやすいところです。

審査請求の制限(第27条)

聴聞の手続に関する規定の最後に、第27条があります。聴聞の節の規定に基づく処分(たとえば閲覧を拒否する処分)またはその不作為については、審査請求をすることができないとされています。手続の途中の判断を、そのつど不服申立ての対象にすると、手続が進まなくなるためと考えられます。条文で確かめておきたいポイントです。

試験での問われ方と覚え方

整理のしかたは次のとおりです。

  1. 取消し・はく奪・解任などなら聴聞、それ以外は弁明(第13条第1項)
  2. 緊急の場合などはどちらも不要(第13条第2項)
  3. 聴聞は主宰者がいて、期日に審理し、閲覧権がある
  4. 弁明は弁明書の提出が原則。閲覧権・参加人・調書などはない
  5. 代理人と所在不明の場合の公示は両方にある

また、聴聞も弁明も「不利益処分」の前の手続です。申請を拒否する場合は不利益処分ではないため、聴聞も弁明もありません。この区別は行政手続法:申請に対する処分と不利益処分の違いで整理しています。

「聴聞の規定が弁明にも準用される」という選択肢は、準用されるのが代理人と公示だけ(第31条)である点で誤りになります。準用の範囲は、条文の番号で確認しましょう。

学習の進め方と講座ページ

行政手続法は、条文の文言がそのまま選択肢になりやすい分野です。聴聞と弁明は、比較表を自分で作り、聴聞にだけある項目に印をつけると、見分けがつきやすくなります。行政書士の講座の内容は、行政書士講座のページで確認できます(授業は準備中のため、公開状況はページでご確認ください)。

まとめ

  • 聴聞は取消し・資格や地位のはく奪などの重い処分、弁明の機会の付与はそれ以外の不利益処分で使う(第13条第1項)
  • 緊急の場合や金銭に関する処分などでは、どちらも不要(第13条第2項)
  • 聴聞は主宰者のもとで期日に審理する手続で、閲覧権・参加人・調書と報告書がある
  • 弁明は弁明書の提出が原則の簡易な手続で、準用されるのは代理人と公示だけ(第31条)
  • 行政庁は、聴聞後の処分では調書と報告書の意見を十分に参酌する(第26条)

「重い処分は聴聞、それ以外は弁明」「聴聞は口頭と審理、弁明は書面」の2本柱で覚え、聴聞にだけある規定(主宰者・閲覧・参加人・調書)を条文番号つきで言えるようにしておきましょう。

参考にした情報

記事の内容は、記載の日付時点で確認した情報にもとづいています。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。内容に誤りを見つけた場合は、お問い合わせからお知らせください。確認のうえ修正します。

2026年10月11日約10分で読めます
行政書士試験行政手続法聴聞弁明の機会の付与不利益処分行政法
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