「試験まであと1か月。何を優先して復習すればいいのだろう」。この記事は、貸金業務取扱主任者試験の直前期に、そう迷っている人に向けて書きました。
令和8年度の試験は、2026年11月15日(日)の13時から15時です。この記事を書いた2026年10月4日時点で、試験日まで約6週間あります。「直前1か月」は10月中旬から始まります。公表されている出題数のデータをもとに、時間の配分と進め方を整理します。
直前期のいちばんの目的は、「知らないこと」を減らすことではなく、「知っているはずのことを、本番で正しく選べる」状態にすることです。範囲を広げるより、法令の総復習を優先します。
直前期に優先する科目は「法令」
まず、出題数の目安を確認します。日本貸金業協会が公表している科目別の目安は次のとおりです。
| 試験科目 | 出題数の目安 |
|---|---|
| 1. 法及び関係法令 | 22〜28問 |
| 2. 貸付け及び貸付けに付随する取引に関する法令及び実務 | 14〜18問 |
| 3. 資金需要者等の保護 | 4〜6問 |
| 4. 財務及び会計 | 2〜4問 |
科目1と科目2を合わせると、目安では36〜46問で、50問のうちの大半です。協会は「目安であり、実際の問題数とは異なることがある」と案内しています。第20回(令和7年度)の実際の出題数は、科目1が27問、科目2が15問、科目3が5問、科目4が3問でした。
つまり、直前期の時間の使い方は、おおまかに次のように考えられます。
- 科目1(貸金業法・利息制限法・出資法など)と科目2(民法などの周辺法令)に、学習時間の大半を使う
- 科目3・4は、問題数が少ないので、頻出の部分を短時間で見直す
第20回のデータから見る弱点の探し方
第20回の科目別の平均正答率は、次のとおりでした。
| 科目 | 出題数 | 平均正答率 |
|---|---|---|
| 法及び関係法令 | 27問 | 54.1% |
| 貸付けに関する法令及び実務 | 15問 | 46.5% |
| 資金需要者等の保護 | 5問 | 62.1% |
| 財務及び会計 | 3問 | 54.1% |
| 全体 | 50問 | 52.6% |
合格基準点は、第20回が50問中31問正解でした。全体の平均正答率が約5割ということは、受験者の多くが、半分前後しか得点できていないことを意味します。
注目したいのは、科目2の平均正答率が最も低いことです。民法・民事手続・倒産法などは範囲が広く、貸金業法より後回しにされやすい分野だと考えられます。逆に言えば、ここを安定して得点できれば、周りに差をつけやすい科目でもあります。
ただし、これは1回分のデータにすぎません。回によって傾向が変わることもあるので、「科目2を捨てない」という程度の目安として使ってください。
出題法令の基準日を確認する
法令の総復習で、必ず確認しておきたいことがあります。協会の案内では、令和8年度の試験の出題法令は「令和8年4月1日において施行されている法令等」とされています。
古いテキストや過去の資料で勉強していると、改正前の内容を覚えてしまうことがあります。復習に使う教材が、令和8年4月1日時点の法令に対応しているかを確認しましょう。
この基準日より後に施行された改正は、令和8年度の出題の基準にはなりません。教材のどこかに「改正予定」「令和8年4月2日以降施行」などの記載があれば、試験対策としては優先度を下げて構いません。
直前1か月の週ごとの進め方(例)
ここからは、一例として4週間の進め方を示します。仕事や学業の都合に合わせて調整してください。これは公式の推奨ではなく、この記事の提案です。
| 時期 | 目的 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 1週目(10月中旬) | 法令の総点検 | 貸金業法の登録・業務規制・書面・取立てなどを一周し、あいまいな箇所に印をつける |
| 2週目 | 金利と規制の整理 | 利息制限法・出資法・総量規制など、数字を使う論点を表にして整理する |
| 3週目 | 科目2の見直し | 民法(意思表示・代理・時効・保証・相続)、民事手続、倒産法を、貸金の場面と結びつけて確認する |
| 4週目(試験前1週間) | 仕上げ | 印をつけた箇所と間違えた問題だけを見直す。科目3・4の頻出論点も確認する |
1週目:貸金業法の全体を、もう一度なぞる
講座の構成でいえば、貸金業法の全体像と登録、監督指針と監督処分、貸付けの規制(契約の前・書面と帳簿)、債権管理・回収・信用情報・ADRまでが、科目1の中心です。この流れを一周して、「どの場面で、どんな規制がかかるか」を順にたどります。
ここで大切なのは、細かい条文の暗記より、場面ごとの整理です。たとえば「契約を結ぶ前にやること」「契約を結ぶときに渡す書面」「貸したあとの取立て」というように、時間の流れで並べると覚えやすくなります。
2週目:数字を使う論点は、自分で表にまとめる
金利の上限、年収との比較、保存期間のように、数字を使う論点は、直前期に混ざりやすい部分です。教材を見ながらでよいので、自分で表に書き直してみてください。書いている途中で手が止まる箇所が、本当のあいまいな箇所です。
数字や条番号は、必ず最新の法令(e-Gov法令検索など)や教材で確かめてから表にします。うろ覚えの数字を、そのまま覚え込まないようにしましょう。
3週目:民法は「貸金の場面」で考える
科目2は、民法・民事手続・倒産法・刑事法など、範囲が広い科目です。全部を完璧にするのは難しいので、貸金業の場面で使う論点に絞ります。
- 意思表示や代理は、契約の効力が問題になる場面
- 時効は、返済を求められる期間が問題になる場面
- 保証は、保証人にどこまで責任が及ぶかが問題になる場面
- 相続は、借り手が亡くなったときに借金がどうなるかが問題になる場面
このように、「誰が、何を、いつまでに主張できるか」という形で整理すると、似た制度の違いを区別しやすくなります。
4週目:新しい教材に手を広げない
試験前の1週間は、新しい問題集や参考書に手を出さないのが安全です。それまでに印をつけた箇所と、間違えた問題を中心に、短い時間で何度も見直します。
試験前日と当日に気をつけること
試験前日と当日については、協会の「試験当日の注意事項」に、次の内容が書かれています。
- 受験票は「受験票①」と「受験票②兼写真票」の両方が必要
- 協会が指定する写真付き公的証明書(原本)が必要
- 試験開始から30分以上遅刻すると受験できない
- スマートフォンなどは、アラームを解除して電源を切り、カバンの中にしまう。時計として使うことも禁止
- 12時40分から事前説明が始まる
- 試験時間中の途中退出はできない
前日までに、受験票と身分証の場所を確認し、会場までの行き方と所要時間も確かめておきましょう。受験票は10月23日(金)に発送される予定と案内されています(令和8年度の事務日程)。届いたら、すぐに内容を確認してください。
なお、電卓や筆記用具、腕時計の持ち込みについては、今回確認した公式ページに記載がありませんでした。持ち物は、受験する年度の実施要領や協会の問合せ窓口で確認してください。
授業・講座を直前期に使うなら
資格のエアポートの貸金業務取扱主任者講座では、講座ページで授業の内容と構成を確認できます。直前期は、全体を新しく見直すより、自分が弱いと感じた分野のところだけを選んで見直すという使い方が考えられます。AI講師トーレスに、あいまいな論点を質問することもできます。
試験の形式や合格基準そのものについては、貸金業務取扱主任者試験とは? 形式・出題範囲・合格基準を公式発表で整理で、申込みから当日までの流れについては、貸金業務取扱主任者試験の申込み方法と受験の流れで詳しく取り上げています。
まとめ
- 令和8年度の試験は11月15日(日)。直前期は、新しい範囲を広げず、法令の総復習を優先します
- 出題数の目安は科目1が22〜28問、科目2が14〜18問。第20回は科目2の平均正答率が46.5%で最も低くなっていました
- 出題法令は令和8年4月1日施行分が基準です。教材が対応しているかを確認します
- 当日は受験票2種と写真付き公的証明書(原本)が必須。30分以上の遅刻は受験できません
最新の日程・実施方法は、日本貸金業協会の公式サイトでご確認ください。

